妻の元夫は噂に違わぬ鬼畜だった
自分のした事は
全く認めず
子供に会うことを言い訳にして
懲りもせずに妻との接触を目論んでいる
万が一また妻が
苦しむような事になったら
今度こそ奴を許さない
人生で憎むべき人間に
会う確率というのは
そんなに高くないと思う
しかし僕は
公私共にそんな人間に
出会ってしまった
しかもその内の一人が
僕と妻の新しいスタートを
妨害しようとしている
思えば
僕も妻も我慢と忍耐の
結婚生活だった
二人とも20代前半で
勢いのまま籍を入れて
一つ屋根の下で暮らすようになり
子供も出来た
子供は真っ直ぐに育ってくれたが
互いの配偶者は
一癖も二癖もある人間だった
それに気づいたのは
一緒になって随分経ってからのことだった
人は変わるものだ
その理由は生活する環境であったり
周りの人間からの影響であったり
様々だが
結局は自分の気持ちを押し殺しながら
日々を過ごしていくうちに
不満が蓄積されてそれが爆発した時に
本来の自分が顔を出す
要するに変わっているのではなく
元の自分に戻っていくのだ
だからそれを見抜けなかった
僕らは人間として
まだ未熟だったのかも知れない
40歳手前でその生活は
破綻してしまったが
遅かれ早かれ僕も妻も
そうなる運命だったのだと思う
だからこそ
残りの人生は
幸せでいたいと思った
離婚して
ようやく光が見えてきたと思ったのに
それを邪魔させる訳にはいかない
GPSの存在を否定し続けた元夫は
その後何のアクションも起こさず
結局そのままフェードアウトしていった
恐らく指紋の付いた物が
まだ残っていると言う話を聞いて
怖くなったのだろう
子供とはまだ会っているようだが
よく会えるものだと思う
妻は罪滅ぼしと言っていたが
そんなまともな人間とは
とてもじゃないが思えない
家の金を盗んでパチンコに注ぎ込み
おまけに数百万単位の借金をして
自分の妻に暴力を振るう
そして離婚後はストーキング
会って思ったが
やっぱり性根が腐っているのだろう
表情からもそれが見て取れた
本音を言えば子供たちにも
面会を断って欲しい
でもそんな事言える筈もない
自分のした事に
反省も出来ない人間が
のうのうと生きられる世の中
やっぱり腑に落ちないし
納得出来ない
妻はもう忘れたいと言っている
でも僕は奴の事は一生忘れないと思う
人を憎むとはそういう事なのだ
1992年ベストソング第4位
Another Day/DREAM THEATER