道の駅おだいどうを出発し
野付半島 トドワラ原野 を目指しました。
〝野付半島” は、この地図でお分かりのように実に不思議な形をしています。
これは 〝砂嘴(さし)” という地形で、沿岸流により運ばれた漂砂が堆積して形成されますが、その形が〝嘴(くちばし)” のように見えることからこの名前がついています。
日本には 「三保の松原」 をはじめとしていくつかの砂嘴がありますが、ここ野付半島がその最大であり、全長は26kmあります。
どのようにしてこのような地形ができたのか、現地にあった案内看板でざっくりとご説明しましょう。
約3000年前に最初の砂の堆積で岬ができ、更に堆積と浸食を繰り返しながらいくつもの岬が伸びていったものです。
砂の堆積は主に半島の先端でおこりますから、現在でも半島は成長し続けていることになります。
道の駅おだいどうから国道244号を北上し、標津町で野付半島を走る道道950号に進路をとります。
半島の特に最初の部分は最短幅がわずか50mと細長く伸びていますから、道路の左右とも海で、まるで〝海中道路” を走っている雰囲気です。
特にこの付近を 〝フラワーロード” と呼び、左右がお花畑になるのですが、この時期はそれほど多くの花は咲いてなかったように思います。
約15kmの一直線の海中道路を走り、〝ネイチャーセンター” に到着しました。
道の駅からの距離は29kmで、30分弱しかかかりません。
この青枠で囲んだ部分がネイチャーセンターです。
ここからあと3kmほど先に野付崎灯台があり、一般車両が入れるのはそこまでです。
この日も何台かの観光バスが停まっていましたが、ほとんどの観光客はここネイチャセンターに駐車して、この先にある 〝トドワラ原野” へと歩きます。
これがトドワラ原野への遊歩道です。
私たちも、カメラだけを手に早速歩いてみました。
ススキやたくさんの種類の草花に囲まれた小道を、ひたすら歩きます。
ススキの向こう側に人影が見えますが、この散策路は一方通行になっており、帰り道は並行して走る別の遊歩道を辿ります。
でも一方通行のはずのこの細い道で、結構人とすれ違うのです。
どうやら途中まで歩いて諦めて、引き返してくるのだと思います。
次第に人影が少なくなってきましたが、ただひたすら歩き続けます。
私たちの先を行くこのお二人も、途中で引き返してしまいました。
約30分ほどでようやく到着したのが、この 〝トドワラ” の看板です。
ここまでネイチャセンターから1.3kmあります。
でもここが目的地という訳ではなく、この先は湿地帯なので 〝木道” をあと300m歩きます。
この木道、人がひとり通れる橋の幅で、ところどころに離合するため待機場所があります。
落ちても下は湿地帯なので問題はありませんが、あんまり気持ちの良いものではありません。
途中から道が分かれ、左は船着き場方面、右がトドワラ展望台方面です。
左の桟橋方面は海の上を歩くので、転落防止に木道に手摺がついています。
私たちは右の展望台方面に進みます。
〝砂嘴” の地形は堆積と浸食を繰り返したと先ほど説明しましたが、浸食は主に内海側で起こります。
かつて豊かなトドマツ林を形成していた土地が海水に浸食され、立ち枯れてしまったのがこの光景です。
これらは樹齢が90年から120年のトドマツであり、浸食は今も進んでいるのでやがてこの光景もなくなり、塩湿地植物群落に置き換わってゆくだろうといわれています。
海の表情もなにか別世界を思わせます。
帰りの道の方が、往路よりずっと広いようです。
歩くのが苦手な人のために、ここでは馬車が通る様になっていて、そのために広げたのでしょう。
ところどころに朽ちたトドマツの幹が倒れています。
先ほどまで少し曇っていたのに、戻る頃にはこんなに良い天気になりました。
写真の一番下、陸地の中央に映っている建物がネイチャーセンターで、その右手には津波の避難所兼、国後島の展望所があります。
この展望所から見えた 〝国後島” が次の写真です。
ここからの距離がわずか16kmです。
写真を拡大すると岬らしい岩肌がはっきりと見えます。
北方領土は随分と近いことが肌で分かります。
近くにはこんな碑が建っていました。
さて、ネイチャーセンターに入ってみましょう。
1階が休憩室、観光案内所、売店、レストランなどになっており、2階には野付半島に関する様々な資料が展示されています。
正面に飾られた写真、左はトドワラ原野の夕陽、右は前回紹介した四角い太陽です。
ところで、この野付湾は水深が浅く、厳冬期には海自体が凍り付き、海面を歩くことができます。
そうすると何が起きるかというと、一面真っ白で遠近感がなくなります。
南米ボリビアの 〝ウユニ塩湖” が有名ですが、いわゆるトリック写真が撮れるのです。
(別海町パンフレットより画像借用)
南米まで出かけなくとも日本国内で体験できるのですね!
機会があれば、是非厳冬期にも来てみたいと思いました。