【このテーマの記事は、UAV写真測量について、日々の文献調査や研究で得た、PhotoScanに限らない一般的な情報を掲載していきます。用語の説明は「PhotoScanを極める」に譲ります。】
UAV写真測量において、
標定点には対空標識を設置・測量・回収する必要があるため、
その数・配置は、必要な現地作業の労力・コストに直結します。
テーマ「PhotoScanを極める」の記事では、対象領域が小規模な場合について、
標定点を対象領域の4隅に置くだけで済むように、
標定点の用途をジオリファレンスに限定した手法を提案してきました。
また、小規模な運動場での実験では、推奨されない「平行撮影」であるにも関わらず、
一方、この秋冬に行った平行撮影の現地実験
(佐波川・錦川の200 m四方程度の領域を対象;高度110 m・64 m、オーバーラップ率80 - 90%の下向き平行撮影;Phantom 4 Pro使用;標定点はアクセスの便のため、対象領域の縁辺部(堤防周辺)のみに配置)
とCGシミュレーションでは、
- 標定点の用途をジオリファレンスのみに限定すると、精度が悪いことが多い(4隅に複数ずつ点を置いたとしても)。
- 対象領域の縁辺部に4標定点を置いてバンドル調整に動員する場合、4点の配置によって精度が大きく変わり、配置の幾何学的特徴(4点が作る四角形の面積、高低差など)と精度の間に明確な関係が見いだせない。
- 対象領域の縁辺部に5標定点を置けば、より安定した(4点の時ほどは配置によらない)精度が得られる。
という結果を得ました。
1, 2は、前記事の末尾で注釈として述べた事項です。
【180601加筆】
今回、2, 3について、春の写真測量学会で発表しましたので、スライドと概要を掲載します。
今回はドーム状変形などが起こりやすい平行撮影での実験であるとはいえ、
上記の提案手法を覆しかねない結果ですが、研究の常としてご理解いただければ幸いです。
今後、斜め撮影を取り入れた場合でも、「4隅&ジオリファレンスのみ」の提案手法ではダメなのかなど、今回の実験結果の一般性について、検討を進めたいと思っております。
→ 181113加筆:検討の結果(途中経過)を発表しました。
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