愛と平和の弾薬庫 -77ページ目

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

サテンドールでの「風ズ」デビューライブ。
「Becouse The Night」なんぞ歌うちょっとイカシた女の子のいるトリオの演奏のあと、ショーイチ&トム&タカシくん9時ちょい前に登場、最高のステージを繰り広げる。もう「モノが違う」という感じだね。Call & Responseも自然にこなしちゃて、貫禄さえ感じられる。
トリをとった「スマイラーズ」は懐かしいコード進行の世界、だったんだが「風ズ」のあとでそうとうに苦しかった様子。
てなステージの印象を家に帰ってから春ちゃんに報告。春ちゃんは「だろうね」とひとこと。去年の定禅寺ジャズを見た時、
「トムひとり入っただけで違うバンドになった」と、そう言っていた彼女だったのでした。
南足柄から新玉&新ジャガ&赤玉!
新玉サラダ食い放題だ!
新ジャガふかし放題だ!
ニャハハ!血液サラサラだ!
長町を走ってたらYappoを見かけた。約十年ぶり。
ギョロリとした目。でかい口。骨と皮。どんな苦労をしたのか厳しい顔つき。しかし昔ながらの与太歩き。へたな役者よりよっぽど存在感に溢れていた。
数年ぶりに八木山動物園へ。シジュウカラガンが注射を前に大騒ぎ。白鳥がバチャバチャばたばた、飛び立とうとジタバタジタバタ、キレていた。さもあろう。二十七度ともなれば帰らなくてはならないのだ。北へ。しかし羽を切られている。猛獣舎の近辺は人だかりが激しく、レッサーパンダも神経質になっていた。ぜんぜん寄ってこない。
清原、2000本安打達成。(ヤクルト戦、投手ベバリン)
本日のメニュー
●骨付き鳥のほろほろ煮(鍋、ポン酢で)
●緑豆春雨のサラダ(錦糸卵ときゅうり入り)
●ふろふき大根(ちょい辛味噌がけ)
●にんじんときゅうりの糠漬け(てんこ盛り)
&鬼ごろし
日本人の喜び!
数年ぶりにRom氏宅へ。夫妻ともご健康そうで何より。佐々木家に続きまた大量に「もらって」くる。見そびれていたウルトラQ~dark fantasy~の第一回も見せてもらう。あ、ポールのGIGのビデオ返してもらうの忘れてた。
とっておいたビデオ「砦なき者」(野沢尚原作・脚本)、獣としての人間のぶつかり合い、法律や倫理など飛び越えてしまう一瞬、本当に久しぶりにブラウン管にかぶりつき。
午後7時半、病院より電話。伴侶、とたんに看護婦の顔となり緊急出勤。急にからっぽとなる我が家。頼りない俺。
彰一の家に行った。チラチラ寄ったのを別にすれば今年初。
Tが随分タレ目になったように見えたのは機嫌がよかったから? 機嫌がよかったのはお父さんと遊んでたから? いやいやホントに仲の良い父子で、なのに「お父さんありがとう」なんて言葉がスッと出てきたりして、甘ったれた雰囲気が希薄なのが清々しい。
Hちゃんも始め眠ってたのにお母さんが帰ってきて目覚めてもグズるでもない。よほど根性入れて寝てたんだなあ。
子など持ったこともない俺には知りようもないご苦労はもちろんあるんだろうが、父親が出張がちな家庭とは思えない、みんなとっても仲良しで折り目正しい素敵なFamilyだね。
お邪魔虫のくせして勝手に「単独作業」に没頭してたせいで、今まで見られなかった「佐々木家」をなんとなし垣間見たような、そんな訪問であったな。
それにしてもお子達のいる家の、いつのまにやらこっちまでとろ~んとしちまうあの香り、やわらかい生命の匂いって感じで、いいなあ。
 「あいつら自分を何だと思ってんだろうな!?」
 と張りのある少々でかい声でオヤジは言った。
 「あいつら……、拉致の家族や兄弟さあ……」
 拉致の家族や兄弟、と言われてまず頭に浮かんだのは北朝鮮に拉致された人たちの家族だった。だが北朝鮮拉致問題の関係家族をこんな言葉で表現する人間がいるとも思えない。なんたってあの人たちは一つの事件の被害者であり、その家族なのだ。まさかそんな人たちを「あいつら」呼ばわりはあるまい。
 さらには、である。時期的に〈拉致の家族や兄弟〉と言えば今現在マスコミに大露出中の人たちがいる。そうだ、このオヤジはそっちのことについて話しだしたのだ。そうに違いない。話の流れとしちゃ突飛だが、そんなのはタクシーの中では日常茶飯事だ。うむ。話がこんがらがっちゃ車内の雰囲気が悪くなる。一応確認しとこう。
 「拉致の家族や兄弟って、イラクで捕まった人たちの…すか?」
 すると、ちょっと苛立ちを抑えたような声でオヤジは答えた。
 「いや、北朝鮮のさ」
 話の流れってもんがあるだろう、そんな苛立ちを、まあタクシーのウンちゃんだからな、といった蔑んだ憐れみでどうにか包み込んだんである。それまで、お客さんたるこのオヤジと俺は〈北朝鮮で列車爆破〉というニュースについて話していたのだ。

 北朝鮮に拉致された人たちの家族について、「あいつら自分を何だと思ってんだろうな」だって――?

 やあな予感がした。まさかこのオヤジ、と思った。とんでもないブァカなんじゃないだろうか。俺、キレちまわないだろうか。
 しかし俺のそんな危惧をよそに、予感は的中のフィールドへと確実に歩み寄っていった。
 あいつらは傲慢。北朝鮮のことじゃ武器問題が先決。今は国民の同情を得られてるからいいようなもんだがそのうち呆れられるぞ。(当人はすでに呆れているらしい)
 こんな時! ああ、こんな時、「そーっすよねえ! ほんと傲慢っすよねえ、あの人の物言い!」とか適当な言葉でお上手に切り抜けられるのがいわゆる〈できたタクシー乗務員〉なんだろうなあ。そう思った。しかし、そんなことを思いつつも、頭じゃ充分にわかっていても〈自分にとって嘘じゃない範疇〉でしか物が言えない俺である。
 「確かに、あの蓮池透さん、すか? いつでも強気ですよねえ」
 何とかかんとか感情を抑え込んでやっとこんなことを口にした。
 ところがと言うか、やはりと言うか、この言葉がオヤジにとってはジャンプ台となった。いや……違うんだろう。もうこういうオヤジはハナッから言いたいことを決めてるのだ。俺が何を言ったところで何も変わらないのだ。そしてこういう人にとっては、タクシーの車内という場所は何でもかんでも言いたい放題の場所なのだ。
 「あの兄貴かあ……。どういう時期に誰に向かって物言ってんだかさ。外務省だのにうまくあしらわれてんのわかってねえんだよ」
 「ああ……、そうかもしんないすねえ」
 「だいたい、チョロチョロしてっから拉致されんだろうが」
 ハ……?

 信じがたかった。
 まともな人間の言葉じゃない。そう思った。
 自分の家族が同じ目にあってみろ! そんな言葉が頭のてっぺんから飛び出そうだった。
 キレていた。俺はキレていた。降りてくださいぐらい言える、そんな状態にしっかり身も心もはまり込んでいた。
 ところが、である。ハンドルを握る手はブルブル震えていない。われながら不思議なほど落ち着いている。
 チョロチョロ発言が俺にそんな落ち着きを与えていたのだ。
 こいつはブァカだ。どうしようもないバカだ。人間じゃない。
 見事にそう思わせてくれた、いわばオヤジの〈逆勝利〉だった。
 俺の〈逆完敗〉である。
 俺は黙った。黙り込んだ。
 しばしの沈黙のあと、オヤジはもう北朝鮮の「き」の字も口にしなかった。話はタクシー業界のことに移った。
 俺は「そーっすよねえ!」のウンちゃんと化した。
 意味があるんだな。
 と、そう思った。
 こういう奴らがしっかり世の中にはいるのだ。
 そんなことを再確認させてくれる、タクシーとはそういう商売なのだ。