途方に暮れたまま俺は橋の上に立つ。
橋の上に立ち、足下を流れる川の流れの音を聞く。
脳みそがなくても耳がある、と思う。
心地よい。ひたすら気が休まる。
なぜだろう。
なぜ川の流れる音は俺をほっとさせてくれるんだろう。
俺はこれまで何か、川に何かしてやったか?
それとも川は、俺なんてぜんぜん相手にしてなくて、他の誰かを心地よくさせようとこんなしゃらしゃら心地よい音を常時させてるんだろうか。俺はそのご相伴にあずかってるだけ?
確かに俺は誰かが俺の相手になってくれてるのを感じる。
それは小さくとも確かに一個の意志を持った誰かで、川とか太陽とか地球の地面そのものとか、そんな自然の何かじゃないはずだ。
揺らぎ、動く、意思だ。
(つびこんてにゅーど)