ヘタ鬼 ~天使組~ ・・・三次創作です。 | 小説と言う名の駄文置き場

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自分が書いた小説と言う名の駄文とSHの考察などを置いておこうと思います。

三次創作です、読む前に初めての方はこちらを読んでから

原作の雰囲気ガタ崩れですが、少しでも原作さんの雰囲気に持っていきたいが為、表記は国です。それから、イタちゃんの二人称が違いますが、故意です。用語も間違いだらけです。その辺りもすみません。





もう少し、あともう一回?もう一回、もう一度。ああ、また駄目だった?

やり直す、やり直す。今度はきっと。塗り変える、巻き戻す。

例え、自分が自分じゃなくなろうとも・・・。


とある屋敷の一室、その隅にあるベッド・・・そこで眠る、全てを背負い込んだ一人の青年は、その細い身体で、どれだけの時間を渡り歩いたんだろうか?・・・しかし、今やそれを知る術もなく。

「・・・」

狭い屋敷の中、狂った時間軸・・・死ぬはずのない者が死んでいく世界。その末端を知る青年は、目覚める事はない。遺品と呼べるモノは、薄汚れた一冊の日記。しかし、それを日記と言うにはあまりに悲痛な言葉の数々。

『また失敗』

『もう一度』

『いつまで繰り返せばいいの?』

俺でさえ、目を背けたくなる。

「イギリスさん、今からみなさんで今後をどうするか決めるのですが・・・」

「ああ、すぐに行く」

一向に部屋から出てこない俺を心配したのか、友人が迎えに来た。俺がここにいるのが不思議な様子だ。

「おかしいか?俺がイタリアの傍にいるのが」

「ええと、すみません」

それは肯定と捉えて良いんだろうか?まぁ、そうなんだろう。こう八つ橋にくるむのがこいつの癖だ。

「日本・・・謝るなよ。元々はイタリアの奴が怖いって言って俺に近付かなかっただけだしな」

「そうですね」

「あー、先に行っててくれ、もう少ししたら合流する」

「分かりました。では」

「ああ」

俺の返事を確認した友人は、一つお辞儀をすると、申し訳なさそうに出ていった。そしてまた、この部屋には俺と、イタリアの二人。

「・・・さて、これからが勝負だな」

イタリアはこの屋敷のどこかにある大時計とやらを巻き戻し、時間を遡っていたらしい。しかし、それがどこにあるかは毎回ランダムで、今から探すには無理がある。イタリアの手元にあった日記を見れば、日記の最後の方・・・明らかに俺が書いたと思われる字で封印が施されていた。解いて下さいとでも言うかのように。解いてみれば、やはり俺の書いた字で、読んでみれば、俺にもこの日記を使って時間を巻き戻せると言う・・・。試してみる価値はあるだろう。

日記という媒体を手に入れた。イタリアのように完全に次の時間に巻き戻すような真似は日記を見る限り出来そうにないが、俺にしか出来ない事はある。

「なぁ、イタリア・・・?お前は最初からイージーミスしてんだよ」

もう聞こえてはいないだろうが、言葉にしておかないといけない気がした。

「間違いだらけなんだ」

前の時間の記憶は持っていないが、事細かに書かれたこの日記を見れば誰にだって分かる。

「それから、こういう場合はcase-by-caseだ。人間、得意不得意があるだろう?こんな仕事は俺の役目だ」

未来に繋ぐなんて柄じゃないが、そう言うのもたまには良いだろう。念には念を入れて、次の時間の奴らの為に箱でも用意して、その中に映像でも入れようか。

「これは・・・さながらパンドラの箱だな」

俺が希望か・・・?いや、無いな。全く皆無だ。

『もう一回?』

ふと、側で眠るイタリアの声が聞こえた気がした。

「もう少し。もうすぐ何か掴めそうだろ?」

代償は・・・そうだな。俺の記憶と生命、だな。これだけあれば足りるだろう。足りなかったら・・・違うな・・・足りなかったらじゃねぇ、足らすんだ。

「もう一回。さぁ、始めようか・・・」


「DDDDDDD~!!!ホントにあったんだぞ!イタリアの言った通りだ♪」

世界会議場から少し離れた森の中、不気味な屋敷があるから探検しようとイタリアがアメリカに言い出した・・・物語上はこうだ。今、この場にいるのは、フランスとアメリカと・・・俺、イギリス。

「凄く楽しそうね、アメリカ」

「当たり前だろ!探検とかってかっこいいじゃないか!ねぇ、イギリスもそう思うだろ?」

「・・・」

しかし、本当に時間を巻き戻せるとはな。後はまぁ、代償でどれだけ行動が制限されるかだな。微かに過去に受けた痛みが響く。

「イギリス!話聞いてるかい?て言うか!会話にさえ入ってきて無いじゃないか!」

「うるせー!!キンキン騒ぐな!!」

・・・ったく、人の気も知らねぇで・・・。まぁしかし、これから起こる事なんて覚えてないんだからな・・・。今日は仕方がない、今日ぐらいは許してやるよ。にしても、もう中に入っちまった奴らが・・・大丈夫だろうな。

「イタリア達は中にいるんだろ?とっとと合流するぞ・・・」

まずは、本当のスタートはそこからだろう。会って言わなければならない。確か、あいつが死んだのは・・・ピアノがあった部屋だったな。近付くなとたった一言言えれば良い。

「ねぇ、イギリス」

「あ?なんだよ」

「何でそんなに焦ってるんだい?焦らなくたって冒険や探検は待ってくれるぞ?」

「焦ってねぇよ・・・別に」

言えてしまえば良いんだろう。俺達はここに何回も来ていて、殺されて、その度にイタリアが心を削りながら、時を巻き戻していると・・・言ってしまえば。

「ったく、さっさと行くぞ」

よそう。俺が今、言っても何の意味もない。あいつが、イタリア自身が直接全員に言わなければ。そう思い、屋敷の方へ歩を進める。入ってしまえば、後戻りは出来ない。だが、覚悟は出来てる。今更、俺だけ助かりたいとは思わない。

「ほら、ぼさっとしてんじゃねぇよ」

「あっ、待ってくれよ!!抜け駆けは許さないんだぞ!?」

「・・・イギリス?」


「へぇ、まだ中は綺麗っぽいね!いつから使われてないんだろ?」

「イタリア達、来てるはずだけど・・・どこに行っちゃったんだろ?ねぇ、坊ちゃん!どこだと思う?」

「・・・」

おかしい。いつもの反応はどこに行ったのか。いつもなら、

『知る訳ねぇだろ!!ばーか!』

とか言いそうなのに。ここに来る前からそうだ。アメリカにこの屋敷の噂を聞いて行ってみようって言われた頃から・・・。何というか、いつにも増して、イギリスの顔が暗い・・・違うな、険しい気がする。

「ねぇ、イギリスお坊ちゃん?何かあったの?大丈夫?」

「別に何もねぇし、大丈夫に決まってるだろ」

「そう?それなら良いんだけどさ」

「早く次行こうよ!もう疲れちゃったのかい!おじさん達遅いんだぞ!年は取りたくないもんだね!」

「ちょっ!?その言い方!お兄さん傷付くから!!」

「・・・」

ほら、反応がない。ちょっと、ねぇ・・・本当にどうしちゃったのよ?いつもと違うじゃない。それに何なんだ、その死を覚悟するような目。国が死ぬなんて事、解体されて消滅する以外はない・・・。

『俺は良いから!早く逃げろ!死にたいのか!?』

『逃げ足はイタリア並だろ!どうにか切り抜けてイタリアに・・・』

『・・・お前に看取られるなんて最悪だな・・・後は頼むぞ』

「(・・・あれ?)」

何だろう・・・この底知れぬ不安と、さっき脳裏に浮かんだあの映像は・・・。この不安は前に?あれ?今?何か違う。自分自身、良く分からない。

「フランス!」

「え?うっうん?何?イギリスお坊ちゃん?」

「顔色、いつにも増して悪いぞ、髭」

「何いつも悪い顔みたいな言い方!あと髭はやめて!お願いだから!!」

悪態吐かれて何故かホッとしてしまった自分がいる。何だ、いつものイギリスだ。

「まーだーかーいー!」

「うるせーよ!!馬鹿!分かったから、すぐ行くから待ってろ!!行くぞ!!」

「・・・はいはい」

そこで安心してしまったのがいけなかったのか、それとももっと根本的なところから駄目だったのか・・・後者だと気付いた時にはもう遅かったんだ。


「ヴェ」

みんなとあの怪物が来る前に合流出来て、ヒントも比較的簡単に見付かっている。怪物も、みんなで協力して倒せてる。・・・凄く順調だったんだ。物凄く、怖いくらいに。

「出られるのかな・・・」

そんな期待に心躍る。みんなが脱出出来るま夢物語が叶う一歩手前まで来ている。少し余裕もあって、みんな自由な時間が出来た。

「イタリア、ちょっと良いか?」

そんな時だ、不意に呼ばれて後ろを振り返ると、予想外の人物だった。

「えっ、なっ何?イギリス・・・」

咄嗟にヘタレの仮面を被り、苦手感を出す。イギリスには悪いけど、そうでもしないと怪しまれてしまう。イギリスはこういう時ほど勘が人一倍働いてしまうから。

「ヴェッ、ヴェー・・・どうしたの?何かあった?」

「何かあるのは・・・いや、今は時間がないんだ。手短に話す。」

「・・・?」

時間がない?どうして?だってもうすぐみんなが出られるのに・・・。

「お前は白いあのピアノのある部屋には絶対に行くな。」

「え?なに?言ってる意味が分からないよ?」

分からない。そう告げてもイギリスは気にしてないみたいで。

「意味が分からなくても良いから!絶対に行くな!良いか?伝えたからな?忘れるなよ」

「うっうん・・・」

いつになく真面目な顔でそう言われて、俺は頷くしかなかった。

「よし・・・」

そう言うとイギリスは軽く微笑みながら、俺の頭を撫でた。・・・久し振りに撫でられた気がする。そう思ったら、何でだろう・・・それ安心したのかな?ぽろぽろと涙が出てきた。そう言えば、泣くのも本当に、本当に久し振りに泣いた気がする。

「ヴェ・・・」

「うわっ!ちょっ、泣くなよ!わっ悪い!痛かったのか?強くやりすぎたのか・・・?」

泣いてしまった俺を見て、凄く申し訳なさそうな顔をしているイギリスが目の前にいた。

「・・・ううん、違うんだ違うんだよ。違うの、イギリス・・・」

「・・・なぁ、イタリア・・・何か隠してる事、あるだろう?」

「えっ?」

諭すように、小さな子供に言い聞かせるように・・・イギリスは言う。いつもと違う言い方。あんなに怖かったイギリスはどこに行っちゃったのか。

「イタリア、実はな・・・俺もあるんだ」

「ヴェ?」

俺の頭を撫でながら、少しずつイギリスは説明してくれた。俺はこの前の世界で死んでしまって、イギリスは時間を戻してくれた。生命を代償にして・・・もうこの時間でイギリスが生きていけるのは、あと数十分か数時間か・・・。聞いた言葉に俺は驚いた。

「いっ、イギリス?それってもう・・・」

この時間じゃ・・・脱出出来ない?

「イタリア」

「何で?何でイギリスが時間を戻したの!?みんなで脱出すれば・・・」

話を聞く限り、イギリスの戻す前の時間はみんなが生きていたのに、それなのにどうして・・・。

「イタリア」

声を荒らげた俺とは対照的に、イギリスの声は優しかった。それが辛くて、イギリスから目を背けた。

「・・・」

「なぁ、今のお前の目的は何だ?」

「・・・みんなが、脱出する事・・・」

俺の言葉を聞くと、イギリスは大きなため息を吐いた。

「違うだろ?」

「え・・・?」

「《みんなが》じゃなくて《みんなで》だろ」

「自分の事を忘れてどうすんだよ」

・・・忘れてるんじゃない。俺は別に良かったんだ。みんなが、ここから出られれば・・・でも、そんな想いも見抜かれてしまったみたいで、イギリスは優しい声色で話し続けている。そっか・・・イギリスだって『お兄ちゃん』やってたもんね。俺は弟なんて出来た事無いから分からないけど。ああ、そうだ・・・だからきっと、今は。

「お前が死んでも、また俺が巻き戻すからな?だから・・・諦めるなよ?この時間、また次の時間では無理かもしれない。お前には色々なモノ背負わせちまってる・・・だけど、少しは周りの人間を頼れ。あいつらはしっかり話せばお前の話、信じてくれるだろ?」

「うん・・・」

今は、今は甘えさせてくれるんだ。もう、この時間、残り少ない命で・・・申し訳ないよ。でも何でかな・・・。

「イギリス」

「ん?」

「ありがとう・・・!!」

凄く、嬉しい。

「どういたしまして」

外に出られたら、今まで怖がっていたのを謝ろう。それからでも、友達になってもらおう。顔を赤くしながら、喜んでくれるだろうか?


数分か、数時間か・・・時間がおかしくなっているこの世界では無意味か。まぁ、泣きじゃくっていたイタリアの頭を撫でながら、慰めて・・・他愛ない会話をした。

「・・・っ!」

「イッイギリス!?」

唐突に、俺の身体が悲鳴を上げる。覚悟はしていたが、まさかもう来てしまうとは・・・。嗚呼、まだ何も言えてやしないじゃないか。

「イ、イタリア・・・」

「イギリス!イギリス!ここにいるから!」

苦手だった奴にまで、手を握りしめ、ここまで泣けるのだから、仲の良い奴らだとどうなるのかと思うと胸が痛んだが、もう・・・どうこうしてやる事も出来ない。それならせめて、最期くらいは。

「イ、イタリア・・・今まで、その・・・いじめてきて悪かった・・・それから、嫌々スコーン食わせたのも謝る」

素直じゃない、俺の・・・最初で最期の。

「イギリス!!今はそんな事・・・!」

目の前にいるはずのイタリアの顔がぼやける。まずい、もう目が霞んできたな・・・そろそろか。

「お前の事、嫌いじゃなかったんだけどな・・・」

「イギリス!俺だって!怖がって、遠ざけて・・・傷付けて!今は違うよ!脱出出来たら、改めて友達になろう?だから・・・!!」

「・・・それだけ、聞ければ、充分だ」

ありがとう、心残りは色々あるが、また次の時間へ。今度こそ、全員で。

「・・・イギリス?イギリス!!」


最期の顔は・・・本当に安らかに。

「・・・ありがとう、イギリス。おや・・・すみなさい・・・!!」

本当に、本当に、心の底からありがとうを・・・君に。もう、大丈夫、寂しくない。苦しいけど、それは君が俺を思ってくれていたから。

「・・・」

そうだ、次の世界で俺。みんなに言ってみようと思うんだ。信じてくれるまで、何度でも。

「だから待ってて、イギリス。きっと《みんなで》脱出してみせるから」

みんなが、じゃなくてみんなで。君に教えてもらった事を胸に。

「・・・大時計を探さなきゃ、イギリスが救ってくれたこの命で」

みんなに真実を話した世界で駄目になっても、きっと大丈夫・・・もう一人じゃないんだから。そうだ、未来の俺へ、手紙を書こう。


『いつかの世界の、一人ぼっちじゃない俺へ』