PhotoScanを極める 14. 教科書的手順 Step 7 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。教科書的な操作手順表はこちらのページにあります。】

 

Step 7では、Step 5と同様、カメラパラメータと点群座標の最適化(バンドル調整)を行う。

Step 6で点群の一部を削除したので、その影響を確認するためにも、再度の最適化を行っておこうというわけだ(マニュアルなどにそこまで書いてあるわけではないが、ひとつひとつを確かめながら、そして理解しながら進むことは重要だろうということで・・・)。

 

操作としては、「ツール」メニューから「カメラを最適化」("Optimize Cameras")を選ぶなどして、「カメラアラインメントを最適化」 ("Optimize Camera Alignment")ダイアログを立ち上げ、OKを押すだけだ。削除の影響を確認するためだから、チェックするパラメータは変えないでおく。

 

 

最適化の後、Chunk 1ダイアログを見ると、点群の一部を削除した直後と比べて、わずかに再投影誤差(単位がない方)のRMSが減少(0.0198897 → 0.0197656)していることがわかる。

 

 

「カメラキャリブレーション」ダイアログで内部パラメータの推定値を確認すると、fがさらに大きくなり、cxの絶対値も倍増して、真値からかけ離れた値となっている。ここでは示さないが、点群とカメラの位置も、目でわかるくらいおかしくなっている。さらに、実は「カメラを最適化」を実行するたびにカメラパラメータが現実から離れていく状態となっており、内部の状況を確かめることはできないものの、バンドル調整が破たんしていると言える。この失敗は、今回の9画像の撮影の向きが完全に平行であるために、内部パラメータのfが不定となることが原因である。この撮り方は「弱いカメラの配置」(weak camera geometry)の極端な例とも言えよう。

 

正直なところ、今回、弱い配置の画像を例として記事を書いてきたことが悔やまれるが、手順を説明できればよいと割り切って、このまま突き進むことにする。