白く濡れた夏 | ロロモ文庫

ロロモ文庫

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喫茶店「ドン」に行く冴子。ウェイトレスのリエに六郎たちがヨットを作って沖縄に行くって本当かと聞くスナック「シードラゴン」のウェイトレスの桃子。俺も行くと言うアルバイトのヒロシ。リエにバイクに乗らないかと言うケンジ。そのバイクは君のバイクなのとケンジに聞く冴子。修理を頼まれたと答えるケンジ。誰が乗ってるのか教えてとケンジに頼む冴子。

大した故障じゃないと伸次に言うケンジ。「調子、どう?」「いいよ」「私ね、このバイクの音、いつも聞いてるわ。朝と夕方、いつも。だから、エンジンの音で調子がわかるのよ」「あんた、誰?」「今朝だって変だなと思ったら、案の定。どうして、いつも朝と夕方なの」「いや、勤めの行き帰りだしさ」

冴子に説明する弁護士の小沢。「人が入ってはいけない高速道路に入り込んだことと被害者は酒を飲んでいたと言うことで実刑はないと思います。しかし、こっちの前方不注意もあって相手を死亡させたことですから。賠償金で示談に持ち込むのが一番かと」お前は二度と車に乗れないと言う父の木口に、あの人元気と聞く冴子。「変な言い方するのは、もうよせ」「私と10しか違わないのに、お母さんとは呼べないわ」「この別荘は近々手放すことになる」「え」「半分は賠償金に当てる。残りはお前にやるから、マンションでも買って早く結婚しろ」「私、ここが好き」「話は決めてしまった。今月いっぱいはいていいが」

「シードラゴン」でヨットについて話し合う六郎たち。ヨットは嫌いなのと桃子に聞かれ、つるんで騒ぐのは性に合わないと言う伸次。ヨットを作る前に桃子の父さんが病気で大変なんで、海の家をやろうと言うケンジ。マスターに水割りをくださいと言う冴子に、あんたは別荘の人なんだと聞く伸次。「今月いっぱいはね」「いい暮らししてんだよな」伸次とはどういう関係と桃子に聞かれ、なんでもないと答える冴子。

冴子を訪ねるスタイリストの京子。「一人で飲んでたの?」「ちょっとね」「意外と平穏な顔、してるじゃない」「まあね」「時々来るの、彼?」「……」「久野さんよ」「ううん。なんか個展の準備をしてるみたい」「もう、よしたら。あの人、奥さんに脅えてるんだから。仕事の打ち合わせに久野さんのとこ行くじゃない。それでも、奥さん、イヤな顔するんだから」

東京に行き、久しぶりに久野に抱かれる冴子。「あの夜、辛かったわ。死体のそばに立たされた時。寂しかったし」「……」「いてほしかった」「行けって君が行ったじゃないか」「けど、イヤと言ってくれてもよかったじゃない」「君は俺の立場を考えて、行けって言ってくれた。そう思ったから、俺は受けた。それを今さら」「今日、思ったけど、あなたのカメラの撮る姿、少し老けたわ」

冴子を訪ねる木村。「あなたに轢かれて死んだ男の父親です」「……」「この前、保険金以外に賠償金5000万円で示談と言われました」「……」「断りました。金額の問題じゃないです。誠意の問題です。あんた、一度もうちに来ないじゃないか」「……」「葬式にだって来ないじゃないか。人を轢いておいてそれはないだろ。父親や弁護士は来たけれど」「……」「酒に酔って高速道路に入ったということで、息子にも不注意があったとそっちは言ってますけど、目撃者がいないんで、そちらに有利に話を進めてるんじゃないですか」「……」「許せないんだよ。轢き殺された息子が悪者だと言われるのが」

私は伸次が好きと冴子に言う桃子。「おねえちゃんも、もしかして伸ちゃんのこと好き?」「いい人みたいね」「伸ちゃんってモテるからね」結局、ヨットはやめて桃子のために海の家を作ると言う六郎たち。浜辺でバイクを走る伸次に、運転の仕方を教えてと頼む冴子。海の家はもうかると言うヒロシ。頭金の100万は俺が出すという六郎。私も他にアルバイトして稼ぐと言うリエ。バイクを買う冴子に呆れる伸次。「無免許だろ」「ここで走るだけだもん」

地元の若者と遊んでるそうだなと冴子に聞く久野。「京子が喋ったのね」「その中の一人と仲がいいそうじゃないか。バイクにも乗ったりして。どういうつもりなんだ」「別に」「寝たのか」「そんなこと、私に言う資格はないでしょ」「そうでもないだろ」「資格があるなら、どうして、事故の後、私一人残していったのよ」「まだ、そんなことにこだわってるのか」「そうよ」久野を訪ねる坂本。「陸運局にナンバー聞いたら、息子を轢いた車があんたの車だとわかりまして」「……」「あの夜、あなたはあの人と一緒にいたんじゃないですか」「知りませんね」「では、事故の通報は誰がしたんです」「知りません」

シャワーを浴びている冴子を襲う木村。「やめて」「お前らだけいい思いしやがって」「……」「俺はあんたらが許せない」「じゃあ好きにしてください」「……」「私が謝っても、息子さんを殺した罪が消えると思いません。でもお父さんはそれで消えると思いますか」「……」「何かをすることで気を紛らわせることで。それでいいんですか。私はどうしてもそれが忘れられないんです」しばらくして木村が示談に応じたと冴子に電話する小沢。

あなたの個展を見てきたと久野に言う冴子。「すごいキレイな写真だった。とてもキレイでした。キレイはキレイだけど、ギラギラした熱気みたいなものがないんじゃない」「……」「怒ったの?」「別に」「怒ってる。そういえば、以前のあんたはいつも怒ってたわね。なんだかわけがわからないものに」「よせよ」

伸次に聞く冴子。「どうして海岸走ろうと思ったの?」「他に思い切り飛ばせるところ、ないじゃない」「そうか」「前は族に入ってた頃は、結構いろんなとこを走ったけど」「暴走族だったの」「取り締まりが厳しくなって、去年解散したんだ」「君、生まれはどこ?」「石垣島。中学を出て大阪に出てきた」それからいろんなことがあったと話す伸次。「一年前からここのガソリンスタンドで働いてる。そして今年の6月の終わりにあんたと会った」

海の家造りを手伝う冴子に、久野さんにひどいことを言ったそうねと聞く京子。「あの人、喋ったの?」「あんまりしょげてるもんだから、つい」「あんたに関係ないわ」酔っぱらって京子と関係を持つ久野。「冴子が言ったことなんか気にすることないわ。彼女、写真のことなんかわからないんだから」「……」「神経の触ることを言うのよね。昔から彼女は」「……」「ねえ。冴子を撮れば?」

100万円をケンジがサラ金の借金に支払ったため、開店不能になってしまう海の家。私に出させてと言う冴子に、そういうのはイヤと言う桃子。「ほら、みんなでやりたかったじゃない。もう、こうなったら仕方ないよ」伸次のかつての暴走族仲間に金を渡して、輪姦される冴子を写真に撮る久野。伸次のかつての暴走族仲間をボコボコにする伸次と六郎とヒロシとケンジ。

久野に聞く冴子。「私が犯される時を撮った時に嫉妬した?」「すると思ったけど、思ったより、なんて言うか」「……」「悪かった」「若い人たちに嫉妬したんでしょ」「でもおかしいんだよ。こんなもの撮ってるうちに妙にゾクゾクしてくるんだよ」「……」「どういうことなのかね」久野に抱かれて激しく悶える冴子。

海辺での水着撮影を終えた久野にどうしたのと聞く冴子。「疲れたよ。体が疲れたとか、そういうのじゃなくて」「イヤよ。あなたはずっと私の鏡だったのよ。だから疲れた姿見せないでよ」「勝手なこと言うなよ」「今までの4年間が曇ってしまいそう」「じゃあ、どうすればいいんだよ」「……」「もうすぐ夏か。昔は夏が来るのが楽しみだったんだけどな」久野をバイクで轢き殺す冴子。

夏が来て、海水浴客であふれかえる湘南海岸。「どうしてこんなに忙しいの」「やればこんなもんさ。海の家なんか目じゃねえよ」「屋台の焼きそばやかき氷の出店でも大儲けね」「桃子、お前は結局、伸ちゃんにふられたな」「ふられてなんかいないわ」「無理して」「伸ちゃん、どこ行ったの?」「おねえちゃんを探してるんじゃない?」

冴子との会話を思い出す伸次。『夏が終われば24だよ。9月になって秋が来れば24だよ。なんとかしたいなあ』『本当に夏っていやね。好きなんだけどいやね』『どうして?』『秋が静かすぎるじゃん。夏が激しすぎるから余計静かじゃない』『少しはあなたのことを聞きたいな』『私のこと?それは時期が来たらいつか話すわ。いつか』