あのとき見送った坂道が
想い出の中で勝手に「急な桜坂」だったので
市内満開青空の今日、思いついて
久しぶりに帰り道を遠回りして見に行ったら
ふつうの、フェンス横のゆるい坂道だった。
まあよく考えたら
あの頃はまだ3月に桜は咲いていなかった。
「あのときの坂」が「桜坂」のわけない!
十数年のうちに
桜が何日も前に咲くようになったなんて
このままいくと
入学式ではなく
卒業式に桜になる。
それはそれでいいけれど。
坂はなんでもない坂だった勘違いだけれど
建物は記憶のままで
2階の窓やハナミズキが遠くに見えたときに
過呼吸に近いくらい息ができなくなって
どれほどそこに魂をつぎ込んでいたんだろうと
とにかく自分で自分にびっくりした。
この感覚は経験がない。
いつか「この世のものとは思えないものに
魂をつかまれた人間の演技」を、舞台でする
時がきたらこの体験を思い出そう。(一生ない…)(^-^;
命をけずられそうになるから
しばらく通らない。あの道。
もっと自分がもっと枯れてしまってから
また行こう。