小さき勇者たち~ガメラ~ | ロロモ文庫

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三重県志摩の田舎町で食堂を経営する相沢にまた海難事故だそうだぜと言う隣に住む真珠店を経営する西尾。「海難事故はこれで今月に入って5回目だぜ」「乗組員は全員行方不明らしいな」無人島の緋島で赤い光が点灯しているのを見た相沢の息子の透は緋島まで泳いでいき、光る赤い石の上にある卵を手にする。すぐに卵が割れ、孵化する亀の赤ちゃん。「へへ。可愛いな」

最後の緋色真珠は売らないと相沢に言う西尾。「でも、それ、この店の目玉商品だろ」「麻衣にやろうと思ってよ」「そうだよな。幸運を呼ぶ真珠だもんな」「ガメラが人間を守るためにギャオスと戦った33年前。あの年にだけ取れた貴重な真珠だもんな。あれのおかげで、うちらは助けられたんだ」「赤い真珠が話題になって町が復興したんだよな」「その幸運を麻衣に。まあ難しくない手術だって言うけど、なんたって心臓だからな」緋色真珠のお守りなんてなくても麻衣は大丈夫と言う西尾の妻の晴美。「あんな手術、楽勝よ」

亀の赤ちゃんにお前は歩くのへたくそだなと呟く透。「もっととっとと歩けよ。そうだ、お前の名前はトトだ。名前に恥じないように成長しろ。いいか、うちは食堂だからペット禁止だ。だから絶対この部屋から出るなよ。と言ってもわかんないか。あれ、お前、なんだか大きくなってないか」

急にトトが宙に浮いて驚く透に、その亀はなにと隣の家の二階の部屋から聞く麻衣。「どうするのよ、その亀」透はトトを海に帰そうとするが、トトが追いかけて来るので諦める。「なんでいるのよ。捨ててきたんじゃないの」「だって可愛いんだから」「あれはガメラかも」「ガメラ?」「33年前にここに現れた怪獣よ。ガメラは空を飛ぶのよ」「トトが怪獣?そんなバカな。こんなに小さいのに」「だから、これから大きくなるんだよ」

トトが一晩で1メートルくらいになったと麻衣に言う透。「どうしよう」「とにかくここにいてはまずいわ」掘っ立て小屋にトトを隠す透と麻衣。「これで大人だよ。きっとこれ以上大きくならないよ」「ねえ」「トトはガメラなんかじゃない。怪獣なんかじゃないよ。だって怪獣は戦って死んじゃうんでしょう。トトは死なない」「透」

麻衣に昨日の夜はどこに行ったのと聞く晴美。「だからちょっと散歩してただけ」「だったら今日はゆっくりしてなさい。明日から名古屋の病院に入院ですぐ手術なの」「だから出かけるんじゃないの。しばらく見れない景色見とくの。もう見れないかもしれないし」「そういうこと言うと母さん怒るよ」「ごめんなさい」「早く帰ってくるのよ」

麻衣に渡すものがあると言う透。「この赤い石。手術のお守り」「知ってたの?」「今朝、麻衣のお母さんと話てるのを聞いちゃって」「……」「トトの卵の下にあったんだ」「じゃあトトのお守りなんじゃないの。私がもらっちゃったら」「トトにはちゃんと言ってきた」「じゃあ早く元気になって、トトに帰さないとね」

透が住む町に怪獣が現れて、町はパニックになるが8メートルに成長したトトが怪獣に立ち向かい、怪獣に火炎放射を浴びせて退散させるが、自らは傷つき動けなくなってしまう。自衛隊員にトトを回収しろと命じる巨大生物審議委員会参事の一ツ木、「名古屋に運ぶんだ」怪獣をジーダスと命名する名古屋理科大学応用生物学科教授の雨宮。

トトを昔見たガメラと一緒だと思うのと相沢に聞く透。「もっと大きかったんでしょう。凄く強かったんでしょう?」「なあ、まず透とトトのことを話してくれないか」名古屋理科大学で一ツ木に緋色真珠から抽出したガメラのエネルギー成分の結晶体を見せる雨宮。「それでガメラは確実に成長するんでしょうね」「そう思います」「人間の味を覚えたジーダスは必ずまたやってきます。ガメラを成長させないと大変なことになる」

どうすればトトを助けられると聞く透にお前の気持ちはわかったと言う相沢。「卵から孵したんだ。そりゃ可愛いよな。けど、さっきの戦いを見ただろ。ぐっちゃぐちゃになった町を見ただろ。もう子供がどうこうできる問題じゃないんだ」「トトだって子供だよ」「お前のトトも、父さんが昔見たガメラも、なんだかわかんないけど人間の味方になってくれる。父さんの知ってるガメラは緋島で自爆してギャオスを退治して、父さんたちを助けてくれたんだ」「……」「透。でかくなったトトはお前の知ってるトトじゃなくて、ガメラなんだ」

晴美からの電話に出る相沢。「透。麻衣ちゃんの手術はうまくいったって」「ホント?」「それでおばちゃんがお前に電話があるんだって」麻衣が何度もトトに赤いお守りと呟いていると透に話す晴美。「何度もそう言うの」「うん。何言ってるかわかるから。ありがとう」呟く透。(トトにはきっとあの赤い石が必要なんだ。だからちゃんと届けてやらないと)<麻衣の病院に行く>と書置きを残し、名古屋に向かう透。

まだ変化はないかと苛立つ一ツ木に体力が落ち過ぎているのかもと答える雨宮。名古屋港に上陸するジーダス。それに呼応するように巨大化し、ジーダスと戦うトト。麻衣の入院する病院に行く透。「誰もいない。みんな避難したんだ」透を殴る相沢。「父さんを心配させるな」「ごめん。でも麻衣が持っている赤い石がないとトトが」「もういい。お前はよくやった。けどこれ以上はもうかかわるな。いいか、あれはトトじゃない。ガメラなんだ」「あれはトトだ。トトが苦しんでる」

避難所で赤く光る石を見つめる麻衣。「トトが苦しんでる」「麻衣。どこに行くの」「行かなきゃ。トトの所に行かなきゃ」「麻衣。その身体じゃ無理だ」「お願い。トトに」赤い石を撫でる少女。「これをトトにだね」「そうよ」赤い石を持って走る少女。「これをトトに」次々に少年少女に手渡される赤い石。

トトはまだ子供なんだと相沢に言う透。「それなのに戦っている。だから俺も逃げない」「馬鹿野郎。それでお前が死んでトトが喜ぶと思っているのか」ジーダスに投げ飛ばされて、ビルに頭を突っ込んだまま身動きできなくなってしまうトト。赤い石を手渡される透。「みんながこの石をトトにって」「父さん。俺、トトに会いに行ってくる」「いいのか。お前の手でトトを殺すことになるかもしれないんだぞ」「トトは自爆なんかしない。俺たちがさせない」「わかった。父さんも行く」

ビルの中に入る相沢と透。「透。俺がガレキを支えている。早く行け」トトに話しかける透。「赤い石を届けに来たよ。みんながお前のために走ってくれた。でもそれをお前が死ぬためじゃない。これは生きるための石だ」トトの口の中に赤い石を放り込む透。覚醒してジーダスを斃すが、力つきて倒れるガメラ。

自衛隊員にガメラを回収しろと命令する一ツ木。「やめろ」と叫んで手を大きく広げて立ちはだかる透。「俺らのトトに近づくな」「……」「逃げろ。トト」邪魔するなと怒鳴る一ツ木。「どきなさい」透はどかないと言う相沢。「それにあの子たちも」手を大きく広げて立ちはだかる子供たち。「飛ぶんだ。トト」最後の力を振り絞って、空を飛ぶガメラ。それを見て「また会えるよね」と呟く麻衣。透は「さよなら、ガメラ」と呟くのであった。