名掛丁商店街の、今で言う駅前通り(裏五番丁)と愛宕上杉通り(東五番丁)の間に二軒のレコード屋がまるで共同戦線でも張るかのように並んで営業していた。オノ楽器とフジ楽器である。中学生のガキにはそれぞれ特に特徴のある営業方針を持っていたようにも思えなかったが、もしかしたらそれぞれに別の価値を見出した常連客を持っていたのかもしれない。
二軒並んで営業しているので、欲しいレコードがハガ楽器になかった時に真っ先に行けばよさそうなものだが、残念ながらこの二軒のレコード屋の袋に入ったシングルは我が家には残っていなかった。どちらからも一度くらいは買ったことがあるはずなんだけれど。