人生は選択の連続である。
その先どうなるかは誰もわからない。
だが、もしそれがわかったら?
何よりも大切な出会いに、とてつもない悲しみを伴うことがわかってしまったら?
それでもその道を選択するだろうか?
テッド・チャン著「あなたの人生の物語」の映画化作品「メッセージ」を観終わった後、深い感慨を覚えた。
これは、SFのジャンルを超えた親娘の絆の物語である。
ある日、地球の各地に巨大宇宙船が出現し、言語学者のルイーズ・バンクスは、軍の要請を受けて、物理学者のイアンと共に宇宙人の言語を解読しようと試みる。
ヘプタポッド(7本脚)と呼ばれる彼らの文字言語は、とても異質で、しかも彼らは地球人とはまったく違う時間の概念の中で生きていた。
彼らの不思議なリング状の文字を解読していくうち、ルイーズ自身の感覚にも次第に変化が生まれてくる。
あらすじを読んだだけではどこに親娘の絆が出てくるのか想像もつかないが、ヒントは何度もインサートされて登場する。
原作を読んでいる人なら脚色のうまさに驚いたに違いない。
原作は面白いが、地味すぎてとても映画化できる代物ではない。
それを宇宙人とのファーストコンタクトと言語の解読という骨子は残しつつ、後半原作にはない地球規模の危機というクライマックスで盛り上げる。
原作の中の難解な理論を咀嚼し、わかりやすく描きながら原作のエッセンスをちゃんと掬い取っている。
宇宙人の言語の表現と彼らに影響されていくルイーズの様子は映画の方がわかりやすい。
換骨奪胎したストーリーながらも原作と同様のセンス・オブ・ワンダーもちゃんと生かされていた。
主人公の大きな使命と運命。すべてが明らかになった時の彼女の人生の選択に思わず胸を打たれるに違いない。
