仙台の今泉っちゅーところにはゴミ処理場があって、そのすぐ隣りに三面ガラス張りのなにげに明るめな建物がある。開放的で、広々した気分で泳げる温水プール。市営です。2時間500円。目印はもちろんゴミ処理場の煙突!
プールには7コース。
そのうち4コースがあれ何て言うの?コースロープ?でしっかり泳ぐ人のために仕切られてる。
残り3コースは水中ウォーキングっつーか、だべりながら水に浸かってるおばちゃんたち用っつーか、歩くなり踊るなり溺れるなり(溺れてるように見えて実は本人泳いでるだけってのをよく見かけます)、ご自由に浸かっててくださいコーナー。
まずそこで、いつのまにか48才になっちまったおいらは、う~むなまっとるなあ、とか思いつつ感じつつ歩き始める。
始め5分は大股つま先歩き。のち、10分、カニ歩き。いやいやこれがなかなかキツイ。しかしいいんだ、これが。実は効いてる。プールから上がったあとにわかる。腰まわりが楽になってるのが。
やがてゴーグルを目元まで下ろして顔面まで浸水、平泳ぎ。15分。
これは肩のため。首筋にもいい。腰には悪いとか俗に言ったりするが、ウソだね。股関節がいい感じに軽くなってくる。
ここまで30分。さてここからが本番です。クロールで1キロ行くのです!いっせんめえとるです!本当です!
プールはね、25メートル。だから20往復で1キロだ。なのだ。そこをただ漫然と泳いでいくのはなかなかにきつい。しかしだからって大したこと考えながら泳ぐわけでもない。
ずっと前はこの20往復を、さて、あの書きかけの文章(小説だったりする)の続きはなじょすんべ、とか結構深刻に泳いでいたもんだった。しかしそれは実に泳ぎに合わない。ぜんぜん合わない。不適。ダメ。だって、何往復目か忘れちゃうんだもん。だいいち体が重くなってしかたない。
そうしていつしか、であります。私は、イーグルスの選手の背番号を思い出しつつ泳ぐようになったのでありました。
開始。
1往復目――プールの壁を蹴り、一瞬体をブルブルッと言わせる。早くほぐれろ、我が肉体よ、って感じ。そして思う。イーグルスの一番は、ってーと……。
これがね、最初の頃なかなか思い出せなかった。いちプロ球団の背番号1の選手が思い出せないってどうゆうことよ!?とか思ってもダメ。だって……
塩川なんだもん。
しおかわ。
初年度、つまり三年前のドラフトで福祉大から入った内野手。バッティングはからきし。今でもほぼ守備固め、もしくは代走にしか使われない、しおかわくん。
がんばれ!背番号1!!君は背番号一番なのだぞ!
俺は泳ぎ初めだ!どんどんいける!今日こそ20分を切るか!?
2往復目――これもなかなか……。でも最近はしっかり覚えました!覚えさせていただきました!
渡辺直人!
こやつはいいねえ。歯が鬼っ歯(と言うらしい)で、お立ち台なんかに昇った時にはちょっと気の毒になったりするんだけど、守りで一軍に上がってきた、というわりにはしっかりミートするし、なんと、してなくちゃいけないギプスを監督やコーチに見られたくないっつって勝手に外しちゃったりなんかして、なかなかのファイト野郎だったりなんかもして。いいねえ。プロなんだねえ。
俺はまだ、なかなかに勢いよく泳いでます。なかなかやります。
3往復目――これはもう楽天ファンならスパッと出てくる。
吉岡雄二。
10数年前、育英の大越と甲子園の決勝戦で投げ勝った男が今やなんとまあ渋いおんつぁんになったもんです。
チームが苦しんでる所でコツン!と、なにげにさりげなくヒット打ったりするところなんざ、素敵だねえ。
俺のほうはというと、20分切りはやっぱちょっと無理かなあ、とか早くも思い始めている。
でも吉岡はまだ36才(今月で)!まだまだいけるぜぃ!
(つづく……3人分書いただけで疲れちゃった。前置きが長すぎたな)