いや、実際はうとうとしていたのは間違いない。
「まだ寝ない?」
と聞かれ、きっと一人寝は淋しいのだろうと思い10時半くらいに寝室に行った。
だーさんは横になりながらスマホで『雲の階段』を観ていた。
三朗の内面性にだーさんは惹かれている。
フィクションとわかっていながらも境界線が曖昧になってしまうので、私としてはあまり観て欲しくはないのだけど。
奇っ怪な叫び声が外から聞こえてきて目が覚めると、だーさんは居間で三朗を観ながらビールを呑んでいた。
今日5本目だ。
他に男梅の水割りも3杯呑んでいた。
外の不穏な声の主は女性で、とある駐車場で雨に濡れながら座り込んでいた。
だーさんが心配をして見に行ってくるというので私はベランダから様子を見ていた。
その女性は、何やら火を付けて吸っていたが、タバコかどうかはわからない。
女性は、だーさんが近付くとまた奇っ怪なギャーともヒーとも言えない声を張り上げ逃げて行った。
泥酔の足取りではなかったから、多分薬物だろうと思う。
覚醒剤かハーブ系か?
なんやかんやで深夜2時を過ぎ、だーさんはベッドに戻り、体に手を添えてあげると間もなく眠りに落ちた。
とっくに寝てもおかしくないくらい、目はうつろなのに頭が冴えて眠れないと言っていた。
だーさんはイビキをかいて寝ている。
今度は私が眠れなくなった。
今から寝たら3時間程は眠れるか。
朝起きるの辛いだろうな。
いっそ徹夜する?
いや、それはまずい。
少しでも寝ておこう。
だーさんのうつが重かった頃より、今の方が心配なんですよね。
ふらっと死んでしまわないだろうかと。
自分が死んだら私が悲しんで泣いてしまうだろう思うと死ねないんだと言われた。
もし自分が死んでも、良い人がいたら再婚していいんだからねと言われた。
だーさんの言う『死んだら』は自死のこと。
回復期や落ち始めが一番危険だということは知っている。
だから、注意深く見ているつもり。
だーさん本人が一番しんどくてもがいてもがいているのだけど、それを間近で見ている私も結構しんどい。
少し休みたいけど目を離すことは出来ない。
一人にはさせられない。
また共依存?
いや、客観視はできているはず。
でも境界線ちゃんとある?
いや、あると思ってる。
断言は出来ないかも。
悪循環にならないよう、肝に命じておかなきゃ。
こういうことを考えることも疲れる。
私はもっと変わらなければいけないね。
何せ弱くて困ったものです。
どんどん自分に自信がなくなっていました。
甘えるなよ、私。
逃げるなよ、私。
情けない。