グルメにはならない | 愛と平和の弾薬庫

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

 大型量販店の魚売り場に並んでいる水っぽい刺身よりはやっぱり馴染みの魚屋の魚の風味が充満した刺身が食べたいなあという感覚で、俺は発泡酒よりもやはりビールを好む。発泡酒は俺にとってはS○I○Uや○協の刺身と同レベルの代物でしかない。ただ、我が家の家計が貧窮し「ラガーが飲みたい!」とばかりも言ってられなくなってきた。しかし飲むとなればガンガン遠慮なく飲みたい。ということで味などどうでもよく、ただ喉を通りさえすればよいという季節にSuper Blueを選択したのだ。それが家計の中で安定した存在となり、すっかり定着してしまった。しかしやはり、ガンガン飲む季節を過ぎるとどうしても正真正銘のビール!が飲みたくなる。ましてやお正月、一発奮発したいもんだね、ってんで久しぶりにラガーをいただきやした。そういう話だ。我が家の家計の事情のお話。

 話の主旨はともかく、しかしうまいもんは好きだ。ラーメン屋などに入って食ったもんがまずかったりした日には金返せとは言わないが、「さっきまでの空腹を返せ!さてどんなおいしいものをいただきましょうかねとほくそ笑んでいたあの幸福な瞬間を返せ!」と言いたくなる。そんなこと言うほうがよっぽど理不尽なんだろうが。

 キャビアもトリュフも食ったことがない。食いたいとも思わない。経験からくる想像力が働く範囲で、うまいもんを食っていたい。うまいおでんとか、うまいラーメンとか、うまいホッケ焼きとか、そういうこと。

 という俺がむかしよく思っていたことがあって、それはそれは不遜な思いだったんだけれど、「バカに生まれたかった。そしたらなんぼ生きていくことが楽なんだろう」。ただひたすら社会的地位や金に向かって走れたら……。

 望みは叶った。いやいや、社会的地位も金もないけれど、バカにはなれた。特に何かにこだわった生活信条を持つでもなく、ただ生きている。やっぱり楽。楽チン過ぎて怖いぐらい。そんな俺に残ったのが、できればうまいもん食っていたいなあという欲求だった。

 比べるのもはばかられるけれど、今の俺と正反対にいるのがビートたけしという人だ。たぶん食うもんにも着るもんにも俺の数十倍の金がかかっているビートたけし、しかしあの服飾センスのなさ、そしてモノを食う時のうまくなさそうな顔、つまり味音痴。

 今の俺ととても近いのは「おいしんぼバンザイ」とか、「途中下車の旅」とかに出てくる、半引退状態の役者さんたちなのね。ちょっといいもん食っては、目をつぶって「くぅーーッ!」とか言ってるのだ。終わってる。

 要は、まずいものが出てきても文句言わずに食わなくてはいけない、そういう人間の切なる欲求――食うんならうまいものを!そんなものがラガーを求めるのだ。

 う~ん、今日の文章はひどいぞ。