やはりどうしても奴らは俺を猫として見ていたいらしいと再認識したのは、
首根っこの後ろをつかまれて空中に持ち上げられた時だった。
そりゃあ姿かたちは、全身上品なウールでおおわれているし、
瞳はくるくるつぶらに愛らしく光輝いているし、歩く時にはひたりとも音をたてたりしないし、
自らの体長の何倍もある壁をするする駆け上がれるし、そこから
こればかりは多少の音をたててはしまうものの
すたりと一切の衝撃も感じずに元の低地に降りることさえできる。
つなわち外見上はあの猫という小動物とまったく変わりがないのである。
しかし奴らに猫扱いされるのはどうにも我慢がならない。
あんな奴らにペット扱いされるとは。