宮沢賢治、最後の手紙の挿絵 | *RoseLotus*

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油彩画、水彩画、パステル画(天使画)などを描いています。エンジェルリーディングもしています!大腸がん、子宮体がん、卵巣がんの経験を通して感じたことも書きはじめました。



月刊「致知」11月号連載『人生を照らす言葉』(鈴木秀子先生)、今回のテーマは「宮沢賢治の最後の手紙」です。


宮沢賢治が亡くなったのは、37歳とのことで、なんという若さでしょう。亡くなる10日前に教え子に宛てた手紙が残っています。


風のなかを自由にあるけるとか、はっきりした声で何時間でも話ができるとか、自分の兄弟のために何円かを手伝へるとかいふやうなことはできないものから見れば神の業にも均しいものです。そんなことはもう人間の当然の権利だなどといふやうな考では、本気に観察した世界の実際と余り遠いものです。」


これは病になると、本当に当たり前のことがどれほど当たり前ではなく尊いものかを知りますが、宮沢賢治だと、このような喩えになるのだと面白く感じました。


「どうか今のご生活を大切にお護り下さい。上のそらでなしに、しっかり落ちついて、一時の感激や興奮を避け、楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで生きて行きませう」


楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで生きて行きましょう、という所、宮沢賢治らしいと思う箇所でした。


苦しみも生きることなのですね。私たちは幸せになることばかりを考え追求しがちですが、苦しむことも生きることなのでしょう。


今回は、宮沢賢治ご本人の写真があり、どれもとても絵になっていて、それを描いてみました。手紙を紙で表して、文字を書くか迷いましたが、小さな挿絵なので、ごちゃごちゃするのを避けて、真っ白のままにしました。


そして、「雨ニモマケズ」を象徴する雨を背景に描いてみました。もっと斜めになる激しい雨の方がよかったかもしれませんが、絵的に垂直に落ちる雨にしました。


連載の後半は、人間の持つ「神性」について書かれています。もし、どこかで手に取る機会がおありでしたら、是非読んでいただきたい素晴らしい内容です。


また、賢治は手紙の中でもう健康になることは叶わないとも書いていて、肺の病を受け入れ、目の前のことに力を注いで生きることは、「雨ニモマケズ」に通じる哲学とも鈴木先生は解説されています。



私自身、以前は自分の努力や、思考でこの世を思うままにできると信じていた頃がありました。けれども、自分ではどうしようもない形になることもあり、今はそれを受け入れるようになりました。決して望む形ではなくても、いくつかの体験から、今はそう思っています。若い頃には、受け入れられなかったかも知れませんが、今はそれが自然で楽でもあります。


見栄やプライドは、まだまだありますが、病気になって、それらを捨てざるを得なかった時、ある意味とても平安でした。そんなことを思い出しながら挿絵を描くのは幸せなことでした。