町田康を仕事中に読むタクシー運転手、最近半年間に行った読書がすこんと真っ白になるのを感じる。
いやいやいや奥田英朗や雫井修介もすばらしいんです。ガツンときたことは確かなんです。が、文学、好きなんだな、俺ってやっぱり、けっこう。東野圭吾にはでもやっぱり飽きたなあ。奥田さんや雫井くんとはずいぶん違う。なんて言うの?ほら、椅子に座ったまま推理する探偵?揺り椅子ミステリー?ああ、語彙が。そういうシャーロック・ホームズ系は苦手だ。
町田康はずるい。わかる人にはきっとわかる文学的ルーツがあるくせに、ゼッタイそれを見せずに、ひけらかさずにバカを演じきる。ずるい。
数年間、時代劇の再放送ばかり見て暮らした、とか言いつつきっと難しいことやってたのだ。こつこつと。じゃなけりゃ、こんなスコンとしたものが書けるわけがないのだ。しかもどんどん進化している。ずるい。
タクシー運転手はきのう、久しぶりに仕事をした。ああ、これが俺の仕事だったんだよな、と思い出した。道ばたに立つ人が手を上げてたらその人を後部左側のドアを開けて乗ってもらい、乗せた距離によって、メーターに表示された料金をいただく。そんなことさえ仙台のタクシー運転手は忘れかけているのです。ある程度決まった場所に車を走らせて行って、そこで落ち合った同僚と立ち話をするのが仕事だと思い始めているのです。違います。それは仕事ではありません。と、きのうはそう言われたような気がします。(俺は立ち話はしないんですけどね、全体にそういうゆるい感じが仙台に蔓延しているのです)
タクシーの話をし始めると、なんでこんなにつまらないんだろう。あ、やる気ねえからだ!やる気 to the People!! ビバ!カッパ!
などとつまらない話をしている脇で、さっきからなにやら窓にシャラシャラと何かが当たる音が。風、強いよなあ。しかし、それにしても、このシャラシャラってのは……?
まさか……と思い、曇った窓を手でなでてみたら、あら、真っ白。スコンと。いやむしろ、シャキーン!と。
こりゃあ積もるぜ。風も冬の台風ってな風情でかなり。積もって、凍って、明日の仕事が……ああ、また何が仕事か忘れそうだ。路面を右へ左へケツを振りつつ走ること、それ自体は仕事ではないはずだ。
↑この写真から4時間経過↓
しっかり積もり、まだまだやむ気配なし。明日はそうとうやられそうだ。今冬初のチェーン装着と相成ろう。腹が。頭が。う。