朝食を終えて向かったのは、今回の本命である
道の駅おだいどう です。
道の駅おだいどうは、地図でご覧の通り知床半島と根室半島の中間地点にあります。
北海道東部に唯一残っていたこの道の駅に行くことが、今回の旅行の本来の目的です。
屈斜路湖湖畔のホテルから目的地まで距離にして98km、ひたすら東へ走り、野付湾の海岸線を目指します。
今回の旅では一度も高速道路を使わなかったのですが、そのおかげで至る所でいかにも北海道らしい風景に出会いました。
畑と空の美しさに、思わず車を停めて撮った写真がこれです。
見渡す限りの畑の中を、緩やかな上り下りだけを繰り返しながら限りなく続く一直線の道路など、北海道は走っているだけで感動があります。
ナビの予測時間では2時間以上でしたが、1時間40分程で到着しました。
道の駅の所在地は 〝野付郡別海町尾岱沼” ですが、この 〝尾岱沼” が 〝おだいとう” と読みます。
別海町というのは、総面積がなんと東京23区の2倍以上もあります。
その広大な土地に、人口1万6千人の住民と、牛が約12万頭暮らしています。
そしてこの道の駅のある場所は、「白鳥台」 と呼ばれ、冬から春にかけて数百羽の白鳥が飛来します。
野付湾に面したこの 「白鳥台」 にはもう一つ特徴があって、なんと 〝四角い太陽” が見えるのです。
(道の駅パンフレットから画像借用)
これは空気の温度差によって光が屈折しておこる蜃気楼の一種だそうですが、気温が急激に下がる厳冬期に主に見られます。
四角い太陽を鑑賞できるポイントはいくつかありますが、その一つがこの白鳥台で、条件の整った冬場の早朝には多くのカメラマンがここに集まります。
さて、道の駅の一角にこんなものがありました。
最初の地図でお気づきかと思いますが、ここは北方領土の 〝国後島(くなしりとう)” が目と鼻の先にあります。
この高さ2.4mの像は、老女が息子と孫を両脇に従えて、「島を返せ!」 とすさまじい迫力で叫んでいる姿を現しています。
像の前の敷石は、北方四島の地図をあらわしていました。
この道の駅はその北方領土問題をテーマとしており、別海町は、北方四島に現在暮らすロシア人たちとの 〝ビザなし交流” の拠点として、お互いに行き来しながら民間の交流を深めています。
道の駅は3階建てになっており、1階が売店と食堂ですが、規模は小さいです。
そして2階が 〝展示室” 3階が 〝展望室” です。
まず2階に上がってみます。
ここには北方領土に関する歴史や資料が展示されています。
例えば、ここから一番近い 〝国後島” は、沖縄本島より大きな島です。
〝択捉島” が鳥取県とほぼ同じ面積、そして4島すべてを合計すると、千葉県に匹敵する広さになります。
この野付湾の先にある 〝野付半島” から国後島までの距離は16kmですが、最も日本に近い 〝歯舞諸島” の 〝貝殻島” は、根室半島の先端からわずか3.7kmしか離れていません。
ちなみに歯舞諸島と色丹島は、おおむかし根室半島と陸続きだったのが、土地の陥没で離れ島になったのだそうです。
この写真は、4階の展望室から国後島方面を見たものです。
うっすらと島が見え、そこに建物も見えるのですが、それは 〝野付半島” です。
国後島は、その先に山が見えるということですが、この日はよく確認できませんでした。
このあと野付半島に向かうので、国後島はその時に紹介しましょう。
この写真は、先ほど紹介した 〝叫び” の像を4階の展望室から見下ろしたものです。
左端に高い塔が立っていますが、これは四島を象徴する4本のポールです。
叫んでいるお婆さんからの距離は16mで、これは国後島までの距離 〝16km” を意味します。
この道の駅の制覇でとりあえず今回の目的は果たしましたが、折角ここまで来たので、以前から行きたいと思っていた 〝野付半島” にこれから向かいます。