四国の3カ所目は
道の駅内子フレッシュパークからり にやってきました。
しまなみ海道を走り終えて四国本土に入り、“今治小松自動車道” “松山自動車道” と辿ります。
高速を1時間半ほど走り、“内子五十崎IC” で下りて5分程で目的の道の駅に到着しました。
“内子フレッシュパークからり” は、他の一般的な道の駅のような、大きな建物はありません。
樹々のあいだに隠れるように大きなテント張りみたいな施設があり、これが “直売所” です。
この直売所を中心に、周囲の林の中にいくつかの関連する建物があり、自然の中に溶け込んだ産直市場、といったイメージがあります。
私が、7年ぶりにこの道の駅にもう一度立ち寄りたいと思ったのには訳があります。
直売所の入り口に “全国モデル「道の駅」” という大きな看板が掲げられています。
実はこの道の駅、国土交通省が2015年1月に 「全国モデル道の駅」 「重点道の駅」 「重点道の駅候補」 を選定した際、全国でわずか6カ所の 「モデル道の駅」 に選ばれたのです。
“全国モデル「道の駅」” というのは、「地域活性化の拠点として、特に優れた機能を継続的に発揮していると認められるもの」 が選定条件であり、その6カ所は以下の通りです。
・遠野風の丘(岩手県)
・もてぎ(栃木県)
・川場田園プラザ(群馬県)
・とみうら(千葉県)
・萩しーまーと(山口県)
・内子フレッシュパークからり(愛媛県)
全国1000か所以上の道の駅の中から選ばれたのですから、すごいことだと思います。
参考:国土交通省HP → http://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/juten_eki/model01.html
全国モデル「道の駅」の選定証がこれですね!
テント張りのような屋根の下には、近隣農家から運ばれた新鮮な野菜、果物が並んでいます。
今でこそ、全国に道の駅を始めとする産直市場が数多くありますが、実はその産直市場の 『元祖』 と言われているのが、ここ内子フレッシュパークなのです。
“愛媛県内子町” は、総面積の7割以上を山林が占める、典型的な山間地の農村です。
他の地域と同様、過疎化、少子高齢化、それに農業の後継者不足に悩まされていました。
そんな中、1985年、農家の女性を中心に、地域の将来を学習することを目的として 「内子町知的農村塾」 が開講しました。
そしてこの塾の出身者を中心に、1994年 「内の子市場」 が開設され、農家が直接農作物を持ち込む、いわゆる農産物直売所の草分けが誕生したのです。
2年後の1996年には内子町が50%、住民の株主(現在は677人)が50%出資した第三セクター、「内子フレッシュパークからり」 として発展、拡大し、今の形が作られました。
この道の駅のもう一つの特徴は、ネットやITを活用した農業の情報化、システム化だと思います。
安全、安心を目的としたトレーサビリティ(栽培履歴)は勿論のこと、農家には “農業情報端末” 直売所には “POSシステム” を導入し、農家は出荷品の販売状況を端末で見ながら、足りないと思えば畑で収穫して店頭に並べ、逆に売れ残ったら引き取りに行きます。
農家の高齢者がシステムを使えなければ意味がないので、“農業情報センター” を作って使い方の教育を徹底し、今では80歳の高齢者でも自分の畑で端末を自在に操ります。
結果として内子町の兼業農家でも月に10万円前後の副収入があり、専業農家では1000万円を超える年収のところもあるのだそうです。
さて、直売所の裏手に出ると、ご覧のような美しい風景が広がります。
この自然のままの空間に、いくつかの施設が点在します。
敷地の一番奥にあるこちらが、“レストランからり” です。
地元の食材と旬にこだわった、「内子をまるごと味わっていただく料理」 が自慢です。
これは “からりパン工房” “ハンバーガーショップからり” などが入った建物で、他に “からり燻製工房” “からりシャーベット工房” などもあります。
どの施設にも “からり” という名前がついていますが、これは
「果楽里」果物を楽しむ里
「花楽里」花を楽しむ里
「香楽里」香りを楽しむ里
「加楽里」加工することを楽しむ里
「カラリ」と晴れ晴れした気分
「カラリ」としたすがすがしい時間
「カラリ」とした爽やかな人間関係、出会いを楽しむ
という意味だそうです。
この道の駅は 「小田川」 という分岐した2つの川にに挟まれた中洲のようになっています。
その小田川に架かる吊り橋が、この “からり橋” です。
揺れる吊り橋の中央付近で撮ったのが、次の写真です。
こちらは橋の左手で、遠くに松山自動車道の架橋が見えます。
これが反対方向ですが、アユか何かを獲っているのだと思います。
道の駅フレッシュパークからりは、道の駅のモデルとしての魅力だけではなく、大自然をそのまま残したロケーションの良さもあって、年間70万人もの顧客が訪れています。
道の駅に出荷する農家は約430名で、これは内子町の農家の20%を占めています。
過疎地の農業高齢者の生き甲斐を作り出し、地域活性化の見本となる道の駅に相違ないと思います。