橋の上から脳みそを備えていた友のことを思う。
彼は実に有能な人間だ。
こんなふうに橋の上から、鯉と、せいぜいが捨てられた亀ぐらいしか見当たらない川を見下ろしてさえ、
何かを思っていた。俺みたいに、あ、とか思って終わりじゃなかった。
何につけても、すげえなあ、とひとしきり感動する能力を持った男だ。
最近はあまり会ってないから実のところは、男だった、と過去形で言うべきなんだろう。
が、彼は変わらない。変わってないことが容易に想像できるから、男だ、と
現在形で断定できるのである。
そのことからして、すでに、脳みそのある人間の素晴らしさを言い当ててるようなものだ。
俺なんて、ほら、こんなにすぐ変わっちまうような人間だから。
ああ、一本でいい、骨っちゅーやつが欲しい。
脳みそは諦める。骨でいいよ。骨一本で。
(つびこんてにゅーど)