【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。】
過適合に陥らずに適切な設定を探すには、トレーニングデータとは独立なデータを使って評価した精度を、各設定候補の良さの判断基準とする必要がある。一方、上記のように設定候補ごとに、GCPや最終精度チェック用の検証用地点とは別に測量した地点で精度を調べることは、現地測量のコストがかさむデメリットがある。
そこで、このテーマの記事では、Agisoft PhotoScan ProfessionalによるSfMについて、状況に合った適切な設定を探すための、設定の良し悪しに関する合理的かつ現実的な判断基準を提案したい。
また、PhotoScanによるSfMについて、日本語で詳説したWebサイトや書籍がまだ見当たらないことを踏まえ、私がユーザーマニュアルなどを読んで収穫したPhotoScanに関する知識や、PhotoScanがやっていることを理解するために必要なSfM, MVSの基礎概念の説明を、を出来るだけ盛り込むように書く予定だ。特に、上記の提案の前に、教科書的(標準的?)な操作フローについても説明したい。
図. PhotoScan 1.3.1による作業画面。
ただし、本テーマでは、私自身の用途に合わせて、以下の条件で書かせていただきたい:
- PhotoScan Professional 1.3.1(64bit Windows版)をGUIで使うことを前提とする。
- 1台の一般的なデジタルカメラで移動しながら撮った状況を想定し、カメラリグ・カメラグループの機能は使わない。カメラモデルとしては"Frame camera"を用いる。
- バンドル調整では内部パラメータも最適化する(セルフキャリブレーション付きバンドル調整)。
- 以下の副次的な機能は扱わない:
- マスクによる処理範囲の制限
- Chunk・Pythonスクリプトによる自動化
- スケールバーによる世界座標のスケールの規定
- MVSにおける作成領域(Region)の制限