本『愛の顛末 純愛とスキャンダルの文学史』梯久美子 文藝春秋 | 東海愛知新聞『矢作に住んでみました』バックナンバーはコチラ

日曜日の深夜、高校生の息子が発熱

1週間かけて、やっと体調が戻った私・・・

 

 

滅多に熱を出さない息子が、頭痛もあるというので

 

深夜の救急外来にかかって以来

 

付き添っていた、私にも

 

じわじわ、じわじわ

 

・・・・

 

と症状がうつり、

 

魔の1週間を過ごすこととなる

 

 

 

 

(そういえば、朝から喉が痛いと言っていたっけ)

 

 

 

自分の喉がおかしくなり、声が枯れてから

 

息子もこんな症状だったのかと

 

激しく、実感した

 

これは辛いわ

 

 

 

コロナは2回罹患したが

 

そこまでひどくはないな、と思いつつ

 

似たような厳しい症状が続く

 

 

 

・・・・・

 

・・・・・

 

 

 

貧血は度々起きても、

 

熱の出ることがない私が

 

こんなに発熱するなんて

 

 

 

しかも

 

倒れて、1キロ2キロと

 

体重が落ちることはあっても

 

今回のように、一気に3キロ落ちるなんて

 

初めて

 

 

 

 

咳は酷くて、喉は枯れる

 

咳をするたび頭痛に突き刺さる

 

鼻水も凄くて、

 

喉の奥や、鼻の奥、そして

 

頭のてっぺんまでもが

 

モゾモゾモゾモゾと

 

蠢くような

 

そんな気持ちの悪い症状だった

 

 

咳をしまくったおかげで

 

腹筋は筋肉痛状態である

 

 

 

 

日頃は、私が親の面倒を見ているせいか

 

私の面倒は、せっせと旦那がこなしてくれた

 

 

(人間って、変わろうと思えば、

 

こんなにも変わるもんなんだな・・・・)と

 

苦しいながらも冷静に分析をする

 

とにかく

 

ありがたいことである

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時

 

倒れる前から読んでいた一冊がこれ

 

 

『愛の顛末 純愛とスキャンダルの文学史』

 

梯久美子

 

文藝春秋

 

 

 

 

尾崎士郎、宇野千代、梶井基次郎の

 

三角関係に興味を持ったため

 

読み始めた一冊であったが

 

彼ら3人以外にも

 

エピソードの興味深いこと

 

 

 

 

なにしろ、

 

明治・大正・昭和

 

を生きた

 

文学者の面々である

 

貧困、病気、戦争と

 

激動だった時代の荒波の中を

 

生き抜いた作家たち

 

 

 

 

 

赤裸々で純粋な思いの数々

 

 

 

 

スキャンダルとは

 

周りの人が感じたもので

 

本人たちにとっては

 

己に真っ直ぐに生きただけ

 

スキャンダルな出来事を起こそうとは

 

これっぽっちも

 

思っていなかったに違いない

 

 

 

とにかく、不器用に生きた人間たちの

 

思いの激しさと病の重さが

 

ずっしりと残る作品集である

 

 

 

体調の悪い時に読んでいたためか

 

臨場感がひしひしと迫ってくる

 

 

 

 

世の中には

 

自分を曝け出さずにはいられない人達がいる

 

そういう人こそが

 

作家になるべき人種だろうと

 

思うのだが

 

その感覚を

 

太宰治が非常に的確な言葉で

 

表現している

 

 

私の大好きな言葉のひとつだ

 

それが

 

この本の中にも登場している

 

 

 

 

 

「 小説を書くというのは、

 

日本橋のまん中で、

 

素っ裸で仰向けに寝るようなものだ 」

 

 

太宰治

 

 

んーーーでしょうね

 

全くその通り

 

 

私は岡崎市民なので

 

橋で例えるなら

 

「矢作橋の上で仰向けに・・・」

 

でも

 

「殿橋の上で仰向けに・・・」

 

でも、いいんだけど

 

 

あ、

 

今は「桜の城橋」ができたから

 

そっちの方が雰囲気あっていいなぁ

 

木の香りと

 

木の温かみが

 

居心地良すぎて

 

違う方向へいっちゃうかも〜〜〜

 

・・・・・

 

・・・・・

 

 

それはいいんだけど、

 

 

 

 

人とは

 

 

人の本心と、

 

その本心から来る行動を

 

こっそり知りたいものである

 

 

 

それをこっそりやらずに

 

堂々と行うのが

 

作家であり

 

芸能人なのだろう

 

自分を売るために

 

わざとプライベートを売りまくるような

 

 

炎上商法は好きではないが

 

危ういまでに、純粋な気持ちから

 

真っ直ぐにつっ走る人は

 

どれだけ、止めたほうがいいと思っていても

 

逆に、応援したくなるものである

 

 

 

 

この本の作者は取材がとても丁寧で

 

人の気持ちや心の動きを

 

丁寧に丁寧に

 

そして

 

とても大切に

 

掬い取っている

 

 

 

優しくて、心の温かい人なのだ

 

 

 

改めて、

 

この本に登場した文学者たちの

 

作品を

 

読み直したいと思った

 

 

 

特に

 

梶井基次郎と宇野千代の関係性が好きで

 

原民喜には泣いた

 

 

 

原民喜の人生の最後に

 

こんな時間があったとは

 

絶句である

 

 

 

作品は知っていたけれど

 

こんな辛い状況で

 

作られた作品だったとは

 

改めて、心が震える

 

 

その境遇には涙が止まらず

 

作品を読めば

 

その涙が

 

衝撃で止まってしまうほどである

 

 

 

 

魂の叫びとは

 

原民喜を表す言葉のようなもの

 

詩という言葉が持つ

 

威力の凄さを

 

民喜は残して、この世を去ったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

原民喜 原爆小景

 

 

梶井基次郎 桜の樹の下には