作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(615)」 | ロロモ文庫

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究極の産後食(前)

チヨと西浜産婦人科医院に行き、院長の西浜に無痛分娩をしたいという栗田。「無痛分娩?生意気言わないで。私は自然に逆らうのが嫌い。人類が発生してから女性は陣痛の苦しみを味わってきたから、あんたも味わうの。今から分娩するわ。あんたも手伝いなさい」「え、私が」「子供を産むのはどういうことか勉強するのにいい機会だよ」「わかりました」出産する佐津子。「出産って感動的。私、ここで子供を産みます」「でも喜んでばかりいられないの。佐津子さん、結婚していないの」「じゃあ未婚の母」

食欲のない佐津子のために食事を作る山岡たち。「産後だから食欲増進を第一に考えよう。こういう時には気持ちを引き立てることが大事。となると運動会や遠足の時の弁当だ」「それなら日本人は海苔巻きとおにぎりね」「もうひとつ食べたくなるものを作るわ。私はスグキ巻きを作るわ、スグキを5ミリ角の拍子木状に切り、みじん切りのスグキの葉と一緒に巻く。ただそれだけだけど、スグキの甘みとすっぱ味が海苔で巻くと際立って食欲をかきたてるの」

「私は鯛とねぎ味噌巻き。長ネギのみじん切りとカツオブシを味噌で塗ってネギ味噌を作り、鯛の刺身を細切りにして、酢飯の上にネギ味噌を伸ばし、鯛の刺身を置いて巻く。ネギ味噌が鯛の隠れた味を引き出すの」「俺はトンカツ巻きだ。トンカツを醤油、赤ワイン、ショウガの絞り汁を合わせたタレにつける。飯の上に黒ゴマを取り、その上にトンカツを乗せて巻く。こってりしてるのに何個でも食べたくなる味だ」

「次はおにぎり。伝統的に行きます。ちりめんじゃこと山椒の実と一緒に炊いたご飯を握って、高菜の漬物の葉で包みます」「私はコロッケおにぎり。ジャガイモに少々の牛のひき肉を入れて、一口コロッケを作って握ります。味付けはコロッケの表面に塩をまぶすだけ。家庭の総菜の懐かしい味よ」「俺はデザートにぎりだ。あずきのこしあんを玉にして、これを芯にして握って、表面にすりおろした黒ゴマをたっぷりまぶす。食後にまぶす」

ごめんなさいという佐津子。「ダメか。この子の父親は誰だ」「嶺山さんです」「嶺山?」「帝都新聞の嶺山社長の息子さんです」「ぬう。嶺山があんたたちの結婚を邪魔してるのか。あのハゲ親父を説得するか」