噂の1号機エレベーターでまず2階に降り、10mほど廊下を歩き新しいほうのエレベーター(2号機という表記はなかった)で4階まで昇ると展望大浴場にありつける。普通風呂に入るのに「ありつける」なんて言葉は使わないが、「風呂風呂風呂!温泉温泉温泉!」と貪欲にがっついている我々には「ありつける」という表現が妥当なのだ。気分はすっかりムフムフおじさん。
大浴場のほうは俺にはちょっとぬるかったが、ドアを2つほど開けて外に出た所の露天風呂はう~んなかなか!世は満足じゃ!思わず唸る、うえ~~~~!なぜだろう。
温泉に来て湯に浸り、次のお約束的楽しみと言ったらそれはもうマッサージ器だ。これがない所のリピーターには我ら夫婦はならない。そのための100円玉もちゃんと用意して風呂へと向かう。風呂から上がってこれまたムフムフ笑みを浮かべおんつぁんは機械へ向かう。まずは背中をやってくれる普通タイプを試す。がしかし伴侶がまだ湯からあがってこない。う~んとか唸っているふりをしつつ視線はムフムフと他の機械へと向かう。足を締めつけ足裏のつぼを適度に刺激するタイプ。これはちょっとピンとこなかった。まだ伴侶はあがってこない。今度こそ本気でう~んという気分になってきた。と、そこに現れたのは若いおにいちゃん。見たこともないベッドタイプのマッサージ器を指さし、どうですか?とのたまう。「200円15分」と書いてあるのだが、タダでできますので、と言う。新しいモノには警戒心の強い俺である。のだが、モノはマッサージ器である。しかも全身くまなくゴリゴリ刺激しほにゃほにゃにしてくれそうな雰囲気をぷんぷん漂わせている。と、その時やっとあがってきた伴侶。やらせてもらったら?とおっしゃる。う~ん、君がそう言うのならね、まあ急いでいるわけでもないのでね。とかなんとか表面をとりつくろいたい所だが、顔がもうふにゃけている。いそいそと、寝そべる。
中国の格言に「悪しきこと」として「按摩」と挙げられているのを何かで読んだことがある。人品の堕落を誘うというのである。人生を楽なほうへ楽なほうへと導く悪しきもの、というわけだ。堕落どっぷりの俺ってこと。
ああ、それでもまだ珍道中は続く。まだたいして「珍」になってないし。