しみじみ沈んでいる。
畳の下、床の裏まで俺はめりこんで、なかなかだろ、誰だってこんなふうには沈めやしないぜ、
とか、そんなふうに思いながらなんだか得意な気分になって笑うんだが、
こんな俺がお前はどうも気持ち悪いってこった。
そんな顔してるってことは。
好きで沈んでると思ってんだな。
お前は、俺が好きでこんなふうに沈んでると。ここまで沈んでると。
自ら進んでただこんなのが趣味で、こんなふうになってるのがかっこいいとか俺自身思ってて、
得意になって沈んでんだと、そう思ってんだな、お前は。
まいったね。
誰が好きこのんで沈むんだ?
お前にとって俺はどんだけけったいな生物なんだ?
お前はどんだけ気の違った人間と付き合ってんだ?あんなことしてんだ?
誰かがやらなきゃならないんだ。
誰でもいいってわけじゃない。気づいた誰かがやらなきゃならないんだ。
でも誰も気づかない。俺は気づいた。だから俺がやってんだ。沈んでんだ。
畳の下まで。床の裏まで。
これ以上はなかなかきつい。俺には無理かも知んない。
だってお前はそんな顔してるし、誰も理解してくんないし、俺が好きでやってると思ってるし。
本当は気づいてるんだ。誰もが。
ああ、少しは沈まなくちゃなあ、俺も、私も、ちょっとは沈んとかないとなあって。
でも誰もやらないのはいまいち確信が持てないからだ。
これが本当に必要なことなのか、どうか。本当にこの世界に必要な行為なのかどうかが。
わかる。
その気持ちは、わかる。
俺だってあいつらに会わなかったら、実際に沈んでやろうなんて思わなかったに違いないのだ。
人々は変、と彼らは歌っていた。
つづく