作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(678)」 | ロロモ文庫

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日本全県味巡り宮城編(6)

宮城県の至高のメニューを発表する海原。「究極のメニューは宮城県の肝心のツボを外している。究極のメニューは宮城県は米どころと言ったのに、実際にでてきたのは餅だけ。それでは問題外だ。なぜなら米こそ宮城県の食文化を形づくる根底だからだ。1783年の天明の大飢饉以降、宮城県の料理は発達しなかったが、昭和38年に開発されたササニシキが高い評価を受けて、宮城県は初めて米どころと言われるようになった。そんな大事な米を究極のメニューは外したのだ」「ぬうう」

農民たちの米の飯に対する愛着は強かったと言う海原。「人々はいかに米を食い延ばすかに心を砕いた。そこで白米に何かを混ぜて量を増すことが昔から行われてきた。枝豆を炊き込んだずんだ飯。ワカメを炊き込んだワカメ飯。大根と刻んだ葉を炊き込んだ大根飯だ」「ぬ。実に素朴な味わいだ」

「さて、フカヒレだ。実はフカヒレは昔から宮城県の名産品で中国にも輸出されてきた。中華ハムで鶏で取ったスープをたっぷり吸わせて作ったフカヒレの姿煮を細かく裂き、炊きあがった飯に混ぜた」「ぬう。フカヒレの心地よい歯ごたえとこってりした味わいが、米の味と渾然一体となっとる」

「またご飯だ。阿武隈川産のもくず蟹の入った蟹汁を食べて驚いた、中国の上海蟹に実によく似た味なのだ。そこで飯は醤油を入れて茶飯にし、蟹の身をほぐして食べた。添えてある小皿は蟹味噌と仙台味噌を混ぜたものだ。飯によく合う」「ぬう。なんと贅沢な味だ」

「さて、宮城県は三陸海岸という絶好の漁場に面しているが、宮城県で獲れた一番よい魚は港から直接東京に送られてしまう。そこで地元で獲れるが東京に売らない素晴らしい味の魚を使うことにした。エイを味噌と酒と砂糖で煮つけたものだ。エイは死んでから時間が経つとアンモニア臭が出るが、新鮮なうちはなんの臭みもない。東京の人間はエイの真価を知らないから、地元の人間が独占できるのだ」「ぬう。これは忘れられない味だ」

審査結果を発表する審査員。「宮城県の食文化を考えた時、至高のメニューの言うように米の問題は重要だ。そこを軽く扱った究極のメニューは配慮が足りない。しかし至高のメニューは過去の米の問題に捉われすぎたきらいがある。その点、様々な食材を用いた究極のメニューの方が宮城県の食文化の将来に希望を与えるので、究極のメニューの勝ちだ」