読書をしていると時々
自分の中のどろっとしたものを
吐き出すことに成功するときがある。
文字にされ「そういうことだったか」
と思う灰色のかたまりが
理解を得て整理されるからである。
これは最近はまっている
受け身型の娯楽、「テレビ」では味わえないことである。
パーソナルテレビを買ってから
風呂でも寝る時でもテレビを
手提げ袋みたいにもっていき
世の中のどこかで、今現在自分を
楽しませようとしてくれている人がいるという
温かみに浸っていたが、
こうなる前はここは読書時間だったはず。
そんなわけで
強制的にテレビから離れたところで
本を開く。
買い物からかえって駐車場についたその車の中で
しばし読むのである。
暮れていく空は見られるが音は
いい感じに遮断され、静寂の中で
読んでいると心が落ち着いてくる。
本の中の
『幸福の小休止のような倦怠は…』との表現に、
稀に起こるあの気持ちはそれか~などと
すうっと納得してから車を降りた。