PhotoScanを極める 9. 教科書的手順 Step 2 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。教科書的な操作手順表はこちらのページにあります。】

 

さて、本題に戻って、Step 2の画像の読み込みについて説明する。


「ワークフロー」("Workflow")メニューから「写真の追加」("Add Photos")を選択するなどして「写真の追加」ダイアログを表示させ、使用する画像ファイルを全て選ぶ。または、エクスプローラから、「ワークスペース」("Workspace")ペインなどに画像ファイルをドラッグ&ドロップする。

 

「写真」ペインと「ワークスペース」ペインの"Chunk 1"に、画像の情報が表示される。

 

 

「ワークスペース」ペインで、ファイル名の横に"NC"と表示されている画像は、EXIF情報からカメラの焦点距離が読み込めていないので、注意を要する。この場合、焦点距離は35 mm判換算で50 mmであると仮定され、それに基づいて内部パラメータfの初期値が計算されてしまう。実際の焦点距離が50 mmと大きく異なる場合は、「ツール」メニューから「カメラキャリブレーション」を選択するなどして現れる「カメラキャリブレーション」("Camera Calibration")ダイアログで修正するべきである。

 

今回のCGレンダリング画像は、EXIFに焦点距離の情報など入っていないので、"NC"が付いている。なお、"NA"は、まだアラインメントされていない(カメラの外部パラメータが推定されていない)という意味だから、この段階で表示されるのは当然である。

 

 

レンダリングに使ったカメラの焦点距離は24 mmなので、50 mmを初期値にされては、SfMにおける最適化がうまくいかない恐れがある。そこで、「カメラキャリブレーション」ダイアログで、焦点距離とピクセルサイズ(イメージセンサのサイズ/画素数;センサ面上の1画素の大きさ)を入力する。

 

 

焦点距離とピクセルサイズを入力すると、「基準値」(初期値の意)タブのパラメータ「f」が計算される。fというのは、画面距離(厳密にはレンズの焦点距離ではなく、撮影時のイメージセンサと光学中心との距離を1画素の大きさで除したもの)で、3次元空間を2次元の画像に投影するときの縮尺倍率を決めるものであり、最も重要な内部パラメータである。

 

カメラが事前にキャリブレーションされている場合、つまり内部パラメータが測定されている場合、「タイプ」で「予備測定」を選ぶことで、内部パラメータを直接入力できるようになる。さらに、内部パラメータが非常に正確にわかっている自信がある場合、「FIXキャリブレーション」をチェックすれば、SfMにおいて内部パラメータが調整されなくなる。

 

ちなみに今回のカメラは、中心のずれも歪みも何もないので、上図で初期値として表示されている内部パラメータが、実は真値である。FIXしてもよさそうだが、そんなチートをしてはデモにならないので、FIXしないでおく。