真田風雲録 | ロロモ文庫

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慶長五年関ヶ原の戦いで、戦場泥棒にいそしむお霧、清次、伊三、六の四人の不良少年少女の前に不思議な術を使う少年佐助が現われる。「俺の術は生まれつきなんだ。おいらは人の心も読めるんだ。十四年前、信州の山奥に大きな隕石が落ちてね」その隕石の放射能が乳児佐助の体に作用し、佐助は超能力を身に着ける。「おいら一人ぼっちさ。勝手に消えたり人の心を読んだりするおいらを皆気味悪がってね。もっともだよな」「……」「信用しないね。まあ、いいさ。おいら一人でも平気さ」佐助の前に歩み寄るお霧。「お前、俺を信じとるな」「うん」「まだ子供だもんな。でもじき信じなくなる。あばよ」

佐助を追うお霧。「どうしてついてくるだよ」「好きになったんだよ」「本当らしいな。でもよせよ。じき嫌いになるよ」「ならないよ」「人間の気持ちは変わるもんだよ。いつかお前も俺を好きにならなくなるよ」「ならないよ」「もしお前がそうなったとき、俺の心はさびしくてたまんなくなる。だから俺は一人ぼっちがいいのさ。初めから」

それから十数年。お霧、清次、伊三、六の四人は若者に成長していた。お霧を見て、げじげじが蝶々になりやがったと呟く佐助。懐かしい匂いを感じるお霧。「思い出したわ。関ヶ原の時の匂い。佐助」「お霧って言ったけな」「しばらく。今でも心が読める?」「……」

生きてくためにいろんなことをしてきたと言うお霧。「あんたは?」「俺は相変わらず一人ぼっちさ」お霧は佐助を仲間に入れたいと言うが、六は嫌だと言う。俺は一匹猿で結構だとお霧に言う。「あんた幸せだなあ。六さんは死ぬほどあんたに惚れてらあ」消えていく佐助。俺はお霧に惚れてるよ、と言う六。

大坂城では、豊臣秀頼が天下を獲った徳川家康に対抗すべく、各地から武将を集めていた。何かあるかと大坂に出てきたお霧たちは。武士になりたいという農民たちを豊臣の家臣が馬鹿にするのに腹をたてて暴れるが逮捕されてしまう。滅茶苦茶な奴らだぜ、苦笑いする佐助。お霧たちの前に現れる真田幸村。「なかなかいい面がまえをしとる。どうじゃ、わしと手を組まんか。今回、秀頼さんから大坂入城をしつこく勧められとる。勝てば五十万石じゃ。そこでわしは優秀な部下を探してるのじゃ」そんな話信用できるかという六に、この人は本気で言ってるぜ、と囁く佐助。

大坂城に徳川の世で生きられない武将が続々集結してくる。「真田隊出発」大坂城に向かう幸村。あの大将はどうせ戦に勝てないと思っていると言う佐助。「どうせ死ぬならカッコよく死にたいと思ってるのさ」「カッコよくか」真田隊に加わるお霧たち。

大坂城で作戦会議が開かれ、籠城か出撃かで議論は紛糾する。考え込む幸村に囁く佐助。「大将、この連中、本気で戦う気ありませんな」「そうだろうなあ」笛を吹いて騒ぎを鎮める大坂城執権の大野修理。「もはや徳川軍は大坂城の周囲を固めています。出撃か籠城か。早く結論を出さなくてはいけません」

奇襲戦法による出撃を主張する幸村に対し、それは背水の陣だと言う修理。「全てか無かです。それは美しいが危険です」「危険を冒さず戦に勝てるかね」「戦も時代によって変わります」結局、修理の意見が通り、籠城することとなる。幸村にいい家来をお持ちですな、と言う修理。

修理が何を考えているのかわからない、と幸村に言う佐助。「あいつ、心がまるで動かない。動かないと読めません」「……」「ところで、幸村さん。籠城するつもりですか」「……」「俺はやだね。俺は戦いに来たんです。俺は何かのために命を賭けてみたいんです」

真田隊は出撃し、佐助たちの活躍で、徳川方は大混乱に陥る。「家康の陣中だ。斬りこめ」しかし佐助たちの前に服部半蔵とその忍者軍団が現われる。佐助の術を破りニヤリとする半蔵。「いい相手にめぐりあえた。俺は嬉しいぜ」佐助と半蔵は死闘を展開するが、痛み分けに終わる。

奇襲は成功して、大坂城はお祭り騒ぎとなる。半蔵に斬られた佐助を治療するお霧。「しかし、俺もやっと人並みになれた。俺の術が通じない男に会えた。みんな斬り合いに命を賭けている。しかし俺は術で守られてるとしたら、本当に命を賭けていると言えないもんな。この傷はやっと俺がみんなと仲間になれたって証拠さ」「もう一人ぼっちじゃないのね。十四年間、ずっとあなたのことを思ってたわ。佐助、私が欲しいのはあなただけ。戦争も仲間もいらない。今私が欲しいのはあなただけ」お霧を抱く佐助。

幸村は恩賞会議に出るが、勝手な行動を非難され恩賞はないと言われる。家康の孫娘で秀頼の妻の千姫は、お霧の颯爽とした姿に惚れて、友達になってくれと頼む。しばらく戦いのない日が続き、佐助はやる気があるのかないのかと苛立つ。しばらくして豊臣方と徳川方の和議が成立する。「それでは当方の犠牲は外濠を埋めるだけということで決着が。それでは城内の浪人どもは」「当然人員整理」

大坂城に忍び込んだ半蔵は、この戦の意味がわかるか、と佐助に聞く。「徳川はできるだけ戦を延ばして、各大名の力を削ぎたい。これが第一の目的なんだ。だからあっさり城が落ちてもらっては困る。豊臣の幹部だって、豊臣家の財産さえ守れればそれでいいんだ」「お前は肝心なことを忘れているよ、半蔵。戦いを実際やるのは俺たちだってことを。この戦いは俺たち次第なんだ」「ははは。若いな、お前も。また会おうぜ」

和議をぶっ壊して、明日、敵の本陣に奇襲をかけようじゃないか、と提案する佐助。幸村は佐助に同意し、決死隊を組んで敵陣に向かおうとするが、味方に攻撃され奇襲は失敗する。傷ついて佐助と呻くお霧を六は助けるが、背中に弓矢を浴びて絶命する。修理に対峙する佐助。「俺にはやっとわかった。なぜ貴様の心が読めなかったか。貴様には人間の心がねえんだ。機械だ」「かもしれん。だが戦とは心でするものだろうか。いや戦と言わず、世の中が」

「ふざけるな。貴様に戦と言ってほしくない。戦うのは俺たちだ。赤い血が流れている俺たちだ」「だが、お前たちの突撃にみんなついていかなかったのは何故だ。農民たちや素浪人どもは何故ついていかなかったのだ。そして、そうならなかったことを一番悔しく思っているのが、この私なのだ」「修理。お前は何者だ」「私はまとめ役さ。だからこそ全力を尽くしてもまとめきれない日のことを憧れるのだ」幸村からお霧は流産したと聞かされ、愕然とする佐助。戦いを終える大坂冬の陣。

それから半年後。徳川は大坂城の内濠も埋めてしまう。大坂城もこれで終わりだ、と嘆く淀君に、私はいつも退屈だったという秀頼。「私は歴史が一足飛びに進んで、この大坂城が赤々と燃えないかとそんなことを思ったりしたのです」修理は千姫を使者として江戸に送ることを提案する。「もしかしたら、それで大御所様の気持ちが安まるかもしれません」秀頼は千姫を江戸にそのまま返してやりたいと言う。「いいでしょう。好きな女の命くらい助けたって」「わあ。秀頼様。調子狂っちゃった。私、あなたと一緒にいるわ」

幸村は戦わせてくれと修理に言う。もう手遅れでしょうと答える修理。わかってるという佐助。「この裸の城じゃ勝負にならんだろう。でも、俺たちは自分たちの手で自分たちのいくさをやってみるんだ。先が見えるだけじゃ済まないこともあるんだぜ」大坂夏の陣が始まり、豊臣方は敗戦を重ねていく。幸村は替え玉に間違えられて、カッコ悪く死んでいく。燃える大坂城の中で考える修理。(あの真田隊の連中は所詮道化に過ぎない。しかし俺の心が一番近かったのはあの連中かもしれない。うう熱くなってきたな。熱い。ああ、熱い)焼死する修理。

あの人、死んじゃったのかしら、とお霧に聞く千姫。「逃げればよかったのに」「無理よ。あの人の忍術でやっと私たちここまで逃げてこれたんですもの」「いい人だったわ」呟く佐助。「これで何もかも終わったのだろうか。俺たちの夢も」そこに千姫救出に現れる坂崎出羽守。「姫。よくぞご無事で」「この人たち、私の命の恩人や私たちと一緒に江戸に来て欲しいの。いいでしょう」「ああ、どうぞ」お霧は佐助と江戸で所帯を持てると思って喜ぶが、佐助は姿を消してしまう。「佐助。私思ったの。二人で江戸で静かに平和に。それがなぜ悪いの」「言っちゃ悪いけど、あんた捨てられたのね」

江戸に連れて行かれるお霧に幸せになってくれと祈る佐助。「ついお前の心をのぞいちゃうような俺のことなど忘れて」佐助にお前との勝負をつけたいと話しかける半蔵。「そんなことをして何になる」「俺はもうほかにすることがねえのよ。お前、俺に裃が似合うと思うか」「かわいそうな野郎だ」「お前もな」「わかった。俺もこの世に格別用があるわけじゃねえ」半蔵を倒し考え込む佐助。(どうなるのかな。これから。また会うんじゃないかな。あんな連中に。会いそうな気がしてきたな)立ち上がった佐助は仲間を求めて歩き始めるのであった。