参考図書📗:一番大切なのに誰も教えてくれないメンタルマネジメント大全
この本は、心を健康に保つためのツールがぎっしり詰まった「一生使える道具箱」だそうです。
心理学者かつ臨床心理士である著者による、シンプルかつ強力なアドバイスが盛りだくさん。
誰もが経験する気分の浮き沈みは、一読することで乗り越えられるだろう、と説いています。
クライアントを変えたのは、セラピストの私ではなく、知識だ。
感情をコントロールしメンタルヘルスを育むための知識を身につければ、将来の健康に投資できる。
気分が落ち込む時
まずは、、、気分が落ち込むことは、誰にでもある。
そして、気分の落ち込みは、内外の様々な要因が影響しているので、その要因がわかれば、望む方向に気分を変えることができる。
問題解決するために最も効果的な方法は、その問題を徹底的に理解する事。理解は振り返りから始まる。理解できないことを変えることはできないから。
気分の落ち込みスパイラル
①外部の出来事が気持ちに影響→②気分が落ち込む→③「どうにもならない」という思い込み」→④何もしたくなくなる(無気力・不活動)→⑤何も変わらない→②に戻る
思考(「うまく行かない」「私はダメな人間」という思い込み)+ 身体的感覚(寝不足・空腹・便秘・発熱など)+ 感情(落ち込みや悲しみ)+ 行動(友人を避ける、目標を諦める)など、これらすべてが影響し合って=「経験」が生み出される
落ち込みの要因を知るには?(クロスセクション分析)
- 気分が落ち込む瞬間、何が起きたか?
- その時、何を考えていたか?何に注意を向けていたか?
- 体の変化は?
- どのような衝動が現れて、それに従ったか、従わなかったか?
- 従わなかった場合、どんな行動をとった?
- その行動は、状況や自分の信念に対してどのように影響した?
まとめ
気分の変動は正常な事。常に幸せな人はいない。けれども気分に翻弄される必要もない。
気分の落ち込みは、要求が満たされないことの反映であることが多い。
クロスセクション分析によって、自分の気分に何が影響していたか、何が自分を身動きできなくさせているかがわかる。
その場しのぎの気晴らしは、瞬間的に効果を発揮するが、それをやめるとすぐ、一層気分を悪化させる。
(何時間もテレビを見る、飲食、アルコールなど)
気分が落ち込むと、思考に心を乗っ取られることがある。が、思考は事実ではない。
今すぐ反芻思考をやめる方法
・体を動かす
・「もし、今、最高の状態だったら私は何をするだろう?」と問う(面前の問題に集中することも大切だが、どの方向に進みたいか、どんな気持ちになりたいか、どんな行動をとりたいかに意識を向けることも大切だから)
・人と話す
調子が悪い日の乗り越え方
・小さな目標を実行する
・大切な人を思いやるように、自分を励ます(甘やかすのではない。温かい言葉をかける。ポジティブな独り言を。)
・どんな気持ちになりたいか、そうなるためにどうすればいいか、を考えて行動する。(落ち込みに対処していると、考えたくないことばかり考えていることが多い)
重篤に落ち込まないためには、日常が大切。
落ち込むと、最初に手を抜くのが、日常生活。友人と疎遠になり、ジャンクフードの暴飲暴食、夜更かしをして、運動もしなくなる。日常生活を完璧にこなす必要はないが、人生の土台であることは理解しておくべき。
日常生活において・・・
・運動:日々の生活において、喜びを感じる能力が高まる。運動して体を鍛えておけば、コンプレックスになりやすい外見問題とも無縁でいられる。
・睡眠:睡眠不足に陥ると、何をするにも、10倍難しく感じる。
・栄養:日本料理は、メンタルヘルスに良い影響がある。(自然のままのホールフード、オメガ3系オイル、全粒粉)
・ルーティン:人は、変化と冒険を求め、刺激と喜びを感じるが、それが行き過ぎた時の軌道修正の役割をするのが日課である。日課の持つ繰り返しと予見可能性によって、精神の安定を図れる。
・人とのつながり:人間関係がうまく行かないと気分が壊滅的ダメージを受けることがある。人と会うことで気疲れし、誰にも会いたくないと考え、引きこもることもあるだろう。一人になることで少しの間は元気になるが、その状態が続くと、気分はむしろ落ち込み、自己嫌悪の下方スパイラルに陥りやすい。孤独感を感じたからといって、自ら人を遠ざけてはいけない。人と会う気になるまで待ってもいけない。気分は後からついてくるので、まずは行動!いきなり長い時間触れ合わなくても、最初は、会釈や挨拶のみでOK。人とのつながりは、人間に生来備わっているレジリエンスのためのメカニズム。家族や友人がいなければ、専門家を頼ってもいい。
やる気が出ない時
やる気は行動すると湧いてくる。
反対に、何もしないでいると、もっと「面倒くさい」という気持ちが強くなる。
モチベーションの育て方
・運動する(動きたくない時に動くのは億劫だろうが、体を動かすだけで、その日の残りの時間の「面倒くさい」という気分を払しょくできる)
・目標日記をつける
・タスクを小さくする
・途中で失敗しても良い、と思って始める(自己批判や羞恥心に囚われていると、逃げたい、隠れたいという強い衝動を生み、挑戦するどころではなくなる)
やりたくないことにやる気を出す方法(未来の自分をイメージしてみる)
- 「やるべきこと」をやり遂げることによって、起こそうとしている大きな変化は何?
- なぜ、この変化は私にとって重要なのか?
- 変化が起こせず、現状維持の結果だと、どのようなメリットがあるか?
- 私はこれをやり遂げることで、どんな人になりたいのか?
- まずは手を付けるべき、小さな目標は何?
- モチベーションが低い時、どうすればいいか?
感情に囚われている時
感情は、周囲の世界と体内で起きていることを理解し、意味づけしようとする脳の試みに過ぎない。
脳波五感による外界の情報と、心拍、肺、ホルモン、免疫機構といった身体機能による体内情報を受け取る。そしてこれ前の感情の記憶からそれらの意味を理解しようとする。コーヒーの飲み過ぎによる動悸からパニック発作を引き起こしたりするのはそのため。心臓のドキドキや手のひらの発汗といった症状が、過去のパニック発作の症状に類似しているから、脳がそう理解した。
感情に対して、我慢したり、ごまかしたり、事実だと思い込むことはNG!
どんな辛い感情も、好奇心を持って学ぶつもりで、直視する。
感情をニュートラルに戻す方法(好奇心を持って、感情へ問いかける)
- 不快な感情が湧きあがるときの兆候は?
- 体のどこでそれを感じた?
- その感情にはどのような思考が伴うか?
- 強い感情の後、どのような行動をとりやすいか?
- その行動は、自分の助けにはなるか?(短期的、長期的にどうか?)
- 信頼できる人がいたら、自分の感じ方に対して指摘してもらおう。(別の視点を取り入れるため)
セルフ・スージング(辛い感情に満たされている瞬間、安全を感じ、気持ちをなだめるための行動のこと)
・温かな飲み物
・信頼できる人とのおしゃべり
・体を動かす
・穏やかな音楽
・美しい画像を見る
・深呼吸
・香り
※自分の気持ちが穏やかになる物品を、箱に用意しておこう。
自信をなくしている時
自分への批判は、あくまで批判する人の世界観に基づいてなされたものである。そもそも、人生経験や価値観、パーソナリティが異なるので、その批判が正しいとは限らない、と知る。
自分にとって、誰の意見が重要なのかを思い出そう。
自分に非があるのなら、それを経験(糧)として成長する。
批判された場面を100回思い出せば、それだけ余計にストレスを受けることになる。無為に、自分で自分を傷つけることの内容に。
立ち上がりたければ、まずは自分で自分を叩くことをやめる。批判活用のカギは、自分が自分の味方になること。
自信を培う方法
コンフォートゾーンを出る(未知の世界に足を踏み入れようとする勇気が自信を育てる。つまり怖れと共存することを学ぶ)
【ストレッチゾーン(冒険の範囲)へ踏み出すために必要なもの】
- 努力すれば向上できる事を選ぶ
- しばらくは無力である自分に耐える
- 成功するしないにかかわらず、常に自分を応援し、最善を尽くす
- 恥をかくことを良しとする
自信を育むためには、自信を持てないことに挑戦するしかない。
まずは飛び込む勇気を持とう。その勇気が自信を育むための一歩となる。
ちなみに、自己批判をやめ、自分を思いやれる人になれば、厳しい道であってもそれが自分にとって最善であれば、それを選べるようになる。自分をありのまま受け入れ、自分を思いやれる人は、失敗を恐れにくく、たとえ失敗しても再挑戦しやすいことを研究が示している。
不安を感じている時
不安な気持ちは不快なので、誰もが消したいと思うもの
なので、つい人は、瞬間的にその不安から逃げようとする
しかし逃げていては、その不安はいつまでも消えない
また、その場しのぎは、一瞬の安堵をもたらすが、長期的には私たちを行き詰まらせる。(死ぬまで、その不安の元がネックとなる)つまり、その不安の元(恐怖)から逃げようとして、長期的に人生の選択肢を狭めてしまう。(その恐怖に支配されることになる)
克服するためには、その不安と向き合うしかない。
いきなりじっくり向き合うのではなく、少しずつ体と心を慣らしていく。頻度に応じて、恐怖の度合いは小さくなっていく。
逃げてばかりいると、人生損をする!
【不安を悪化させる行動】
反射的に回避する :怖いものを避けてばかりいると、脳はそれを乗り越えられるという証拠を蓄積できない。回避は不安を持続させるだけでなく、時がたつにつれ、不安を大きくしてしまう。
脳は、何かを経験するたび、良い経験も悪い経験も、自分の確信として蓄積していく。脳に確信させるためには、行動をできるだけ多く繰り返すしかない。最も多い行動はコンフォートゾーンに入る。そのため、不安を感じたくなければ、その範囲内の行動を取れば良い。ただ、そのような安全行動は、その時々の不安を感じずに済むが、将来の不安を煽り、人生は一層困難になる。
すぐに不安を落ち着かせる方法
- 深呼吸
- 体を動かす
ストレスを感じている時
脳が私たちに何かを準備させようとするときに、私たちはストレスを感じる。
何かを準備する時に必要なエネルギーが、ストレスホルモン(コルチゾール)である。
ストレスは必ずしも害になるわけではない。
ストレスを排除しようとするより、ストレスを受けた後、エネルギー補充することを考える方が得策。
ただ、慢性的なストレスは害悪。
【慢性的なストレスの兆候】
- 不眠
- 食欲低下
- 感情の異常な起伏
- 集中力低下
- 筋肉の痛みや過度の緊張
- 慢性頭痛やめまい
- 胃腸障害
※ストレス過剰な時に、他者を気遣うと、脳内の化学物質が変化し、希望と勇気が生じる。つまり、思いやりを持つと、回復力が高まる。
※自然や芸術に対し、畏怖の念を持つこともストレス解消になる。畏怖とは理解を超える存在に対峙したときに感じるもの。畏怖を抱くと、自分の存在が小さく感じられ、おのずと感謝の気持ちが湧いてくる。
「あなたがこの世に生まれてくる確率は1/400兆だ」と聞くと、ほんの短い間でも地球に生きられることがいかに幸運なことかに気づかされる。広大な宇宙における自分の小ささを感じることほど、新たな視点をもたらし、ストレスを軽減し、心を穏やかにするものはない。
※物理的な視野を広げる。ストレス下では、心の視野だけでなく実際の視野も狭くなりがち。ストレスの元に集中してしまうことが原因。頭を動かし、周囲を見回して、より多くの物を見るように心がける。
大切な人を支える方法
- どのようにサポートしてほしいか尋ねる
- 境界線を設定する(どこまでサポートするか)
- 相手が心を開きにくい場合は、歩きながら話す。
- 求められるまで助言はNG