「かまち潤のブログ」を閲覧のみなさま、いつもお読みいただき、まことにありがとうございます。

アルファベータブックスの春日と申します。

 

かまち様にこの場をお借りして、宣伝させていただきます。

今年刊行になった、日本で初(たぶんそうだと思います)のライナー・ノーツについて書かれた本、『ライナー・ノーツってなんだ!?』(アルファベータブックス)の電子書籍が、ついに発売になりました。

 

今現在フィックス版(版面固定型の電子書籍)のみに発売となっておりますが、もし紙版では嵩張るとか、旅行や通勤通学時には電子書籍の方が読みやすいといった方にはぜひお勧めです!!

 

下記のYONDEMIRUのサイトよりアクセスしていただき(一部立ち読みできます)、ご興味のあるかたはぜひご購入ください。

何卒よろしくお願いいたします。

https://yondemill.jp/contents/23447

 

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アルファベータブックスの春日と申します。

 

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何卒よろしくお願いいたします。

https://yondemill.jp/contents/23447

 

公私共に慌ただしい3、4月が過ぎ去り、気づけばながらくブログを更新せず、いやはやなんとも面目ない。忙しい時はなぜか新規のスケジュールも重なるもので、とはいえそれでもレコード買いだけは止まりませんでした。言い訳にこの間入手したレコードを公開しましょう。

購入数は全51枚(アナログ&CD)、レオ・コッケ「アイス・ウォーター」、ルブラン&カー「ライヴ・フロム・アトランティック・スタジオ」、レオ・セイヤー「ライヴ・イン・ロンドン」、ボビー・ダーリン&ジョニー・マーサー「トゥ・オブ・ア・カインド」、コニー・フランシス「フーズ・ソリー・ナウ」、フライング・バリット・ブラザーズ「キャビン・フィーバー」、シンディ・ローパー「ディトゥア」、ジェファーソン・スターシップ「ジェファーソンズ・ツリー・オブ・リバティ」、ラークス「ザ・ジャーク」、ダニー・オキーフ「レデュックス」などなど。

とくに5月のゴールデンウィークは都内などの中古レコード店ではバーゲンやらポイント・サービスだとか派手にやってました。熱心な音楽愛好家、レコード収集家も心秘かに獲物探しに出掛けていると思いますが、金は限りがあっても、時間には余裕有りという人にお勧めしたいポイントが、この際だから行動範囲を広げてみよう。

日頃は時間にも縛られがちで行動範囲は近場の都内のレコード店ばかり。なかなか少し遠出をするにも決断と行動力が……。ごもっともです。でも気候もいいことですし、レコード探しの大人の遠足というのはいかがですか。

そこで地方に住んでらっしゃる方達には申し訳ないですが、都心を敬遠、川を越えて関東地方なら埼玉や神奈川、千葉のレコード店めぐりがおもしろい。川を越えた中古レコード・スポットが穴場ということは意外に気づいていない。一般的にお客にマニアが少なく、都内のように高額のレコードは敬遠されがちな傾向がある。

店側は壁に飾ってユーザーの購買欲をそそろうとするが、都内ならいざ知らず、数ヶ月あるいは1年ぐらい買い手がなく、価格のダンピング、またはしばらくの期間店頭からさげ、新たな値付けで再出品することもある。

余計なことながらそういうレコードが目に付くと、「値付けを誤ったな」と思う。マニアを含め、高値でも適正であるべき。これはいままでにも言ってきた。中古レコードの価格設定にはそれなりの理由がある。発売、販売枚数が少ない。滅多に中古市場に出回らない。オリジナルのしかも初版盤、シングル・ヒット曲が全盛の50~60年代のアルバムならデビューかベスト集、黒人アーティストの、とくにドゥワップ中心のR&B、放送局や関係機関に配布された非売品サンプル、自主制作レコードなどが高値の理由だ。

ところが古ければ価値があるとか、理解(?)しがたい価格で、とにかく高額な値段を付けてマニア心をそそるケースを度々目にする。多少そそられますが、ここはスルーして「聞いてみたい」、「購入したい」レコード、しかも手頃な価格でジャケットと盤の状態が良いものを入手しよう。

そこで都内より川を越えた地域の中古レコード店がおすすめスポットになります。まず都内の中古店より全般的に価格が安く、思わぬ掘り出し物を目にする機会がある。日頃地元のファン以外はふらりと立ち寄りがたい場所なので、同好の士がかち合う確率が低い。手頃な価格で探していたレコードを発見、入手可能である。私個人の経験から20年以上探していて、国の内外でジャケットも見たことがない何点かのレコードの1枚、ジェリー・ジェフ・ウォーカーの米アトコ盤「Bein' Free」に出会い、購入(1500円)したのも川を越えた中古レコード店だった。オールディーズ好きの友人から頼まれたフランキー・アヴァロンやリンダ・スコットの米オリジナル盤も都内の店では2000~4000円はかたくないものが、500~1600円で購入できた。運がよかったこともあるが、これが都内なら早い者勝ちでこちらの目に入る前に店頭から消えていただろう。

ある意味それだけ商品の流れも都内の中古店に比べればゆったりしているから、運にも恵まれやすいのである。もちろんライバルにも都内ほど気をつかうこともなく、ただし手頃でこれはという盤を見つけたら、迷う、躊躇わずに購入すべし。よくある例で迷って後日でいいと思ったレコードは確実に無くなっている。買うか、諦めるか、この判断をはっきりすることが納得できるレコード収集になる。

都内より川を越えた近県の中古レコード店は鳴り物入りのバーゲンセールより、意外な掘り出し物に出会え、また納得できる手頃な商品を入手可能なスポットということも心にとめておいては如何か。

 

 

レコードマニアの聖地、ディスクユニオンさんが経営する音楽専門書店「BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿」にて、2月下旬刊行予定、かまち潤「ライナー・ノーツってなんだ!?」刊行記念イベント開催決定!!

■日時:
2017年2月26日(日) 18:30 START
トーク終了後、19:20ごろからサイン会も予定しています。
■出演
かまち潤
■会場:
BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-17-5 カワセビル3F

いままで「ライナー・ノーツ」の歴史や意義について、あまり語られてこなかったと思いますが、40年以上書かれてきた、かまち潤氏から、ライナー・ノーツにまつわる貴重な話が聞けると思います。

ご興味あるかた、ぜひお越しください。
よろしくお願いいたします!!

http://diskunion.net/book/ct/news/article/1/64347


アルファベータブックス 春日

かまち潤の新刊『ライナー・ノーツってなんだ!?』がいよいよ2月下旬に刊行!!

Amazonほかネット書店、全国の新刊書店にて予約受付中!!

 

『ライナー・ノーツってなんだ!?』(かまち潤著 アルファベータブックス刊)2月下旬刊行!!

本体1600円+税

http://ab-books.hondana.jp/book/b279821.html

 

たぶんいままで出ていそうで出ていなかった本です。
アルバムとかに付いていて、昔は誰もがアーティストを知る最初の窓口、情報源になっていた「ライナー・ノーツ」の歴史やその意義について、あのデビット・ボウイのデビューアルバム(1973年に発売された日本盤で今は廃盤)のライナー・ノーツを書いた、かまち潤氏に書き下ろしていただきました!!

音楽は配信がどんどん増えていてライナー・ノーツの存在すら知らない若者も増えてきてますが、少しずつ、またアナログレコードが復活の兆しをみせている現代に、ライナー・ノーツの再評価も必要かも!?


<内容>
ライナー・ノーツは必要か、否か……ライナー・ノーツ廃止論が囁かれる一方で、無くては困るという意見も根強い。
その実態と現状、是非論について、ライナー・ノーツを70 年代から書き続けた著者が、その舞台裏から検証する!!

<目次>
まえがき
Ⅰ ライナー・ノーツって何だ
Ⅱ ポピュラー音楽の老舗、アメリカのアルバム・ジャケットとライナー・ノーツの歩み
Ⅲ 海外と日本のライナー・ノーツの違い、その独自的な魅力
Ⅳ ライナー・ノーツの潜在力=魅力
Ⅴ ライナー・ノーツの特権と、ここでしか公表されない貴重な資料
Ⅵ 自分が作ったオリジナル・データの掲載もライナー・ノーツで
Ⅶ 日本のライナー・ノーツ魅力=暗黙の条件
Ⅷ ライナー・ノーツは必要か、否か
Ⅸ 「かまち潤のライナーノーツ」……1『 サイモン&ガーファンクル/イン・セントラルパーク』、2『 セルジオ・メンデスとブラジル’66/マシュ・ケ・ナダ』、3『 ビー・ジーズ/チルドレン・オブ・ザ・ワールド』、4 『 リンダ・ロンシュタット・ウィズ・レン・フライ/ランディ・マイズナー/ドン・ヘンリー』、5『ルビー・ベイビー/ディオン』、6『またいつの日にか/ダイアナ・ロス&スプリームス』、7『 オービソングス/ロイ・オービソン』、8『 Joe Cocker Legends / ジョー・コッカー』、9『 オールマン・ブラザーズ・バンド/オールマン・ブラザーズ・バンド』10『 ザ・ビートルズ ザ・ファーストU.S. ヴィジット/ビートルズ』、11『 ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク/ザ・バンド』
Ⅹ かまち潤が書いたライナー・ノーツ一覧(主なもののみ)

ご期待ください!!
(アルファベータブックス 春日)

http://ab-books.hondana.jp/book/b279821.html
 
(自称、他称を問わず)アナログ・レコードの熱心な収集家は独自の目的=テーマをもち、やみくもに盤を購入しない。私が親しい同好の友人達もそうだ。しかも、幸いにも私と彼らとは収集のテーマが重ならないので、互いに情報を提供しあえる良好な関係にある。とかく収集家といえばライバルで自分の手の内はみせないものだが、テーマが重ならなければ別にどうということはない。買い得な盤を見つけたら代わりに購入したり、相手が欲しがるものを持っていたら無償で提供することだって珍しくない。私の場合はむしろ協力しあえる頼りになる仲間である。
エルヴィス・プレスリーやビートルズという競争が激しい盤の収集家はもとより、60年代サーフィンとホット・ロッドにエレキギター・インスト、フランク・ザッパやブリティッシュ・フォーク、フランク・シナトラとカントリー、ヴィッキー・カー&ジャック・ジョーンズとシャドウズ、60年代ヨーロピアン・ポップス&シルヴィ・バルタンとT・レックス、日本盤の洋楽オールディーズ・シングル、50~60年代前半までの日本発売全米20位シングル、60年代モータウンの米オリジナル盤モノラル&ステレオ・アルバム等々、人それぞれ、好みもさまざまとはいえ、とにかく皆さん日夜家族の冷たい視線を意識しながら「辞められない、止まらない」とレコード収集に励んでます。
人のことは言えません。かく言う私もかつては55年から少なくとも80年代後半のアナログ・レコード時代までは、日米盤混成ながら、全米100にランク・インしたシングル・ヒット曲全部にはじまり、アメリカのパロディ・レコード、フイレスやライフ・ソングやキャプリコーンなどのレーベル全作品、さまざまなアメリカのシンガー・ソングライター全作品などなど。さらに新たな収集テーマが加わってまさにエンドレス状態というありさまなのです。
こうなるとかなり重度の病といわざるをえない。対象になるアーティストや音楽のジャンルが多彩なので「何かがある」ということで、よほどでない限り、手ぶらでレコード店をでることがない。しかし、何かがあることは店の暖簾をくぐったら「買わずにいられない」、「買わされちゃう」ということで辛いと思うこともある。
とにかくあれもこれもと収集の手を広げずに、まず何から集めるか、対象となるレコードのテーマを決めることが大切だ。可能ならば収集のテーマは2~3あつたほうがいいだろう。経済的なことも関係するので、収集テーマはありすぎても、またなにもないというのも困りものである。
収集の対象があるか、なしか、ではレコードを探し、購入するモチベーションもまったく違う。漠然と、行き当たりばったりでレコードを購入し続けてもコレクションの中身の充実は満たされない。時々耳にする「何万枚もっている」と自慢げに語る人もいるが、ようは所有枚数よりもコレクションしたレコードの内容である。
レコード収集の究極の目的、目標は特定のテーマの完全制覇。そして理想は納得でき、同好の仲間にも自慢できる内容と、それに伴った枚数のレコード・コレクションである。

これは極めて私的な楽しみだが、毎年秋から冬の時期になると、妙に恋しくなるものがある。人肌ではなくては、温かい日本茶と煎餅とモダン・ジャズなんです。意外と思われる方もいるかと?そうなんですよ、このブログを始めるまでは、仕事関係者でも私のこの趣味を知る人は限られていた。なぜなら、音楽の仕事を生業としても、ジャズだけは趣味のままで楽しみたいとの思いから秘密にしていた。ま、あえて言う必要もなかったし、仕事にする気はさらさらなかったからそれでいい。

そもそも私がジャズに熱中したきっかけは学生時代、長年慣れ親しんだポップスやヒット曲がつまらなくなり、かと言って音楽は聞いていたいから、近しいジャズ好きの友人に感化され、さらにその種の専門の喫茶店通いにのめリこみ、レコードを買いあさった。マイルス・デーヴィスから、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、クリフォード・ジョーダン、エリック・ドルフィー、ポール・チェンバースなどなど、作品やアーティスト名を挙げれば限りがない。

そしていつ頃からかは忘れたが、なぜか夏の喧騒感が日々薄れゆく秋、寒さを感じる初冬に、窓や扉を締め切った部屋で、いつもより音量をあげてジャズに浸る習慣が定着した。ジャズを楽しむお供が珈琲でなく、日本茶と煎餅、これも揺るぎない。

この楽しみはレコード選びから、エロル・ガーナーも悪くないし、クールな女性ヴォーカルのクリス・コナーもいいな。でも今年の口火は1957年録音のアート・テイラーがドナルド・バードらを従えた『テイラーズ・ウェイラーズ』を選んだ。もちろんかけるのはアナログ・レコードに限る。この音の温もり感がなんともいえない。

 

今回はそのアナログ・レコード収集についての3回目、どうしたら目的の盤を探せるか。あわよくば低価格でというのが今回のテーマです。そんなうまい話があるわけないと思っている人もいるでしょう。ごもっとも、ただし探しているレコードを見つけ、なるべく安く買う秘訣は、誰もが出来そうで実践しない原始的な方法である。最近ではインターネットを使って探す、買い物をする人が多いが、これだと楽だが高い買い物をすることを覚悟しなければならない。

楽で便利、目的の商品を探す手間暇も省ける。湯水のようにお金を使える、価格なんて気にしない人はそれでもいいでしょう。だが、レコード収集=量より質(中味)の充実は、探す手間暇を惜しまないこと。そして「時間と自分の足」を使って探すことが「楽しい」と思えるようになって欲しい。

手間暇をかけることでインターネットや書籍では得られない知識が身につく。レコード店の特色を把握する。入荷状況、値付け、店員の知識や好み、店の品揃えでの特色、そして多くの商品を実際眺めることで、オリジナルか再発かなど、自身の目を通した情報を得る。おいおい話すが、書籍同様、アナログ・レコードにも初版、再販、再再販があり、その見極めは各社さまざまである。という知識はインターネットでは得られない。

レコード収集や購入のレベル・アップは、とにかく足繁く店に通い、数多くの盤を眺めることだ。さまざまなアルバムのジャケットやそのクレジットに目を通すだけでも得る知識は少なくない。無名のアーティストのアルバムをサポートした有名ミュージシャンやプロデューサー、英米以外の国で制作、発表された人気歌手の作品。人気アーティストが不遇時代を過ごした二流バンド在籍時のアルバムなどなど。時にはお買い得のアルバムから購入した無名ミュージシャンの作品がなかなかの力作だったりということもある。

私個人の経験から、案外一発屋的なデュオや男女無名のシンガーソングライター系、とくに70年代ものに掘り出し物がある。たとえチャートにはいっていなくても、聴きごたえのある作品が眠っている。とかく知名度や人気、あるいはヒットや好セールスがアルバム選びのポイントになるかと思うが、それだけで絶対ではない。

現代はとかく楽な探しものや買い物をしたがるが、これでは、とくにアナログ・レコードの収集にはマイナス。たとえ面倒と思い、ダサイといわれようが、地道に自分の目と足で可能な限り店の餌箱をあさることこそ収集道のあるべき姿だ。

私自身の経験から、とくに日ごろは行かない、たまたま通りかかった裏路地の小さな店などは、必ずチェックしよう。意外なお宝盤が大手のチェーン店より格安な価格で売られていることがある。私の場合はかつて1万円で売られていたエルヴィス・プレスリー初版の米盤オリジナルのクリスマス・アルバムを1500円で購入した。

打合せに行く途中で通りかかったレコード店での今も信じがたい出来事、しかも前出のアルバムよりジャケット、盤とも状態がよく納得以上の買い物で、長い収集歴の忘れられない1枚になった。それもこれも、レコード店に足を運ぶことが実を結んだと思う。とにかく楽をしては格安で、目的のレコードを入手することは無理。

過去の苦い体験から、どこに何があるかがわかるように、常に整理、整頓を心がけているが、それでも時々探しものが見つからないことがある。目的の探しものが見つからないと気になってしょうがない。以前は夢見も悪かったが、最近はあたりをつけたところで見つからない時は、あっさり諦めることにしている。絶対あるのだから、そのうち意外なところからでてくるはず。探している時には見つからず、忘れた頃にでてくるとは昔からよくいわれることで、これに従うようにしている。

さて、前回は中古のアナログ・レコードの購入にあたり、目的の盤をなるべく安く、納得できる価格で入手するには、目安となる個人的な値段を設定したり、プライス・ガイド本の活用を勧めた。なぜならアメリカと異なり、日本国内の中古レコード市場は、各店舗が独自の価格を設定、たまに得もあるが、高値の買い物をさせられる場合が多いことも事実である。
音楽知識があり、経験も豊富なレコード収集家なら「なぜ」目的の盤が高いか、妥当かの、値付けの理由を理解し、見送るか、購入に適しているかを判断出来るが、そうでないユーザーは価格に不満を感じつつ、欲しいという目前の欲求に負け、後悔しつつも買ってしまったという経験もあるだろう。さらに後年、最悪にも同じレコードが自分が購入した価格の半分、3分の1で売られていたりしたらガッカリである。
この10年を振り返っても、日本国内の中古市場でのアナログ・レコードの価格はとても流動的で、ニーズがあるからという漠然とした理由だけで数年前まで700~1500円ぐらい盤が、現在は7~8000円代で売られている。
だからこそそういう風潮に左右されず、独自の、たとえばマニアックな、レアアイテムでない限り、1500~2000円が個人的な買う目安とか、それを大きく超えた値段のものは見送ることも必要である。そしてオリジナル盤にこだわり、レアアイテムの購入にバイブルとして重要なのが、プライス・ガイド本である。
アーティスト、レコード発売年順に記載、盤の状態、オリジナルか再発等の条件でアメリカ中古市場での取引価格が明記されている。日本よりも中古市場の歴史が古いアメリカならではのもので、通販や客と対面でレコードを売る際にこのプライス・ガイド本の値付けが頼られる。日本には切手はあるが、アナログ・レコードの国内統一のプライス・ガイド本はなく、レアアイテム盤の購入時にアメリカ発刊の同本を利用することがよい。
たとえばアメリカの中古市場で30ドルのレコードが、こちらでは3000~3300円で売られていたとすると(かりに1ドル100円と計算)、これに手間暇と輸送料を加えた価格としては良心的な値段である。もちろんその価格より安ければ買い得、高値、あるいは盤(ソリや目視しても傷がひどいもの)やジャケットの状態(角を切ったり、切れ込みが入ったカット・アウト、すれ傷や書き込みがあるものは見送ろう)も妥協や見落としがないように値段とは別にチェックする。
値段に納得できずに見送ってもよほど希少なレコードではない限り、時間をかけ、自分の足でレコード店巡りを心がければ、思いもよらない嬉しい出会いも体験できる。個人的な話で恐縮だが、61年発売の米アトコ盤、ボビー・ダーリンの「ツイスト・ウィズ・ボビー・ダーリン」を国内の中古レコード店で見つけた時の話だ。かねてから捜していた欲しい1枚だったが、3800円という価格にブレーキがかかった。ジャケットと盤の状態も良く、プライス・ガイド本の記載価格も40~50ドルで、むしろ得な買い物だったが見送った。
迷ったら買うか否かをはっきりし、後悔しない。というのが私の心情で、いずれまたどこかで見かけると、確証はなにもないが、思った。その後誰かが買ったらしく、店頭からそのレコードは姿を消した。それから1年後、再び別の店でそのレコードを見つけた。状態は見逃した盤と同じに良く、しかもときめくほど信じがたい破格の低価格だった。欠陥商品ではと思うほど、いまもって信じられない1500円だった。迷わず購入したが、こんな幸運ってある門だ、とつくづく感じた印象深い出来事だった。
さて、すでにもっていて活用しているレコード愛好&収集家の方もいると思うが、プライス・ガイド本の入手方法について紹介しょう。最も簡単なのがアマゾンの洋書中古本で見つけること。あるいはアメリカの音楽誌「ゴールドマイン」の書籍販売を利用すること。同誌発行のプライス・ガイド本はジャズ、シングル盤、ドゥワップ、カントリー、オルタナティブ、CD&プロモーション盤、ロック&ポップス・アルバムなど、12種類もあるので間違わないように。購入申込書もついているので英語が苦手でも大丈夫でしょう。
(つづく)


昨年あたりからアナログ・レコード人気が再燃のきざしとよく耳にする。「エッ!ほんとかな。一過性の気の迷いでは」と思っていたら、足繁く通う中古レコード店で、しばしば奇異な光景をを目にするようになった。それがアナログ盤人気を反映したものかは言いがたいが、とにかく若者から年配者、外国人とさまざまな洋楽好きの面々が、両手にかかえきれないほどの数のレ

コードを買い漁る姿を見る。

 

その枚数たるや平積み状態で異様、同好のアナログ盤ファンとしてはどんなものを選んでいるのか気になるので、彼らが購入しょうとしているレコードをさりげなくチラ見して、納得したり、へぇーと思ったりである。なんたって異常な枚数だから、余計な御世話ながら、それ全部聞けるのかと思ったり、なんだね。

 

枚数はともかく、欲しいレコード探しは盤やジャケットの状態と価格が購入の決め手になる。もちろんここでいうレコードは中古のアナログ盤である。ジャケットが白くすれていたり、ステッカーやテープが貼られ、書き込みがあるものはパスしたい。またジャケットの角や深い切り込み傷のあるカット・アウト盤も遠慮したいというのが基本的なレコードの選択条件だ。

 

それともうひとつ、覚えておいて損はないのが中古レコードの価格。アメリカで発行されているプライス・ガイドの価格が目安によい。このプライス・ガイド本は中古レコードの売買が最も盛んな市場のアメリカで発刊されたもので、あちらでは業者とユーザー双方の信頼度が高い。日本国内では店独自で値付けされ、プライス・ガイドも、ユーザーが判断材料にするものがない。

ゆえにお得な買い物をすることもあれば、法外な値段を目にするばあいもありで、手が出ないという経験をしたユーザーもいるはず。だからとくにレアな盤を探す人は、高い、安い、だけでなく、日本国内のレコード店の中古盤価格表示を自己判断する物差しとして利用することをすすめる。

さらに日本盤シングル、あるいはアルバムなら、一部の個人的な例外を除きいくらまでなら納得して購入できるかの目安を決めておくことも必要だ。

高値で買って嬉しさ半分、後悔半分の同好の友人達を随分見てきた。後ろ髪をひかれるが、またの出会いを気長に信じて、その場はパスする決断力も大切である。

(つづく)