さてと、そろそろ本気で決めなくちゃならないんだろう。
どっちに行くべきか。
なんてね。
強がったってしょうがない。
俺には行きたい場所なんてない。ずっとなかった。
どっちに行きたいか、まったくわからないまま生きてきたんだね。
それが現実だ。現実の俺だ。逃げようのない現実だ。
逃げる努力を怠って生きてきた俺の現実だ。
ここはどこ? 私は誰? ってやつだ。
今さら取りに行くくとさえできない。
脳みそだ。
忘れた。くれ。と言ったところで母親には何のことかもわかるまい。
ろくな人間にならない、と言い切った女なのだ。
もし持ってても寄越さないに決まってる。
ただ、見知らぬ他人を見る目で、何のこと? とか言うだけなのだ。
(つびこんてにゅーど)