こんにちは。
直接雇用歴10年・派遣社員歴20年のロウです。
今日は
「派遣=中抜き」のイメージって何であるの?のお話しです。
派遣に対するイメージは、どのように定着したのか
派遣社員の賃金や待遇について調べると、
ほぼ必ず目にする言葉があります。
「派遣社員はいくら働いても中抜きされる」
「派遣会社は間に入るだけで儲けている」
これらの表現は、
いつから、どのように定着していったのでしょうか。
派遣料金と給与を並べて語る構図
派遣について語られるとき、
よく使われるのが次の比較です。
- 派遣先が派遣会社に支払う金閣(派遣料金)
- 派遣社員が受け取る給与(手取りまたは額面)
この2つを並べ、
差額を「派遣会社の取り分」「中抜き」と表現する語り方です。
この構図はとても分かりやすく、
数字が2つ並ぶことで差が一目で見えます。
専門知識がなくても理解しやすいため、
メデイアや情報発信では使われやすい表現になりました。
省略されている前提条件
しかし、この比較には
いくつかの重要な前提が省略されています。
一般的に、派遣料金には以下のような費用が含まれます。
- 派遣社員の賃金
- 社会保険料の会社負担分
- 有給休暇にかかる原資
- 営業・労務管理・事務部門の人件費
- 法令対応、教育・システム維持費
- 派遣会社の事業利益
これらは、派遣という仕組みを維持するために必要なコストです。
しかし、派遣料金と派遣社員の給与だけを並べる語りでは、
こうした要素はほとんど説明されません。
なぜ「中抜き」という言葉が選ばれたのか
「中抜き」という言葉は、
単なる構造説明ではなく、評価を含む言葉です。
- 不正
- 不当
- 本来あるべき取り分を奪っている
といった印象を、言葉自体が持っています。
メデイアやインフルエンサーにとっては、
- 感情を動かしやすい
- 共感や怒りを引き出しやすい
- 拡散されやすい
という特徴があり、
制度を丁寧に説明するよりも
強い言葉が選ばれやすくなりました。
正社員の構造と比較されにくい理由
同じ雇用の仕組でも
正社員については次のような比較はほとんど行われません。
- 会社が得た利益
- 正社員の給与
仮に、正社員が会社に100万円の利益をもたらしても、
その全額が個人の給与になるわけではありません。
会社の運営費、他の社員の人件費、
事業リスクを含めた上で給与が支払われます。
この構造は、一般的に受け入れられています。
一方で派遣社員だけが
「個人で生み出した価値=全額本人のもの」
という前提で語られることが多くなりました。
印象が固定化された経緯
こうした単純化された語りが、
- 繰り返され
- 切り取られ
- 引用され
- 再生回数が回る
という流れを長い時間かけて積み重ねた結果、
派遣会社=中抜きする存在
派遣社員=価値を奪われる存在
派遣社員=可哀想な弱者
というイメージが固定化されていきました。
その過程で
- 派遣制度の成り立ち
- 企業間取引としての商流
- 派遣会社の運営コスト
といった点は、語られる機会が少なくなっていったように思います。
最後に
派遣会社に対する否定的な印象は、
一部の事実を誇張したというよりも、
- 分かりやすさを優先した比較
- 感情を動かす言葉の選択
- 構造説明の省略
これらが積み重なって形成されたものだと考えられます。
派遣について考える時は、
数字だけではなく、その数字が生まれる仕組みも
あわせて見ることが大切です。
派遣社員としては、
メデイアやインフルエンサーの情報に過度に振り回されず、
- 制度を把握する
- 自分の目的や希望を整理する
- 派遣制度をどう使うかを考える
そうすることで、
仕事選びでも、派遣営業とのやり取りでも、
必要以上に嫌な思いをせずにずに済むと思っています。