44年前のある日、アパートの家賃分だけは送ってもらったが、
「突然放り出された」の感は否めなかった。
幾分かは途方に暮れたと思う。
ただ、途方に暮れる、と感じられるような敏感さがなかった。
大学のクラブ(TGUの放送会)の仲間がいてくれたのも心強かった。
後輩の庄司徳男くんにはレンタカーを借りてきてくれてまで引越しを助けてもらった。
今にして思えば、本当に放送会のみんなには救われたんだと思う。
彼らがいなかったら、当時付き合っていたHやその家族に頼ってしまっていたかもしれない。
親が商売に失敗するってのはそういうことだった。
ほんとに今にして思えば……のことが多すぎるけれど、
どれだけ当時の自分が鈍感だったかってことだ。
この鈍感さゆえに生きてこれたのかもしれない。
要するに図々しいのだ、俺って人間は。