どうしようもない映画というのがある。
社会的テーマが盛り込まれているわけでもなく、人生の機微に触れるわけでもなく、エクスプロイテーションにひたむきな情熱を注ぐ潔さもなく、純粋にひたすら面白くない映画。
エド・ウッド脚本の
「死霊の盆踊り」とか
(公開した時はたしか「墓場で盆踊り」だった気が)
ロマン・コッポラ監督の(コッポラ監督の息子)
「CQ」とか
サイエントロジーの創始者L・ロン・ハバード原作、ジョン・トラボルタ主演のSF
「バトル・フィールド・アース」とか。
これらをまとめて「Z級映画」と人は言う。
Z級に認定されるためにはかなり高いハードルを越えなければならないが、そのラインナップにぜひ加えたくなったのが、イ・ビョンホン4年ぶりの韓国映画主演作「メモリーズ/追憶の剣」だ。
高麗末期、3人の凄腕剣士がいた。
ドッキ、ソルラン、プンチョン。
3人は王に反乱を起こそうとするが、ドッキの裏切りで、プンチョンは死に、ソルランはプンチョンの子供ホンイとともに姿を消す。
18年後、ドッキはユベクと名を改め権力を欲しいままにしていた。
ソルランはウォルソと名を変え、プンチョンの娘ホンイを育て、ホンイは武術家としてめきめきと成長していた。
ある日ユベクが主催する武術大会に飛び入りで参加したホンイは、その大会の優勝者と互角に闘い、ユベクの目に止まる。
その剣さばきは、かつての恋人ソルランにそっくりだった。
ユベクはホンイに興味を持ち後を追い、彼女の正体を知ることに。
ホンイの存在がユベクにばれたことを知ったウォルソは、長年の秘密をホンイに打ち明けることを決意するのだった。
生まれて初めて映画の途中で席を立って帰ろうかと思った。
「デビルマン」でさえ最後まで観れた我慢強い子なのに。
(⌒-⌒; )
冒頭から空中を飛びまくる主人公にいきなりがっくり!
重力を無視したワイヤーアクションほど興ざめするものはないことをいい加減わかってほしい。
格闘アクション好きにとって見たいのは本物なのだ。
例えワイヤーを使ったとしても、もっとリアルなアクションがあると思う。
「アクションは、ほぼノースタント」と自慢げにパンフレットに書かれていたが、それは当たり前。
撮影にあたっては、かなり厳しいトレーニングが必要なのは理解しているが、ワイヤーで吊って超人的な動きができるのになおかつスタントがいるなら、アクション映画にでる資格はない。
ストーリーも酷い。
まず王朝をひっくり返すのに3人だけなんてとても大人の発想とは思えない。
その稚拙な計画には失笑したが、少女を一流の剣士に育て、自身もかつて最強剣士と呼ばれたウォルソの目論見には唖然とした。
こちらは笑い事では済まされない。
ー以下ネタバレー
実はプンチョンの娘ホンイは小さい頃亡くなっていた。
ウォルソは自分の犯した罪を償うためにホンイの代わりにお腹の中にいた我が子(ユベクの子を妊娠していた)をホンイとして育て、その子に実の両親(ウォルソとユベク)を殺させるつもりなのだ。
はぁ?
はい、わかります。
まったくその通り
とても正気の沙汰とは思えない。
自分と元恋人を殺させるために子供を育てるとはまったく理解不能である。
これが母親がサイコだとか言うなら話はわかるが、そうではなくて悲しい親子の物語として扱われているから救いようがない。
きっとイ・ビョンホンが出演しているという理由だけで、配給したに違いない。
パンフレットには登場人物を剣に例えて紹介している。
欲望の剣、正義を守る剣等々
だったらどうか私は“忘却の剣”で、この映画を観たメモリーズを全て断ち切りたい。
そう言えばカン・ドンウォン主演の「デュエリスト」でも同じような体験をした。
ひょっとすると韓国の時代劇アクションにだけ特別拒否反応があるのだろうか。
も、もしかしたらこの映画、他の人が観たらすごいいい映画なのか?
ふとそんなことを思ったのは、隣りの中年の女性は映画で感動して泣いていたからである。
(;OдO)えぇ~