標定点レスで水の中まで写真測量 (P4RTK) | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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報告が大変遅くなってしまいましたが、

6月に、土木学会の河川技術論文集と河川技術に関するシンポジウムにて、

Phantom 4 RTK (P4RTK; P4R)を使った標定点レスの河道写真測量実験について発表しました。

 

論文をこちらに掲載します。

筆頭著者・シンポジウム発表者は、小室隆博士(港湾空港技術研究所専任研究員)です。

 

Phantom 4 RTKを使ったからといって、標定点を簡単に省略できるようになるわけではありませんが、

撮影の向きに加えて高度を複数化(高度100 mをメインに、少数を50 mで撮影)することにより、標定点なしでもそこそこの精度(RMS誤差:陸上対空標識で0.069 m、水底の石で0.093 m)を得た事例です。

 

2018年11月の学会発表で、最後に下図のような撮影戦略のイメージを提示しましたが、さらに低高度でも斜め撮影を行ったような撮り方でした。

 

 

なおこの実験で、低高度で撮影した画像が22枚と少なく、撮影位置もほぼ1か所になってしまったのは、風による撮影中断のためです

そのために、低高度画像に埋め込まれたZ座標に、大きな重みをつける必要が生じました。

天候が許せば、低高度でも飛び回り、もっと多くの低高度画像を撮影したかったところです。

 

書誌情報:

小室隆, 浦川貴季, 米原千絵, 宮崎真弘, 神野有生, 赤松良久, RTK-GNSS搭載型UAVによる複数天底角・複数高度撮影に基づく標定点を用いない河道写真測量, 河川技術論文集, 第25巻, 2019年6月.