こんにちは。
直接雇用歴10年・派遣社員歴20年のロウです。
今回は、派遣社員なら誰でも遭遇し得る
「就業条件相違(契約と違う業務をやらされる)
→「なぜか自己都合退職へ誘導される」
という流れについて、業界の構造と現実に基づいて解説します。
募集内容と実務が違う
派遣社員で働いていると、次のような「就業条件相違」に遭遇することがあります。
- データ入力業務として就業したのに、実際は電話発信業務
- 在宅勤務ありと募集していたのに、いつまでも開始されない
- 業務内容・範囲が明らかに違う仕事をさせられる
このようなケースは、決して珍しいことではありません。
なぜ条件相違が起きるのか?
主な原因は次の通りです。
- エントリー数を増やすため条件を美化して掲載
- コーディネーターと営業で認識がズレている
- 派遣元と派遣先の認識のズレ
- 派遣先の意向変更(現場事情の変化)
しかし、原因が何であれ、契約と実務が違う以上、それは派遣社員の責任ではありません。
条件相違を伝えた後の典型的な流れ
まず、派遣社員が「業務内容が契約と異なる」と派遣営業に連絡すると、多くの場合は次の対応になります。
①まず曖昧な回答で時間を稼がれる
- 「来週、派遣先担当者様に会う予定があるので確認します」
- 「今、確認中ですのでお待ち下さい」
- 「現在、派遣先担当者様の回答待ちです」
ここで連絡が途絶え、数日経過します。
②再度問い合わせると、さらに曖昧な返答
- 「担当者には伝えました。」
- 「いずれ改善されると思います」
- 「しばらく様子を見てください」
結果として2~3週間ほど放置されることも珍しくありません。
ここには、営業側の”無意識の戦略”が働いています。
派遣営業が”放置戦略”を取る理由
営業は経験的に次のことを知っています。
- 強く言い続ける派遣社員はごく少数
- 多くは次回更新への不安から遠慮し、途中で主張を弱める
- 時間を置けば、不満が薄れて諦めることが多い
つまり営業は、
”時間をかければ自然に落ち着く”
と期待して対応を先延ばしにします。
これは個人の悪意ではなく、
業界全体の”慣行”として定着してしまった行動パターンです。
それでも諦めずに申し出を続けると、話が"すり替わる”
派遣社員が引かずに主張し続けると、営業は方向転換します。
本来の問題
「契約と実務が違う=派遣元が派遣先へ調整するべき」
↓
営業がすり替える問題
「あなたが仕事を続けられないだけですよね?」
ここで、営業は
契約違反は絶対に認めない
姿勢へシフトします。
そこで、次のような言葉が使われます。
自己都合退職への誘導でよく使われる言葉
- 「継続が難しいのであれば契約期間短縮しますか?」
- 「このまま続けられないなら、契約を続けることはできせん」
- 「あなたの社会保険料の負担も発生してしまいますし、一旦契約期間短縮の手続きをしましょう」
- 「優先して次のお仕事紹介させていただきますので、一旦現在の契約を終了させてから、次の仕事を探しますか?」
こうして
「契約違反を訴える派遣社員」
↓
「現在の仕事を辞めたい派遣社員」
という構図に書き換えられていきます。
社会保険を理由にした説明の矛盾
「あなたの社会保険料の負担も発生してしまいますし」
という説明をされることがありますが、
制度的には次のような整理になります。
・派遣社員側
退職後は
- 国民健康保険
- 国民年金
を支払うだけで、負担が大きく変わるわけではありません。
・派遣会社側
あなたが在籍する限り、
社会保険の事業主負担(会社負担)が発生する。
つまり、
「あなたのため」という説明にみせかけて、
実際は派遣会社側のコストを減らしたいだけ
というケースが多いです。
営業は「派遣社員は制度をよく知らないだろう」と思い、
不安を煽る形で自己都合退職へ誘導するケースがあります。
問題は”個人の資質”ではなく派遣の構造に原因がある
この問題は、派遣社員が悪いのではなく、構造的に起きています。
- 三者関係の中で責任の所在が曖昧
- 派遣社員の声が可視化されにくい
- 派遣先との交渉が営業にとってリスク
- 法制度の知識差で、派遣社員が反論しにくい
- 営業は売上優先の評価制度
これらが重なることで、
条件相違(契約違反)→時間稼ぎ→諦め待ち→自己都合退職誘導
という流れが慣行として続いています。
最後に
同じような状況にある方は、
まず証拠と知識を持つことが自衛になります。
- 募集要項の保存
- 契約書の内容
- 派遣営業とのやり取りの記録
- 実際の業務内容の記録
- 法制度の確認
構造を知り、
「自分のせい」と思い込まないことが大切です。
派遣という働き方が健全になるためには、
こうした構造への認識が広がることが必要だと感じています。