私の住むマンションには、4・5年ほど前から、こんなビラがラミネート処理されてすべての階のエレベーターの真ん前に貼られている。
“ペット飼育禁止の件
標記の件、ペット飼育禁止については再三通達しておりますが、使用細則に違反してペットを飼育している居住者に対して、今後、悪質な場合には、法的手段も辞さない方向で対処することといたします。
現在、ペットを飼育している居住者は、早急に善処されるよう要求いたします。”
「悪質な場合には」という一言が、小さなペットを静かに飼っている分にはいいですよ、と取れなくもないが、そうして暮らしている我が家にも以前、この貼紙とはまったく別に、個別なかたちで、同様の内容が書き込まれたコピー(A4)が新聞受けから差し込まれていたことがある。
そしてつい数日前、1階エレベーター前にこんなビラ(同じくラミ処理済)が登場した。
“当マンションはペット禁止にもかかわらず、台車に乗せて出入りしたり、出会うと恐怖を感じるという方や、アレルギーのほうが苦しい、異臭が立ち込める等、、多くの苦情が管理組合に寄せられています。禁止マンションということでペット飼育できる所へ転居した方もいらっしゃいます。共同生活なのできちんとルールを守り皆が快適な暮らしが出来る様、ルールをお守り下さい。”
「悪質な場合」に相当するペット飼育者が存在することが察せられ、そんな住人を狙い撃ちにしたチラシだと思われなくもない。しかし、このイラストの悪意に満ちたことよ。
そんな今日この頃の今朝、仕事から帰ってきたらこんな↓A4大のコピーがポストに入っていた。
“○○○○○○○(マンション名)にお住まいの皆様へ
私は○○○○○○○に住んでいて、ペットを飼っている者です。
私はこのマンションを買う時に○○○建設(このマンションを建設した会社、新品当時の販売業者)の営業の方に、
「私はペットを飼っているので、ペットを飼えないマンションでしたら買えません。」
と言ったところ、
「大丈夫です。ペットは、飼えますよ。」
と言われたので、この○○○○○○○を買うことにしました。その後、エレベーターの横に「動物持ち込み禁止」のチラシが貼られ、そしてつい最近、「注意!ペットの苦情が多く寄せられている。」というチラシが貼られました。
動物が嫌いな人もいるだろうと思い、なるべくできる限り、あまり人に会わないように朝早くの散歩と夜遅くの散歩を心がけてきました。エレベーターで人と会った時は「すいません。」と必ず言ってきました。ペットを飼っていいと言われて住んだのに事態は全然違うのです。
ペットのしつけをきちんとしようと警察犬学校に入れました。人間に対しての服従訓練です。
つい最近貼られたチラシには、犬が子供をにらんでいるイラストが書いてあります。誰か犬に、にらまれたのでしょうか?
あのイラストは「犬は凶暴だよ。」と言っているみたいです。
犬は忠実な動物なのに、とてもかわいそうに思いました。
このままだと私がノイローゼになりそうなので、この大好きだった○○○○○○○を出ることにしました。今、住む所を探している最中です。
もう少し待ってください。もう少しですので、もし、エントランスやエレベーターでであったら、大目に見ていただきたいと思います。
そして、動物が嫌いな方も、ぜひ、動物の良さもわかってくれる日がくることを祈ります。
2006.3.16 ○○○○○○○住人より”
一読すると、護身に汲々とするばかりで弁護士などに相談するでもなく、ただ泣いて出て行きます的な「泣き言」と言えなくもない。どんなペットを飼っているのかも書いていないので単純に同情することもできない。もしかしたらシベリアンハスキー級のデカ犬を飼っているのかも知れないのだ。(私は「デカ犬をマンションで飼うなんて犬がかわいそうだ。マンションでデカ犬は飼うべきでない。チワワぐらいにしておけ」という考えの持ち主である)
がしかし、マンションへ越してこようという人間はたいがい、それまで古い賃貸マンションとかアパート住まいしていた人間である。デカ犬を引き連れて購買マンションへ入ってくるとも思えない。とは言ってもそれも単にあーだこーだ憶測する以外の行為を許してくれない。
せめてこのチラシ投函者がもっと詳しく自分の状況を書き記していてくれたらと思う。単なる「泣き言」、「最後の悪あがき」とは、実は思いたくないのだ。