仙台にあったレコード屋を語る時、真っ先に挙げなくちゃならないのは間違いなく駅前のプレイビル一階にあった「ハガ楽器店」である。ウィングスの「いとしのヘレン」の赤いシングル盤を何回も「針飛びがする」と言って交換してもらうなど、とにかくいろいろ迷惑をかけたと思う。一番お金を使ったレコード屋であることも間違いないけれど。
ここはまずもって駅より東方面に住む人類にとって、一番近かった。宮城球場のそばに住む中学生がレコードが欲しくて自転車にまたがって、最も便利な場所にあったのである。そして隣りがかのサテライトスタジオがあったエンドーチェーン(駅前本店)。中学生のガキにとっては仙台なんてここさえあればいいってくらいの地域だったのである。
店は六畳ほどもあっただろうか、とにかく小さなスペースにぎっちりシングルとLPが詰まっていた。やっていたのは店名にしてるくらいだから芳賀さんだったのだろう、おじさんとおばさんの二人がいつもいてくれて、あれはこれはとくどい中学生の要求を聞いてくれていた。本当にありがたい存在でした。