PhotoScanを極める 5. 個人的な動機 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

UAV写真測量, ドローン測量, フォトグラメトリ, SfMなどと呼ばれる技術の情報を掲載します。
1. 効率化・高精度化に関する研究速報・マニュアル
2. SfM/MVSソフトAgisoft Metashapeの使い方
などなど。

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【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。

 

ここで少し、私が何故、デフォルトの設定や「経験と勘」でPhotoScanを使うことができず、状況に合った設定を探すための設定の良し悪しの判断方法を模索することになったのか、説明したい。

私の研究室では、UAVを使った浅水底の空中写真測量(水面を通した浅い海底や河床の写真測量)について研究している。例えば、水面のぎらつき(太陽光・天空光の水面反射)を抑える画像の撮り方などを開発している。

 

図. 佐波川のUAV空撮画像の例.水面反射は、水底の写真測量の大きな妨げになる.


考案した手法の効果を検証する際、実際に河川・海岸などで空撮を行い、その手法を「使う」「使わない」それぞれのケースについて、PhotoScanでSfM, MVSの処理を行った後、得られた密な点群の座標の精度評価(トータルステーションなど、より精密な方法による測量結果を真値とした場合の誤差の評価)を行う。その手法を「使う」ケースの方が高精度であれば、手法の効果が実証されるわけだ。

 

このとき、SfMの設定の不適切さが両ケースの勝敗に影響しては、比較の意味がない。フェアな精度比較をするためには、両ケースそれぞれについて、PhotoScanをできるだけ最適に近い設定で使うべきだ。両ケースで最適な設定が同じである保証は全くないし、デフォルト設定は最適と程遠い恐れがある。


そこで、出来るだけ良い設定を探す必要を感じ、PhotoScanのユーザーマニュアルやチュートリアルなどを読んだ。しかし、設定の良し悪しを判断するための、統計学的に合理的な(過適合の問題を考慮した)方法は、前述の高コストの方法以外に、見出せなかったのである。