愛に濡れたわたし | ロロモ文庫

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雷雨の港町。スナックに入りママの美和と話す京平。「雷が嫌いなのか」「あの間が嫌いなの。ピカッとなって雷が落ちるまでの」ずぶ濡れの京平をバスタオルで拭く美和。「いいのかい」「雨の日ってダメ。自分の匂いで一杯になっちゃうみたい」美和の太腿の蛇の刺青を目にする京平。「どうしてここに来たの」「探してたんだ」「誰?女?」「もういいんだよ」

バーを辞めてアパートを借りる美和。その家賃を払う京平。「また考えてる、奥さんのこと」「え」「そうでしょう」「……」「今夜も帰るの?」「……」「今夜も泊まっていかないのね」奥さんについてまったく何もわからないと調査内容を京平に報告する興信所の酒井。「ほんとに凄い情熱ですわね。会社を辞めてまで奥さんを探すなんて」藤木の家の電話する美和。「もしもし」「……」「もしもし」「……」「良子だな。お前どこにいるんだ。返事をしてくれ」

どうして一緒に暮らせないのと京平に聞く美和。「やっぱり夫婦じゃないからかしら」「よせよ。変なことを言うのは」「今日も探しに行くんでしょ。ねえ、あんたの奥さんってどんな人?」「……」「きれいな人なんでしょうね」「もう忘れたと言っただろ」「私も探すわ。ここにいてもつまらないもの」「あの港町に帰りたくなったのかな」「ううん」

藤木の家に行き、落ちている洗濯物を拾ってキレイにする美和。河原で4人の若者に対して女王のように振る舞う女。美和のアパートに行った京平に私は美和の妹だと言う月子。「美和の男はどんな男だ」「美和に聞くべきだわ」「君はどうしてここに」「姉があなたの世話をするようにって」「なんだって」「私が奥さんの居場所を知ってると言ったらどうする?」「嘘だろ」そこに現れるサングラスの男。「輝美を出せ」「輝美?」「お前が匿ってるんだろう」「何のことです」「また来るで。今度こそ捕まえたる」

サングラスの男にあんたは輝美そっくりだと言うサングラスの男。「でも輝美じゃない」「美和よ」俺は小池だと名乗るサングラスの男。「いなくなった奥さんを探してたのね」「やっと見つけたと思ったのに。確か、あのアパートに輝美が入っていったんだ」「そんなに忘れられないものなの」「俺たち、和歌山から集団就職した同士さ」「他の男の人といたらどうする」「殺すよ」

奥さんの居場所がわかったと京平に言う美和。「嘘だ」「本当よ。月子が10時になったら情報を持ってくるわ。いよいよ、奥さんに会えるわけね。嬉しいでしょ」「……」「私を奥さんだと思って抱ける?」「僕は美和を抱くんだ」「奥さんの事は忘れて」明日の午後3時にコマ劇場の前で待っててと京平に言う美和。「月子から連絡があったの。奥さんの情報を知ってる人に会わせるわ」

コマ劇場前にいる京平に月子が交通事故にあったと言う美和。「だから今日は案内できないわ」「そんなことより一緒に病院に行こう」「いいの。大丈夫だから。じゃあ」家に帰って、メチャメチャに荒らされているのを見て、交番に行く京平。「奥さんは?」「妻は家出したんです」「警察へは届けを出しましたか。家出人捜索願ってやつですが」「そんなこと、どうでもいいでしょう」「どうでもいいってことはないでしょう。だから奥さんに逃げられるんです。蒸発ってヤツは全て男がだらしないからです」「……」「あんた、まさか奥さんを殺したんじゃないでしょうな」

屋台で酔いつぶれる京平を京平の家に連れて行き、京平のパンツを脱がそうとする酒井。「おい、何をするんだ」「あんたってひどい男ね。奥さん一途のふりして、あんな男と」「なぜ、君がそんなことを」「私、あなたのことが気になって何もかも調べたの。窃盗傷害の前科あり。まむしの美和。刺青、あるでしょう」「……」「しかもね、男が南米航路から一週間前に帰ってきたのよ」「やめてくれ。そんな話は」「やめないわ。あなたは最低の女に溺れてるのよ。女が刺青まで入れた男から逃げられると思って?」「あの女は俺の女だ。余計なことを言うのはやめてくれ」

泥棒に入られたと美和に言う京平。「君はあれからどこに」「月子の病院よ」「うちへ来なかった?」「教えないのに行けないわ」「……」「ねえ、抱いて。あんたが好きよ」呟く京平。(奇妙な女だ。騙されるのが楽しくなる。企みはどこまで膨れてゆくのか。それに揺られている快楽)

もう退院したのかと月子に聞く京平。交通事故のケガってわりかし軽いものよと笑う美和。風呂に入る京平。あいつが帰ってきたよと美和に言う月子。「京平さん。殺られるね」呟く京平。(長く慣れ親しんだような居心地のよさ。妻のことは不思議と思い出さない)あなたの家の庭に薔薇が咲いてたと京平に言う美和。「とうとう入れてもらえなかったわね。あの家。入りたかったわ」

河原で4人の若者に美和を犯せと命令する女。4人の男を逆に弄ぶ美和。怒って美和の刺青をナイフで傷つける女。「なんだ、こんなもん」「待ちな。貸しなよ。それ」自らナイフで自分の太腿を傷つける美和。「ナイフを返すわ」「いらないよ」京平に電話する美和。「明日、今度こそ奥さんに会わせるわ」

町田の火葬場に向かう美和と京平。「あそこよ」「どうして君がそれを知ってる」「愛してるからよ」「……」「奥さんのことを忘れられた?本当に奥さんのことを愛してたの?」「……」「ねえ。私を抱ける?」美和を抱いている途中で火葬場に向かう京平。(あの写真は妻じゃない。何もかも嘘だ)<美和いのち>と腕に刺青した男に襲い掛かる京平。「なんや、お前」「美和は僕のものだ」「やかましい」ボコボコにされる京平。

美和はもう帰ってこないと京平に言う月子。「私が今日からここに住むの。あんた、私のパパになる?」交番に家出人捜索願を出す京平。「栗原美和。写真がありませんな」「写真はないんです」雨の降る港町。バーに戻った美和は、南米から帰って来た男の腹にナイフを突きつけるのであった。