秋田でツアーが発表されて、
なんだかそれが恒例になっていて
わたしは変わらず「あ、寿命が延びたなあ」とあっけらかんと思っていた。
しにたいとか思ったことはない、
けれどもどう生きていこうかは常に迷っていて、
生きていく意味を作り出す決意をして終わるACMFに
どうしたって繋ぎ止めてもらう気持ちを持つしかなかった。
アルバムのツアーでもないし、
久しぶりの曲をたくさんやるのではないかな、と漠然と思っていた。
その予想はわりと当たっていて、
でもその実は、全然当たってなかった。
昔を懐かしむ、ということなんて
到底ないものでした。
途中で歩けなくなってしまった、
高橋優live tour 2019-2020
【free style stroke】
備忘録。
備忘録すぎて、セットリスト書いてないとわかんないね。あは。
見慣れているコンチクショー系ソングたち、からの
"選んだ道は正しいかな"
"愛とか夢だけじゃ生きられないんだな"
"辛いことの中にちょっとある"最高"のために僕らは歩く"
の名フレーズオンパレードゾーンからの、
優しいトーンで世の繊細さと儚さを歌い上げていく。
そしてどっしり構えて圧をかけてくる「CANDY」。
ここまで、ああ懐かしいな、なんてほんわりした気持ちだけでいられるはずもなく
息がくるしくなるほどの豪速球。
曲調はそんなに激しくないはずなのに、えっ全然打ち返せないんですけど、えっ情報量、えっ、の数々。
はじめてふわっと、息をつけたのは
中盤も中盤の「BEAUTIFUL」だった。
わたしにとって、「非凡の花束」と同じ立ち位置のうた。
残念ながら(というのが正しいのかはわからない)結婚してもないし子どももいない、
だからちょっとだけ、居心地を探してしまう歌。
それでも、
"「BEAUTIFUL」を聴くと君を思い出すよ"
って言ってくれた子がいて、
きっと歌詞そのものをわたしたちにぶつけてくれるステージ上の人がいて、
そうだ、この曲がまたひとつたいせつな歌になったんだと改めて。
ラブソングはラブソングとして存在しているけど、
繰り返しうたわれる「君」はわたしたち音を受け止める人のことで、
屈託のない愛情は何年もの時間をかけて信頼になった。
それがうれしい。
そんなことが巡りながら、
あ、これは走馬灯だなあと思った。
いつか自分が終わる時、
必ず思い浮かべる、浮かべたい景色たち。
それは正面の景色もそうだし、
そばにいる横顔、上から降ってくる音、
ああわたしは360度覚えてたいなっておもう。
そうか、これが「君の背景」か。
わたしのうしろの景色は、確かにいとおしい。
ここでやっと、
安心してポロポロとした。
もうひとつ、キーワードだなと思えたもの。
「CANDY」であんなに忌まわしきものになっていた絵の具が、
"どの出来事も君を彩る絵の具になる"と
希望の象徴として見れるようになったこと。
切り返し地点にいた「アスファルトのワニ」の
"君の思うまま読んでほしい"は
明らかにかつての少年からいまの子どもたちへの目線で、
まるで同じ目線の高さに合わせてくれるような、
包み込むような強さがあって。
高橋が、どの曲も、どの時代も
全部ひっくるめて持っていく気なのはいつも感じているけれども、
時間がたったからわかるもの、落とせたこと、が
増えてきたからこその
"負けるわけにはいかない 勝ち続けなきゃいけない"
を描く色になったんだな、という汲み取り方をした。
僕らは大人になったんだ。
(これはびーばー)
もっと言うと
"10年後またここで会おうよ"の、10年が、
高橋の10年がもうきてしまうことに気付いて、
相乗効果で時の流れに高ぶるきもち。
去年のツアーからだけど、
「象」はたいへん涙腺に緊張感が漂う時間であります。
そして最後に次の自分を新曲でちょい見せして去っていった高橋。
前ツアーがスタートラインを引いたのだとしたら、
今ツアーはそこから一歩踏み出してった。
育つといい。音たちが。
そう思たら、
なんだかわたしも一歩踏み出せた気分になった。
アンコールはちょっとなんていうか
アンコールですね、っていうきもちでした。
(語彙力)
追伸、みたいな。
時にそれがいちばん照れくさいメッセージだったりして、
ツボ氏が前に言ってた世界で一番好きな曲「明日への星」は
少し離れそうだったわたしも、まだついていけるな、って思い直したうただったし
それがくるぞくるぞと思っていた2公演目のフェイントできた「プライド」は
リアルに頭を抱えました。
これはほんとに、追伸、だったなあ。
残り香、みたいな。
名古屋、大宮とひとりで参加して
最後の神奈川は、県民ホールは、
いつも一緒に見ている2人と感動を分かち合うつもりだった。
この声ツアーも、雨晴れツアーも、明滅ツアーだって、
たくさんたくさん思い出が詰まっている場所で
また同じものを見て泣き合うつもりだった。
そうだったんだよ。
叶わなくなってしまった。
この感想たちも、
もう少し書き足されていくはずだったんだけどなあ。
だけどこれが2020年のわたしの言葉で、
いつまでだって、夜明けを待っている。