10位は高知大会2回戦の中村対高知農で、高知農の安岡李紅主将は背番号2をつけて捕手で出場。正捕手の池添喜貴選手が2週間ほど前、練習中に左手親指を骨折したため、捕手経験のある安岡主将が急きょ三塁手兼投手からコンバート。「チームの危機をいつも安岡主将が救ってきた」と下坂充洋監督はコメント。安岡が1年生の時、2年生は部員ゼロで、3年生が引退すると1年の5人で新チームを始動。「一番元気があり、野球に取り組む気持ちが強い」と安岡は下坂監督から主将に指名され、高知東・嶺北と連合チームを組んで試合に臨みました。半年後に後輩5人が入り、2年の夏には単独チームで出場し、有力チームの岡豊を相手に3対6と敗れたものの善戦し、安岡は遊撃手で4番打者、4度の打席で3回出塁。 今春、1年生が13人も入り、マネジャー含め26人の大所帯の主将になり、 この試合、捕手をしながら2年生投手を声を枯らして励ました。大量リードされた六回裏には「安岡の投球で流れを変えてほしい」とマウンドに送り出されます。1対9でチームは敗れ、安岡は「つらい時期もあったけど、仲間に励まされながら務めることができた。最高のチームだった」とコメントしたわけです。
9位は静岡大会3回戦の飛龍対磐田南で、磐田南のエース、寺田直弘投手はカウントを取るカーブが、この日はストライクが入らず直球を狙われ、初回に3点を奪われるなど苦しい投球が続き、チームは0対10で敗戦。今大会、3年生17人で臨んだ磐田南。「今年は甲子園が狙える、それには飛龍戦がターニングポイントになると思っていた。私学に公立が勝つことができず、悔しい」と寺田はコメントしたわけです。
8位は埼玉大会4回戦の浦和麗明対狭山ケ丘で、狭山ケ丘は2点差を追いかける四回、この回先頭の主将で4番井戸川正輝が低めの直球を内野安打にし、1死後、菅谷昂輝の適時三塁打で生還。新チーム発足後、満場一致で主将に選ばれた井戸川は朝は誰よりも早く出て、熱心に練習。仲間のために、行動で見せようと思いました。チームは五回に3点、八回に5点を奪われ、9点差の八回裏2死で井戸川に回ってきたが遊ゴロに倒れ、コールド負け。井戸川は目にうっすらと涙を浮かべ「悔しいけど、やりきった。悔いはないです」とコメントしたわけです。
7位は栃木大会3回戦の石橋対宇都宮工で、宇都宮工は春夏の甲子園に計9回出場してきた伝統校。しかし創部から100年の記念の年を、2002年春以来の大舞台の試合で飾る夢はかなわいませんでした。シード校石橋に対し、投手陣が踏ん張って2点で抑え、走者が出れば盗塁を仕掛けるなど、積極的な攻めを見せますが、が相手捕手の強肩に阻まれるなど好機を広げられず、無得点のまま九回を迎え、安打で出た先頭の沼尾優希を、2点差にもかかわらず犠打で送り、3番森大成、4番西田汐芦が安打で続き、一打逆転の状況まで相手を追い詰めましたが、1対2で敗戦したわけです。
6位は三重大会2回戦の神村学園伊賀対白子で、三回裏2死、右の好打者小池峻平選手が打席に入ると、それまで上手で投げていた白子の森川惺司投手はいきなり下手投げに変わりました。四回ではプロ注目の左の強打者・寺井広大選手に対し、白子は二塁手と三塁手が後ろに下がり、5人で外野を守る「寺井シフト」をしきました。年ぶりの初戦突破を果たした白子は強打を誇る神村学園伊賀に「まともに戦っては勝てない」(古川敦朗監督)と考えたのが、右打者にはタイミングが取りづらい下手投げと寺井シフト。森川は打者2人に下手で投げ、いずれも四球でしたが「結果は出せなかったが、相手を攪乱する効果はあったと思う」とコメント。六回まで同点だった試合は、七回に7長短打を浴び6点を失いましたが、森川投手は八回を最後まで投げきり、寺井選手との勝負は、打ち取った当たりが中堅前に落ちて二塁打となった一本だけ。白子は3年生が6人、2年生は2人で、春は連合チームを組んで県大会に出ましたが、今夏は1年生が12人加わりました。「単独チームが組めただけでもありがたいのに、強豪相手に中盤まで互角に戦えた。挑戦する大切さを知った」と森川はコメントしたわけです。
5位は富山大会3回戦の富山北部対富山国際大付で、八回裏、富山国際大付の背番号1、寺本健信投手がマウンドにあがり、無失点に抑え、3対5と2点を追う味方の反撃をベンチで祈ったがゲームセット。小走りにあいさつに向かいました。富山国際大付は、4人の3年生がチームをまとめてい、寺本と瀬端咲主将は茨城県の中学出身。学校は違いますが、同じ硬式野球チームに所属し、チームの指導者と、富山国際大付の島実沙樹監督が同じ筑波大出身だったことが縁で、2人は富山に来ました。寺本は初戦の南砺福野戦では4打数3安打、この日も4打席で四球も含め3度出塁。富山に来た当初は方言が分からず、戸惑ったという寺本は「今は分かります。成長できたと思う。試合には負けたけど、富山に来たことを後悔していません」とコメントしたわけです。
4位は奈良大会3回戦の高田商対香芝で、香芝の1番打者・杉浦隼人は一回表、打席に入ると眼鏡の奥からマウンドをぐっと見据えました。相手は初戦でノーヒットノーランを達成した高田商のエース仲井颯太。初球、甘くは入ってきた変化球を中前にはじき返し、一塁上でベンチに向かってガッツポーズをしました。この日、香芝は大田俊介監督の「初球から強く振ろう」という指示通り、早いカウントからどんどん振っていき、二回には津岡京助のスクイズなどで3点を先取。しかし、その裏に1点を返されると、三回には逆転され、だんだんと押される場面が増え、徐々に調子をあげてきた仲井に、連打が出なくなり、杉浦も2打席目以降は押さえ込まれ、九回、次打者席でスタンバイしていたが、杉浦の前で試合が終了。3対9で香芝は敗れ、2013年以来の奈良大会8強入りは果たせませんでした。「後半から高田商に流れを変えられてしまった」と落ち込む杉浦を、大田監督は「まさかほんまに初球を打ってくれるとは思わなかった。声も出して周りをよく見て頑張ってくれた」とたたえたわけです。
3位は選手権大分大会3回戦の明豊対別府鶴見丘で、5点を追う七回裏1死二、三塁。打席に向かう戸高剛史捕手に大石煌心主将が声をかけました。「自分の全力を出して、三振でもいいけ振ってこい」戸高は4球目の変化球を捉えて2点適時二塁打を放ち、さらに山崎航宜選手の適時打で3点目の本塁を踏みました。チームに5人しかいない3年生。戸高捕手は「けんかも多いけど、最後はなんだかんだ言っても仲がいい。いつもニコニコしているのは守備陣から一番見えるのがキャッチャー。そういう人が笑っていないとみんなが楽しめない」とコメント。昨夏の覇者・明豊との差は2点。ベンチもスタンドも盛り上がり、八回裏、2死一、三塁で再び打席は戸高。「またチャンスがきた」しかし、空振り三振に倒れ。最終回、明豊に追加点を許して3対7で敗戦。戸高は「悔いがない試合ができて、やっぱり今までで一番楽しい試合だった」と最後まで笑顔だったわけです。
2位は愛媛大会2回戦の聖カタリナ対今治西で、聖カタリナが終盤に鮮やかな攻撃をみせ、第2シードの今治西を破りました。 聖カタリナは1点を追う八回、代走の本多叶芽選手が二盗と安打で三塁へ進み、犠飛で生還して同点に。九回は安打2本と敬遠で1死満塁のチャンスをつくると、この日初の打席に立った本多選手が、今治西の先発で左腕エース渡地琥太郎投手の114球目を、右前に運んで2対1でサヨナラ勝ち。今治西は昨夏、決勝で延長の末に敗退。渡地投手や長田雄大主将ら当時の中心選手が多く残り、今夏に雪辱を期す思いは並々ならぬものがありましたが、渡地は「最後のこの大会で、甲子園に行くことだけを目標にしてやって来た3年間だったんで。本当に悔しいです」とコメントしたわけです。
1位は千葉大会5回戦の中央学院対千葉明徳で、試合時間3時間47分の熱戦で、最後に笑ったのは春の甲子園で4強まで駆け上がった中央学院。四回途中から2番手で救援したエース蔵並龍之介がタイブレークの延長十、十一回を無失点に封じると、最後は打線が連続四球を選んで6対5で押し出しサヨナラ勝ち。5対5で迎えた延長戦。相馬幸樹監督からは「最後は気持ちだぞ」と力強い言葉をもらいマウンドに向かった背番号1。「緊張はあったけれど、やるべきことは、はっきりしていた」 高めの真っすぐと変化球がさえわたり、十回を三者凡退。十一回を三振、死球から併殺に打ち取りました。「自分たちが情けないプレーをしたら絶対にだめだと踏ん張った」と蔵並はコメントしたわけです。