こんにちは。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
なかなかまとめられなかった『私の夫と結婚して』の総評ですが、
そんなに大層なことは書けそうにないので、内容的には「全体を通したちょっとした感想」くらいになるかな、と思います
さて、色々なブロガーさんの感想などを見ていると、やはり、このドラマ、
自分の不幸な運命を誰かに肩代わりさせるのはどうなの?という意見が多いのかな。
もしかしたら、日本ならではの感想というか、日本はそう感じる人が多そうな気もします。
韓国や、また他の国では、感想も変わるのでしょうか。どうでしょうね。
どちらにしても、「不幸の身代わり」がやはりこのドラマの最大の課題なのかな、と思います。
「一度死んで10年前に戻ってきた」
「起きること(運命)は必ず起きる」
だから、死を避けるためには、誰かに変わってもらうしかない、
というルールに縛られた世界であり、そこから物語が始まるわけで。
「起きること(運命)は必ず起きる」法則がなければ、
ジウォンもミンファンと別れ、スミンと縁を切り、人生をやり直せば、全てOK!ですものね。
ミンファンとスミンをくっつける必要もない。
このドラマの面白さや人気の理由って、おそらく前半の、
ジウォンが身勝手なミンファンやスミンにやられるばっかりじゃなくて、
未来を知っているからこそのアドバンテージでやり返していく爽快感、だったのだと思います。
ただ、それは、命にかかわらない範囲での仕返しが、やはり視聴者的には望ましいんですよね。
だから、ミンファンとスミンを結婚させることに成功した時点がピークだったと思います。
そこが面白いけれど、その前提条件の結果、ドラマの結末としては身代わりの死を用意せざるを得ない。
制作陣には頭が痛い問題だったかもしれないですよね。
スミン&ミンファンの結婚式あたりで、「めでたし めでたし」で終わって、
「運命の法則」はそもそもの運命が相当変わったし、この先どうなるか分からないよね、っていうところで、
ジウォン・ジヒョクが「私たちは運命に打ち勝ってみせる!」なんて言いながら終わるのが、
視聴者的には、一番納得度が高かったかもしれませんね。
少し違うけど、マンガ版の終わり方はある意味それに近かったのかもしれません。
ジウォンはスミンに殺されかけるけど、最終的には助かるし、
ジヒョクの自殺は本人の意思次第だからかスルー。
ミンファンは死んじゃうけど、その死がジウォンの身代わりという訳ではなさそうな…
と、曖昧なままのハッピーエンドでしたから。
では、何故ドラマはそうしなかったのでしょうね。
マンガ版ではなく、ユラが登場するらしい原作小説のストーリーを尊重したのでしょうか?
原作小説の日本語訳はリリースされていないので、私には確かめようがないのですが。
ただ、こちらの「wowkorea」の記事で、
「もちろん不倫や復讐ドラマの叙事を込めた「私の夫と結婚して」が、
パク・ミンファンとチョン・スミンが結婚後には刺激的なコードを植えずには、叙事を持っていきにくい力がある。
そのため、原作のWebコミックをほとんどそのまま描く方法を選んだものと思われる。」
と書かれているのですが、マンガ版とは全然話が違っているので、
この文中の「原作のWebコミック」は原作のWeb小説のことを指しているのかもしれないなぁ、と思ったりしました。
最後まで「運命の法則」に従った展開にしたドラマ版。
ユラ(BoA)が出てきてあたりから面白くなくなった、という声を多数見かけますし、
言っていることは私もよく分かるんですよね
ただ、個人的にはドラマのストーリー展開には、けっこう納得したというか、
「運命の法則」を最後まで維持するなら「そうするしかないよねー」という賛同を制作陣に送りたい気分です。
この物語の構造を考えるときに、まず、タイムリープのキーマンはジウォン父ですよね。
どうして、ジウォンとジヒョクがタイムリープしたのか、というと、分からないけど
その原動力はジウォン父の愛なんですよね。
「あの人も未来から戻って来たんじゃない?」とXやブログで考察されていた、
未来から戻ってきた人は誰だ問題もありますが、
私の意見としては、ジウォンとジヒョク以外には未来から戻ってきた人はいない、と思っています。
未来から過去へ戻る理由は「ジウォン父の愛」だから。
娘に幸せになってほしいという愛情と、娘を愛している人に彼女を守ってもらいたい、という思い。
どうやって戻ったのか、そのからくりは一切説明されませんが、ジウォンのお父さんが二人を10年前に戻したんですよね。
となると、他の人を10年前に戻す理由がないので、二人以外には戻ってきた人はいないんだろうな、と。
二人も人生をやり直させるなんて、ジウォン父が一体どんな徳を積んだ人?聖人君子?なのかは分かりませんが
ただ、ジウォンも、ジヒョクも一度目の人生は相当かわいそうなものでしたよね。
ジウォンの、スミンに奪われ続けた人生。
ジヒョクの、自分の気持ちを抑え続けて、自分らしく生きられなかった人生。
だから、神様がもう一度チャンスをくれたのかなぁ、とも思います。
ドラマで、マンガと違ってユラが出てきたことで、ジヒョクの人生や痛みも掘り下げられたことがよかったなぁ、と思います。
単にジウォンを助ける人ではなくて、ジヒョクも痛みを持ちながら生きてきた存在であり、そんなジウォンとジヒョクが出会う物語になったので。
原作小説でも、ジヒョクの人生や彼が背負う困難さなんかが掘り下げられているのでしょうか?
ジウォンの人生には、ミンファンとスミンという厄介な悪縁がついていたけれど、
ジヒョクの人生にも、ユラという悪縁があったんですよね。
前回の人生では、それをなんとか片付けて、足を引っ張られることはなかったのですが。
でも、その悪縁を背負っていたり、精算するにも時間がかかったりしたおかげで、
ジヒョクは自分自身の人生を歩むことができなかったところもあったかもしれません。
ジウォンへの気持ちに気づくこともできなかったわけで。
そして、二人が10年前に戻ってきたことで、ジウォンの人生とジヒョクの人生が交差し、
ユラとミンファン・スミンが接点をもってしまう。
以前も書きましたが、このドラマの世界観では、本来の運命の通りに流れる力と、
ジウォン・ジヒョクが運命を切り開こうとする意志がぶつかり合って事態が動いていく訳ですが、
ユラという存在は強力に運命を推し進めるエネルギーを持っているとも言えるように思います。
彼女の登場で、ミンファン・スミンは9年も前倒しでジウォンを殺そうとしますし、
その結果、ジヒョクの交通事故までも起こってしまう。
そして、もう一つ。やっぱり、スミンのジウォンへの執着ですよね。
スミンの目的は、自分が幸せになりたい、ではなくて、ジウォンを幸せにしたくない、ですから
ミンファンとの結婚生活がもしも上手くいっていたとしても、
ジウォンを不幸にしようとするスミンのエネルギーは消えはしないですよね。
ミンファンにスミンを殺させようとするジウォンとジヒョクですが、
その前にジウォンもジヒョクも既に命の危険にさらされている訳で、
やらなければやられる状況でもあり、
そして、自分の命よりも、むしろ大切な人の命を守るために、という動機に突き動かされていましたよね。
↓こちらにも書いたのですが、ジヒョク実家の庭で二人で射撃をするシーンはやはり暗喩というか、示唆的なシーンだったのだと思います。
誰かに過酷な運命を背負わせてでも、幸せを諦めない。
嫌なこと、不本意なことをも実行する、という決意。
ジヒョクは財閥のトップとして、力を使うのは嫌いだが、力を使わざるを得ない道を歩んでもいたし、
そこにジウォンを引き入れた、という見方もできるのかなぁ、と。
上手くまとめられないのですが、ユラが登場してドロドロしてつまらなくなった、
という意見に私は共感しつつも、ストーリーの構造的にはそうするしかなかったし、
作品として十分に描き切れていたかどうかは視聴者の評価でしょうが、
そうせざるを得ないという必然性は押さえられていたところに、
制作陣の努力を感じて、賞賛を送りたいと思っています
さて、ユラの事故死についてですが、偶然ではありつつも、
ジヒョクとユラが戦った結果、ジヒョクの運命がユラに移ったと見ることもできるのかな、と思いました。
ジヒョクの交通事故は偶発的なものだと思います。
もしかしたら、10年前に戻すためにジウォン父が仕組んだ可能性もありますが
(だって、茶トラの猫を避けようとしての事故ですから…)
その運命が、偶発的にユラに移った。と理解していますが。
前回、どんな方法で婚約解消したのかは語られませんが、
結果的にはクラウド航空とKエリート・ツアーをユラに譲ることで解決したんですよね。
でも、今回、ジウォンの命を奪おうとしたユラを、ジヒョクは許さなかった。
クラウド航空とKエリート・ツアーを渡すという懐柔的な手も使わなかった(契約書を破いてましたよね)。
ユラの秘書にジヒョクが近づいたことで、ユラと秘書との信頼関係が崩れ、
結果的にそれがユラの交通事故のきっかけになったとも見ることができます。
秘書に運転させていれば、事故は起きなかった可能性も高いですから
イライラに任せて、ひどい運転してましたもんね、ユラ。
桜の花びらと猫の演出がぞわっとしつつ、綺麗で、暗示的でしたね。
もしかしたら、パンが家を抜け出して、ユラの車を事故らせたの?
いや、ユラなら迷いなく猫ちゃんを轢き殺しそうですから、それはないか
ブロ友さんが感想で書かれていたのですが、
結末がジウォン・ジヒョクの思い通りにはならなかったのがよかった、と。
本当にその通りだな、と思います。
現実が、誰かの思い通りにいくことなんて、なかなかないですよね。
スミンが死ぬのかと思ったら、ミンファンが殺され、
警察に逮捕させようとしたユラが、ジヒョクの運命を背負ってくれた。
ハッピーエンドではありつつ、運命は人間の手に負えるものではなく、
でも、その中で、幸せになること、自分らしく生きることを諦めないで、再度チャレンジしよう。
というメッセージ、というにはちょっと… 話がブラックですが
最後に、キム課長や高校時代の友人イェジたちの反省する姿もよかったですよね。
スミン・ミンファン・ユラの、反省なく、誰かのものを奪って生きようとする人たちと対比的に描く意図もあったのでしょうか。
彼らにも悔い改めて、やり直すチャンスはあったはず…
そういえば、結局、ジヒョクとヒヨンは異母兄妹なの?問題ですが…
答えは明かされませんでしたね(私は絶対真実が明かされると思っていたので、地味にショックです)
ジヒョクは、自分の父とヒヨン母の不倫でヒヨンが生まれた、と思っているようですが、
やたらとジヒョクとヒヨンは似ていない、と強調されているので、結局はヒヨン母の連れ子なのかな、という気がしますが。
ヒヨン自身もそう思っているみたいだし。
ヒヨンのお母さんも出てきませんでしたね。亡くなっている設定?
ということで、長くなりましたが
『私の夫と結婚して』の総評?的な感想としたいと思います
後半の中弛みとか、不幸な運命の身代わりとか、構造的に仕方がない部分もありつつ、
最終的に良作に仕上げた制作陣の努力や情熱が感じられて、楽しく16話リアタイ視聴することができました
長々と感想にお付き合いくださった皆さまも、ありがとうございました!