2024年7月7日夏の甲子園地区予選ベスト10(5) | ロロモ文庫

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10位は東東京大会1回戦の八丈対つばさ総合で、東京都心から来たムードメーカー、八丈の中沢廉太郎外野手が3回裏に代打で登場すると、スタンドからは大きな拍手と声援が送られました。「島留学の制度を使って八丈高校に行きたい」息子の言葉に父、廉平さんは「なんで八丈高校に行くんだよってひっくり返って」と笑いながら振り返ります。中沢は野球未経験ながら硬式野球部に入部し、今夏は背番号「10」でベンチ入り。笹本義範監督は「ムードメーカーとしてやってくれている」とコメント。チームは15対0と快勝で初戦を突破しましたが、中沢の表情は晴れません。今夏最初の打席で三振に終わり「ふがいなかった。せめてバットに当てられたら」とコメントしたわけです。

9位は東東京大会1回戦の雪谷対農産で、雪谷が農産を15対5で下し、2回戦に駒を進めました。先頭打者でチーム一の俊足を誇る小原陽が四球で出塁し、盗塁を決めると、続く2番・高瀬航大も内野安打から盗塁成功。無死二、三塁とチャンスを広げ、吉岡赳彰、新井柊登の中軸がともに三塁打を放って3得点を奪って、この回6点リードとし、2回にも4得点。11点差でコールド勝利を目前にした5回に5失点と追い上げを許しますが、6回は巨人、阪神などで投手としてプレーした伊達昌司監督も「自分の意図したところにいろんな球種を投げられる。成長してナンボ」と期待を寄せる1年生右腕・松岡史穏が3番手でマウンドに上がり、三者凡退に抑え、1点を追加して勝利を収めました。伊達監督は「5回で終わらせないといけない。そこがまだ甘さ。でも打つ方、攻撃は良くなっていた。この夏結果を出せるように、トレーニングで各自意識が高かったのは結果に結びついたかな」と集大成の夏に向けた選手の努力をたたえたわけです。

8位は愛知大会2回戦の旭丘対富田で、ノーヒットノーランまでアウト二つ。「野球って、そう簡単にはいかないな」旭丘のエース井戸田晴斗選手は、マウンドでほおを緩めました。5点リードで迎えた九回1死、右前にはじき返され、偉業達成はなりませんでしたが、それでも被安打1、12奪三振で完封。回を追うごとに直球もスライダーも鋭さを増し、140キロ超の速球にバットが空を切り、八回は3者連続三振で抑えました。「この先は私立との対戦も増える。打たれても最少失点に抑えたい」と井戸田はコメントしたわけです。

7位は宮崎大会1回戦の宮崎農対都城工で、都城工の右腕エース三池悠真投手は高校生で珍しいアンダースロー。球速は出ないが、地面すれすれから浮き上がっていくような独特の軌道の球で、緩急を使って打たせて取るスタイルが持ち味。この日、三池投手は七回まで2失点。「そんなによくなかった。バックに助けてもらった」八回にチームは追加点を挙げ、4点リードでその裏のマウンドに上がりましたが、連続二塁打を浴びるなどして5失点。6対7と1点差で敗れましたが、三池投手は「素人ピッチャーだった自分を最後までエースと言って、頼ってくれた。いい仲間に出会えた」とコメントしたわけです。

6位は大分大会1回戦の高田対大分豊府で、先行する大分豊府に食らいつく高田。試合はタイブレークに突入。「焦らずにいつも通りやっていこう」大分豊府の松本昊主将は攻撃前の給水タイムでベンチの仲間に呼びかけました。松本は初回、右中間を破る先制の適時三塁打を放ち、ベース上で雄たけびをあげました。仲間を引っ張る姿勢は、チームメートからも一目置かれる存在。「主将としてチームに勢いをつけたかった」しかし、高田を突き放せず主導権を握れず、試合の流れは両チームを行ったり来たりしました。「絶対2点取ろう」そう臨んだ延長十回表だったが、併殺に倒れるなど無得点に終わり、その裏、1死満塁から内野ゴロで併殺を狙った送球がそれて、サヨナラ負け。試合後、松本は「相手の守備が一枚上手だった。結果は残念だったが悔いはない」と前を向いたわけです。

5位は福岡大会3回戦の自由ケ丘対若松で、若松の内野が3併殺を決め、相手に傾く流れを止めました。要は3人の「松崎」。遊撃手の松崎力樹主将と、いとこで二塁手の松崎来夢選手、その弟で三塁手の渉夢選手。一回は先制点を奪われた後、1死満塁からゴロをさばいた来夢選手が力樹主将に渡して一塁へ。4-6-3の併殺で追加点を許しませんでした。四回は1死二、三塁から、渉夢選手が強烈なライナーを好捕し、三塁走者が戻る前に三塁を踏み、六回は力樹主将から来夢選手への滑らかな送球で6-4-3の併殺を完成させました。試合は1対2で負け、力樹主将は「最後の試合になったけど、今までに経験のない最高の守備だった」、来夢選手は「小さい頃から性格を知り尽くして野球をやってきた仲。あうんの呼吸で守ることができた」とコメントしたわけです。

4位は愛知大会2回戦の名古屋対刈谷で、「練習してきたことをしっかりやろう」4対4の同点で迎えた延長十回タイブレーク。刈谷の捕手、渡辺集選手は仲間に声をかけて守備へつきました。刈谷は試合終盤で3点差を追いつく粘りも見せましたが、10回は名古屋に適時打などを浴び、計3失点で力尽きました。主将としてチームを引っ張った渡辺は「点差が離れても、つないで追い上げていこうと、みんな最後まであきらめなかった」と胸を張ったわけです。

3位は茨城大会1回戦の総和工・三和・結城一対古河二で、試合後、古河二の星野嵩斗は涙が止まりませんでした。「あいつらにはずっと勝ち上がって欲しい」この日、対戦した総和工・三和・結城一とは今春、連合チームを組んでいて、中でも、三和の及川翔吾とは小、中学校も同じチーム。最後の夏。部員がそろった古河二は単独で出場。抽選の結果、及川たちの連合チームと初戦であたることになりました。試合は初回、星野の適時打で古河二が先取しますが、八回の大量失点で2対7で逆転負け。喜ぶ相手チームの姿に、涙があふれます。「だってあいつら、ずっと一緒にやってきた、みんな友達なんすよ。負けて複雑な気持ちだけど、最後の相手があいつらで良かったと思います」と言うと、星野は少し笑ったわけです。

2位は福岡大会3回戦の東福岡対修猷館で、県内1、2位を争う公立進学校である修猷館の西野智也主将が試合後に号泣。「全員で頑張ってきて、きつい時もみんなで乗り越えて……。キャプテンとして心が折れそうな時もあったんですけど、みんながずっと支えてくれた」最後はチームメートへ感謝の言葉が続きました。0対2の8回2死一、三塁で投手強襲の内野安打で1点を返し、高校最終打席で執念の1本を放つなど、強豪に最後まで食らいつきました。将来は経営コンサルタントを夢見て、志望大学は難関国立大の九大経営学部。「志望校に向けてしっかり勉強します」西野は高校野球に別れを告げ、新たな目標へ歩み出すわけです。

1位は佐賀大会2回戦の鳥栖工対鳥栖で、2年連続甲子園出場を目指す鳥栖工のエース松延響が鳥栖を完封し、好スタートを切りました。昨夏は1年生右腕として救援登板していたが、今年は堂々のエース。同じ鳥栖地区で幼なじみがたくさん並んでいた相手を5安打に抑え、チームを勢いづけました。「真っ直ぐは思ったより球速が出ていたけど、調子はあまり良くなかった」と振り返りますが、1回にいきなり自己最速を更新する145キロをマーク。尻上がりに調子を上げて6回以降は無安打に封じました。「今日は松延サマサマ。夏は何が起こるかわからないので、やはり投手の力が大きい」大坪慎一監督は、序盤に挙げた3点のリードを守り切ったエースに感謝の言葉を贈りました。