「悟浄出世」「悟浄歎異」 |  ろぜのポジ♪ブロ ~RAINBOW~

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中島敦の「山月記」を高校の授業で学んだとき

文字が文になって文章になったときに

魔術みたいなもの発動していると感じた。

なんていうか内容の先に

文になった時点でもうすごいことになっている

感じだった。

読解力にとぼしい高校生の自分は

深く読み込んで感想文を書けるような学生ではなかったが

そのすごさを感じ身震いすることは…できた。

 

今日読んだ

「悟浄出世」「悟浄歎異」はその中島敦の作品で、

軽くいえば「西遊記の沙悟浄スピンオフ」なのだが

内容は名言のオンパレードである。悟浄がさして

それに納得しないから押しつけがましくなくて

でもすべて「そうだな」って思えることが続く。

 

自分は悟浄かなって思う部分も出てくる。

「いちいち概念的な解釈をつけて

みなければ気の済まないところ」に自分の弱点を見る

悟浄。

悟空や三蔵、八戒の本質を見出して

(それは中島氏が見出しているんだけれど)

それを眩しく羨ましく感じている悟浄。

 

ここには西遊記でなぜ悟空が魅力的なのかも

悟浄の説明によって納得させられる。

悟浄は彼らをみるときに

概念的にではなくいつしか

個をみて個の魅力を素直に感じ取っているから

彼らと旅することで彼の弱点が気付かず解消されている。

「悟浄歎異」の方で悟浄の目で悟空が書かれると

急に悟空の魅力が前面に出てしまうが

それも悟浄が素直にそれを見ているからである。

その、素直にみている悟浄をいいな、何か変わったなと

思えてくる。

 

山月記じゃなくて

こっちを先に高校生の時に読むべきだったか

高校生の頃だと今みたいに心に吸収されなかったか。

ただ、魔術はやはりこの作品にも存分にある。