忘年会当日




泰文は美貴を連れて

店に現れた




出席したのは

10名


女子も美貴を入れて3人来ていた






同窓会での波乱の原因となった

栄一はギリギリまで

出欠の返事をしなかったが


僕が店に着くと

バツの悪そうな顔をして

席の一番端に座っていた







栄一さん来てくれたんや!





お、おう!


この前は悪かったな





いやいや、それは

三人に謝らんとな



その時、亜子と目が合った


亜子と会うのも

同窓会以来だった






元気にしてたか?




うん、元気




栄一さんが謝りたいって




うん

私もあの人に言い過ぎたから



 

二人は互いに謝り合った


栄一は泰文と美貴にも

謝罪していた





今日は酒飲まへんから

許してくれ



栄一さんから

酒取ったら何にも残らへんやん〜


そう言って二人は笑っていた



ようやく

わだかまりはとけたようだ






そのあと

亜子が僕に近づいて来た




忘年会の後で少し話さへん?




ああ、ええけど







泰文は

正式に離婚したこと


美貴と一緒に住んでいること


近い将来結婚することを


みんなに説明した



全員笑顔で二人を祝福していた


あの悪夢の同窓会が

嘘のようだった





美貴も満面の笑みを

浮かべていた



何度かの

修羅場を潜り抜けて

二人の愛は

より一層深まったようだった



世間的には

略奪愛なのかも知らないが


僕はこれで

良かったのだと思いたかった






泰文の元奥さんは

実家に帰ってからは

憑き物が取れたように

穏やかになったらしい




新しい人との出会いが

そうさせたのだろうか







美貴さんと幸せにねと

いうメールを嫁から

貰った



泰文からそんな話を聞いた時は

到底信じられなかったが 


自分が幸せなら

人の事も祝福出来るのだろう






忘年会は

穏やかに進み

穏やかに終わった








会計をしていると

亜子に声をかけられた









話したいことがあんねん

〇〇行かへん?



 


二人で消えたら

また疑われんで





ええやん

疑われても









意味ありげなその言葉に

またもや僕は混乱させられる事になる








男というのは

ほんまにアホやなぁーと

改めて実感した

32歳の冬だった