タイガーマスク 第22話 | ロロモ文庫

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明日への挑戦

ドン・ルカーチの凶器攻撃によって胸を負傷してしまい、医者から10日間は絶対安静を言い渡されるタイガー。(くそう。明後日のロジンスキーとの試合があると言うのに。この試合に出れないとワールドリーグ優勝戦線から脱落だ。ちびっこハウスの子供たちはさぞガッカリするだろうな)

直人にプロレスの券を買えよと言う陽一。「いらないよ」「半額にしとくぜ」「いらないよ」「冷たいこと言わずに買えよ。タイガーマスクとロジンスキーの試合もあるんだぜ」「俺はいらないと言ってるんだ」「おとなしく買った方が身のためだぜ。おい、明、やっちまえ」明をあしらう直人。そこに警官と現れる木村。「おまわりさん、あの不良が私ににせチケットを売りつけたんです」「やべえ、明、逃げろ」逃げる陽一と明。木村にチケットをプレゼントし、浜坂明とネーム入りの万年筆を拾う直人。

祖父の源蔵から不良とつきあうなと言われる明。「お前、死んだ父さんや母さんに恥ずかしくないのか」「うるせえ」「明、真面目に働いてくれ。頼む」「ほっといてくれ」明の前に現れる直人。「俺を警察に突き出す気か」「俺は万年筆を渡しに来ただけだ」「え」「これ、君のだろう」「そんなものわざわざ届けに来たのかよ」「君にとって大事なものだと思ってね」母から中学の卒業祝いで万年筆をもらったことを思い出す明。『明、高校にやれなくてすまないけど、じいちゃんと漁師しながら、勉強はできるもんね』

そこに現れる源蔵を見て駆け出す明。よろけて倒れる源蔵に大丈夫ですかと聞く直人。「どうも」「明君は悪い仲間とつきあっているようですね」「明は変わってしまった。暗い海じゃ。昔はもっと明るくて豊かな海だった。この浜も大漁で賑わったものじゃ。それがどうじゃ。今の海は魚のいない腐った海じゃ。こんな海、誰も見向きもせんわい」

俺は明後日東京に行くと明に言う陽一。「明、お前も来るんだろ」「うん」「迷うことはねえだろ。魚一匹いない海で、漁師したってつまんねえだろう」「……」「なんたって東京さ。東京出りゃなんとか芽が出るさ」「東京か」わしの体もじきによくなると明に言う源蔵。「な、また一緒に船に乗って漁に出よう」「ふん。魚一匹いない海で何が漁だよ。俺はもうこんなところにいたくねえ」

俺は明後日東京に行くと直人に言う明。「俺達がこの村を捨てるのはみんな大人がいけないんだ」「大人が?」「だって魚が獲れないと愚痴をこぼして、何もしようとしない。魚が獲れなきゃ獲れるところに行けばいいんだ。みんなが協力して遠洋漁業をやればいいんだ」「遠洋漁業か」「と言ってもそれには大きな船がいる。こんな貧乏な村の漁業組合じゃ大きな船を作る金はない」「……」「こんな海、絶望だ」「でも東京に出ても希望があるとは限らない」「でもここよりましさ」

呟く直人。(明君はこの海に希望を持っていたに違いない。この海を捨てて東京に出ようとするには長い苦しみがあったはずだ。彼はこの海に絶望しきっていない。彼の希望の火はまだ消えていない。そうだ。もう一度海に生きる喜びを思い出させるんだ。明君のような若者が大勢いるに違いない。ようし、希望の船を作ればいいんだ。俺がその礎になってやろう)「明君。俺は明後日の試合のチケットを持っている」「え」「そしてタイガーの試合を見てくれ」

休んだほうがいいと言う馬場の忠告をあえて無視し、ロジンスキーと戦って勝つタイガー。その試合を見て、東京行きを思いとどまる明に、漁業組合に遠洋漁業の船を作る資金という名目で多額の寄付があったそうだという慎一。「え、誰から」「それがわからないんだ。でも一言,船の名前は希望丸とつけてくれって」「希望丸か」「明、きっとその船に乗って、遠くまで漁に行けるぞ」「うん。ようし、俺はやるぞ」「俺もさ」握手する明と慎一を見て、直人は満足そうに微笑むのであった。