忘年会の後

亜子に誘われた




会ったのは

あの日以来


お前ら付き合ってるやろ!?

と言われた

悪夢の同窓会以来だ




あれから約3ヶ月

全く連絡も来なかったし

僕からする事もなかった




そもそも

泰文と美貴の件が無ければ

会ってさえいなかったと思う





あの時

みんなに揶揄われて

亜子は嫌な気持ちだったと思う






彼女は

クラスメイトの中で

一番結婚が早かった


確か22歳になる前に

婚約を決めた筈だ


同じ県内には

住んでいたが


なぜか結婚して

僕と同じ市内に

引っ越して来た





卒業した後も

何度か会った


二人で会う事に

躊躇ってる様子も

特に感じられなかった


でも

僕は自分の気持ちを

押し殺して

彼女と会うことが

苦しかった






あれからもう

10数年


二人でこんな風に

会っている事自体

世間から見れば不倫に

なるのだろうか







亜子はバーに

僕を案内した



もしかしてここは

泰文が美貴と再会した店ではないか


そんな因縁めいたものを

感じていたが

敢えて何も言わなかった




そこは

例えば甘くて飲みやすい物を

と言えば


それに当てはまるような

オリジナルのカクテルを

作ってくれる店だった


その日はとても寒かったので

二人ともホットカクテルを

オーダーした




  



それで話って?


僕は彼女に尋ねた





うん

今日って

時間大丈夫?





時間?

なんで?


最終電車に

間に合えば

大丈夫やけど




 


少し

長くなると思うから


最終に間に合わなかったらごめん







いや、亜子も

電車やろ?

どうやって帰るん?






あたし

今日は泊まるつもりやから







泊まるって

どこに? 


実家は遠いもんな

誰か友達んち?










ううん

ホテル








彼女が言った言葉に

僕は戸惑うしかなかった



もしかしたら

今日は人生が変わる1日に

なるのかも知れない






 


最終電車の時間まで

あと1時間半を切っていた